女神様は異世界でめあわせたい!

能登原あめ

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19 異世界にヒーロー戦隊がいるなんて思わなかったけど、私は幸せになります!※

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* ヒーロー戦隊の隊員達と逆ハーです。ヒロインはツッコミ体質。あっさりですが複数プレイ、アナル、ほんのりBL要素あるので地雷注意。苦手な方はバックしてください。







******


「きゃー! 銅羅イヤン怪人に捕まってしまったわ! 助けてぇ~! みんなぁ~、大きな声でヒーローを呼ぼう! せ~のっ!」

 デパートの屋上で、私はヒーローショーのお姉さん兼司会をやっている。
 ヒーローの中身が普通のお兄さんなのは、子供達の夢を壊してはいけないから内緒。

 今日はいないけど、悪役の怪獣に小柄で華奢な女の子が入っていることもある。よくある。
 いや、中の人のことを考えてはだめだ。

 子供達が思い思いに好きな隊員の名を呼ぶ。

「ヒーローブラック!」
「ヒーローしるばぁ!」
「ヒーローピンク!」
「ヒーローレッド!」
「どらいやーん、かいじーんっ!」
「マッマー!」

 予算の関係上、メンバー五人が呼ばれることはあまりない。
 数人で入れ替わり立ち替わり、悪役も演じつつ、たくさんいるっぽくみせているのだ。

 ヒーロー達と悪役の全員分の声を当てているバイトが私の隣、テントの中で熱演している。
 今回ピンクはいないんだけど、私が代わりに声だけで出演。

 怪人を呼んじゃってる子や怖がって泣く子もいる。
 それも含めて臨場感、サイコー!
 オープニングテーマ曲を流し――。

「待たせたなっ、ヒーローグリーン参上!」
「後は任せろ! ヒーローブルー見参!」

 やって来たヒーローはたった二人。
 それをバイトが声を張って盛り上げ。
 大立ち回りで悪役をバッタバッタと投げ飛ばし、一気にクライマックス。

 それから、ちょっとコメディのかけ合いで子供達を和ませる。

 あー楽しい。
 ヒーロー達がわちゃわちゃしてるのが好きなんだよね。
 本日の場合、グリーン×ブルーか、ブルー×グリーンなのかと妄想してしまう。

 司会のお姉さんじゃなくて、ずっとこんな世界で暮らして行けたらいいのにな。

 呼んだら飛んで助けに来てくれるヒーロー達。
 マスクをとってもイケメンがいいなぁ。
 目の保養。癒し。

 そしたら、私は毎日楽しく生きていけるんだけどな~。
 現実を忘れたいわ。






 ――幸せになるのよ~♡

 明るい笑いを含んだ声が聞こえて目が覚めた。

「夢に女神様が出てきた……あれってお告げ……?」

 ベッドで眠っていたはずなのに、あたりを見回すと見知らぬ場所で。
 物置を広くしたような薄暗い部屋で、かなり埃っぽい。

「なにこれ、拉致監禁? こっわ……」

 逃げなきゃ。
 だけど、右足にかせがはめられベッドの柵とつながっている。
 
「女神様、幸せを用意したって言ったじゃん! 私こういう趣味じゃないんだけどぉ~!」

 その時、外からドアノブを回す音がした。

「くそッ、なんだこの鍵!」
「扉ごと壊すぞ!」
「おう、わかった!」

 怖。
 恐怖しか感じないんだけどぉ!
 ドーン、ドーンと扉が揺れて私は埃っぽい毛布を被った。
 
 ――ドン、バタンッ!

「ピーチちゃん! 大丈夫か?」
「何かされていない?」
「もう心配ないよ!」

 バタバタと足音が聞こえたと思ったら、毛布をひんむかれた。

「ひゃぁっ!」

 イケメン三人に囲まれ、抱きつかれたんだが?

「ピーチの様子がおかしい」
「……ピーチちゃん、もしかして記憶ない?」
「……大人しいね。俺たちの事、わかる?」

「ワカリマセン。初めて会いますよね?」

 私の言葉に三人が固まる。
 女神様、私『ピーチちゃん』の体に入っちゃったの?
 そういえば、ピーチちゃんと私の魂だけ入れ替えるって言っていたような。
 
 クールメガネが私に説明してくれた。
 銅羅イヤン怪人にピーチちゃんことヒーローピーチの記憶を吸い取られたと。

「私がヒーローピーチ……?」
「そうだ、記憶が戻るまで俺たちがピーチちゃんを守るから! だから俺たちの家へ戻ろう!」

 うーん、イベントショーと同じ怪人か……。
 とりあえずこんなところにいたくないからついていくことにした。







「あっ、待って! どしてっ!」

 ピーチちゃん、お尻開発されちゃってるよ~?
 お尻にクールメガネのシルバーのアレがずぷっと突き刺さり、私を守ると言ったマゼンタ(レッドポジ)は奥をコツコツ突いてくる。

「あっ、やっ、そこばっかり~、らめっ」
「ピーチちゃん、嘘つき。すごく喜んでるくせに」

 俺達の家、って言われた時点でおかしいって気づけばよかった!

「ピーチちゃん、これ飲んで思い出して」

 喘ぐ私の口にゴールドのアレが押しつけられる。

「んんっ! むぅっ~~!」
「あー、気持ちいいよ。やっぱりピーチちゃん最高だ」

 ゴールドのモノがすぐに口の中で弾けた!
 ぎゃー!

「飲んだら、きっと思い出すよ!」
「んんっ、……ゴクッ」

 アレは口に押し込められてるし、仕方なく飲み込むと、歓声が上がった。

「初めて飲んでくれた! 今のピーチちゃんサイコーだよ! 俺、今のピーチちゃんのほうが好きだ!」

 え?
 元のピーチちゃんは飲まなかったの?

「ピーチちゃんありがとう! 沢山ご奉仕するからね!」

 ゴールドがアレを抜いたと思ったらベロベロのチューをしてきた。
 なんか体がもたなそう。

「ピーチ、まだ終わってないから」
「あ~っ、待ってッ」

 二人が合わせたように動くから、頭の中がパーンってなる。
 そこへ、いきなり扉が開いた。

「なんで先に始めているんだよ! 俺達が怪人を倒したんだぜっ。ピーチ、褒めて!」
「ふぇ⁉︎」

 待って、待って。
 増えた!
 考えてみたら、金銀、赤しかいなかったもんな……。
 
「お前ら先にシャワー浴びてこい。エメラルド、この後、ピーチを癒してくれ。スカイ、記録とれ。ブラック、お前はねちっこいから最後な」

 シルバー、何言っちゃってんのー?

「ピーチ、俺達を思い出すにはこれが一番の近道だ!」
 
 にかっと笑うマゼンタに私はますます脱力する。
 思い出すも何も、中身別人なんだけどな。
 
「それに、仕方ないからピーチの好きなショーを見せてもいい。今日はブラック×エメラルドだな」

 あれ? もしかしてピーチちゃん女王様枠?
 しかもBLショーやらせてたの?
 何それ、楽しそう。
 
「観たい! 絶対観る! やりなさい!」

 私、今日からピーチちゃんを満喫するわ~!







******


 お読みいただきありがとうございます。

 
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