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10 現実逃避はあほエロより溺愛じゃない? ※

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* 男女ともに♡飛びます。あほエロです。






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 同棲中の彼に、誕生日は銀座憩いの場所のおっきなシュークリームがいい、って言った。
 冬生まれでイベントの後だから、大きいケーキが食べたい気分でもなくて。

 ちょうど近くのスーパーの中にその店舗がある。
 彼はわかったと言って買い出しに行って、褒めて褒めてと言うように私に袋を差し出した。

「今日さ、スーパーで特売やってたんだ。だから、一人二個ずつ食べれるよ!」

 口の中は銀座憩いの場所のずっしりしたクリームの気持ちでいたのに。

「…………」

 私は量が食べたいんじゃない。
 結局二個買ったら、指定したものより高くなってるんだよ?
 そして一応誕生日なんだから、そのくらい叶えてくれてもいいんじゃない?

 彼の誕生日の時は、わざわざ本人の希望のいちごのショートケーキをホールで手作りして祝ったのに、そういう扱い?
 
 買ってきてくれたことにだけ。

「……ありがとう」

 全て飲み込んでそう言った。
 パサパサの皮と美味しくないクリームが二層になったものと、いちごジャムが入っていて頭が痛くなるくらい甘さのくどいシュークリームを無言で食べた。
 彼は安くていっぱい食べれて、うまいって言ってたけどね。
 納得いかなかった私は翌日自分で買い直した。

 それからすぐのバレンタインは、つき合って初めてチョコを用意しなかった。
 すると翌日不機嫌な顔で起きて来た。
 だから私は、忙しすぎてチョコ作れなくてごめん、板チョコのままだけど……って激安で、チョコで全く有名じゃない、とある国のものを渡したら、包み紙がオシャレだったからか機嫌を直した。
 チョロい。
 ホワイトデーのお返しはなかった。
 まぁ、こっちも手を抜いたから期待していなかったけどね。
 
 もう、お互い大事にできてない。
 
 本当だったらそろそろ結婚とか考える時期なんだろうけど、最近まともなデートもしていないし、ファミレスにしか出かけていない。
 
 こんな関係、意味あるのかな。
 多分もう終わっているんだ。
 結婚、したかったけど……彼じゃない。別れよう。

 もう、現実逃避したい。
 あほエロBLが一番好きだけど、こんな日は溺愛される話がいい。

「よし。じゃあ、あなたを大事にしてくれる結婚相手のいる素敵な世界へつれて行ってあげる♡ もう戻れないけど、こっちのことはうまくやっておくわ。いいわよね?」

 突然現れた縁結びの女神様の言葉に私はためらわなかった。
 だって、毎月お詣りしている神社の女神様だから!







「美しいな」

 目を覚ましたら、もんのすごいイケメンに横抱きにされていた。
 見たことのない部屋にいた。
 あの女神様、夢じゃなかったんだ。
 
「金髪碧眼……」

 ニコッと笑って、女神様が俺好みの女性を用意してくれたって言うから、思わず赤くなった。
 彼、変わってる!
 私でいいのーー?

「好ましく思ってくれるなら、よかった。誰よりも幸せにするから、君のこと教えて」
「私、ヤエコ。あなたのことも教えて」

 私がそう言うと、彼が頬にキスを落とした。
 よくわからないけど、触れられても嫌じゃない。

「俺はウィンストン。ただのワイン好きな男さ」

 ズキュン。
 何その紹介。
 日本でそれやったら引かれるけども!
 なんだか私の心はときめいた。

「私もワイン好き♡」

 お酒はなんでも好きだけどね。

「じゃあ、一緒に飲めるな」

 今度はゆっくりと唇が重なった。
 伺うように舌が唇をなぞったから、私はそれを受け入れた。
 
「……ん、はぁ♡」

 会ったばかりなのに、ねっとりと舌を絡め合うのもおかしいと思えなくて。

「おいで。一緒に風呂に入ろう」

 彼に横抱きにされたまま、大きな浴槽の見える部屋へ。
 個人宅というよりホテルのような贅沢な造り、そこで一人暮らしをしているらしい。
 
「乾杯♡」

 軽めのワインで喉を潤し、ほんの少しお酒の力もあって、二人してあっさり衣服を脱ぎ捨てた。

「さあ……」

 手をとられてたっぷりとお湯の張られた浴槽の前に立った。

「二人の出会った記念に」

 そう言ってさっき乾杯したワインのボトルをすべて浴槽に注いだ。
 驚く私に、ワインを作っているんだって笑う。

 なるほど。
 贅沢な使い方ができるわけだ。

「おいで、ヤエコー♡」

 どこぞのスーパーみたいな呼ばれ方になっちゃうのは、呼びづらいからかな。

「はい♡ 呼びづらかったら、ヤエとかヤーコでもいいよ、ウィンストン」
「ありがとう、ヤーコン? いや、ヤエ♡」

 ちょっとぬるめの湯に私達はのんびり浸かり、ワインを飲みながらおしゃべりとキス。

「ウィンストンは私の五つ年上なんだね♡」
「あぁ。出会えてよかった♡」
「本当に、ずっとここにいてもいいの?」
「もちろん♡」

 口づけが深くなり、のぼせそうになる。
 ワインも飲んでいるし、顔が熱い。
 彼は私好みのイケメン。
 この状況に酔わないわけがない。

「大丈夫か? ちょっと待って」

 いきなり頭からワインをかけられた。
 
 いや、ちょっとなんで?

「あぁ。おいしそうだな♡」

 私を抱き上げ、涼むための寝椅子に下ろされた。
 それから体中をぺろぺろと舐め始める。

「ん♡ウィンストン♡ くすぐったい♡」
「くすぐったいだけ? 甘くて、全部うまいよ♡」

 くにくにと胸の先端を弄りながら、柔らかな乳房に舌を這わせる。
 それから、勃ち上がった先端を丁寧に舌でしごいた。

「葡萄の味がするよ♡ 芳醇で、たまらない♡」

 ワインの味なんてもうしないんじゃないかと思うと、ばしゃばしゃとまたかけられる。

「べとべとになっちゃう♡」
「全部舐めとるから♡」

 ちょっとこの人アホかもしれない。
 いや。おもしろいけど。

「ああんっ♡♡」

 太腿に舌を這わせ、脚のつけ根を舐められて、私はあっけなく達した。
 力の抜けた私の体を抱き上げて、屹立した彼自身の上にじゅぷんと下す。

「くっ♡♡♡」
「あぁ……っ♡」

 やっぱり彼、アホだ!
 いきなり駅弁やっちゃう⁉︎
 一応二人の初めてだよ?
 
「ヤエ♡すっごく♡いいよっ♡」
「ん♡私も♡いいっ♡」

 でも楽しいからいっか!
 彼がナニするか想像できなくて、こんな日々もいいと思う♡









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 お読みいただきありがとうございました!

 
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