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しおりを挟むアンドレア様は、ぜんまいじかけの人形のようにゆっくり顔を動かして、私の頬に唇を寄せた。
「レナ、休みたくなったら、そこにあるベルを鳴らして。そんなことにならないよう気をつけるけど」
「はい、信じてます」
「……ありがとう」
アンドレア様の声は昼間と違ってかすれていて、ますます鼓動が速くなる。
耳に息がかかるのもくすぐったい。
「可愛い」
大きな手が私の髪を撫でて、耳たぶに触れる。
思わず身じろぎすると、アンドレア様がかすかに笑って、額や、まぶたの上、顔中に口づけした。
「……唇に、してくれないんですか?」
アンドレア様のキスは幸せな気持ちになるんです、と伝えると。
「レナ……ごめん、俺の心臓がもたない」
苦しそうにうめくから、私は心配になった。
「具合が悪いのですか? あの……今夜じゃなくても大丈夫です。アンドレア様の体調の良い時に、その……」
「体調はすこぶる良い」
きっぱりとそれだけ言うと、ようやくアンドレア様が唇にキスをした。
少し強く押しつけられて、すぐに離れる。
「嫌だと感じたら、言って――」
「はい」
アンドレア様が寝衣に手を伸ばし、一つ一つボタンをはずしていく。
時々唇を重ねながらの、優しい手つきに少しも嫌だとか恥ずかしいとか思わなかった。
いつの間にか部屋が月明かりだけなのも、すべて見えなくて安心したのかも。
「アンドレア様、これから私、夜も寂しくなくなるんですね」
「毎晩一緒のベッドでいいってこと?」
暗闇の中でアンドレア様の金色の瞳が光った気がした。
「はい、夫婦ってそうじゃないんですか? ずっと一緒なら、暗闇も怖くないです」
幼い頃はよくシーツの間にくるまって眠っていたのを思い出す。
小さな身体に大人のベッドは大きすぎて冷たくて。
「いやじゃないならよかった。今も……暗すぎる?」
「大丈夫です。見えないですけど、アンドレア様の体温を感じて安心、します」
安心というには少し違う気もしたけど、身体中に口づけされて考えていられない。
「それなら……よかった」
お酒も飲んでいないのに、ふわふわした気分で、優しく触れてくるアンドレア様の手に自分の手を重ねてみた。
「ここ、触られるのイヤ?」
「そうじゃなくて、私もアンドレア様に触れたくなりました」
私の手の甲に口づけを落とすと、薬指に甘噛みする。
「私もしてみてもいいですか? アンドレア様の指に……」
「噛んでみたいの?」
どうぞ、と言って私の目の前に手を差し出した。
いつもされるように、アンドレア様の手の甲に口づけしてから薬指の根元に歯を立てる。
魔法が使えないから私がしても意味がないのに、なぜか幸せな気持ちになった。
アンドレア様は私の夫で、やりたいことをやらせてくれて、少しも怒らない。
「俺はレナのもの」
アンドレア様のささやきに顔を上げると唇が重なる。
さっきまでとは違って、熱い炎に飲み込まれたみたい。
口づけが深まり、私の身体も熱を帯びる。
脚を開かれ、秘めた場所に触れられるのも怖くなかった。
「可愛い、レナ。愛している」
同じように応えたいのに、吐息混じりに頷くことしかできない。
脚のつけ根に熱くて硬いものが当たった。
「アンドレア、さま?」
「レナ、そのまま力を抜いていて」
身体の中に熱が入り込む。
驚いてアンドレア様に手を伸ばすと、指を絡めるようにして手を握ってくれた。
ゆっくりと確実に奥へ奥へと進むそれは、熱くて、アンドレア様そのもので。
そう考えたらますます熱くてたまらなくて。
「ごめん、痛む?」
「い、いいえ……っ」
痛いものだと聞いていたのに、全然痛くない。
「本当に?」
アンドレア様のほうが苦しそう。
「痛くない、です。……ただ、嬉しくて。アンドレア様とひとつになれて嬉しい、です」
「レナ、まだ全部じゃない、ごめん」
お互いのすきまがなくなるまで触れ合って、何度も口づけを交わす。
今はもうアンドレア様も心地よさしか感じていないみたい。
「レナが俺の子種を受け取ったら、同じだけ生きることができる」
「……は、い」
そう返事をするのが精一杯で、甘く揺さぶられて悲しくないのに涙がこぼれた。
「レナ、ずっとこうしていたい」
「……わたし、も」
アンドレア様の熱い子種を受け取ると、私の身体はさらに熱を帯びる。
鼓動が速くなり、身体の周りが淡く発光して、作り変えられているみたい。
「アンドレア、様、ぎゅって」
「俺のレナ」
私が言い終わる前にアンドレア様は抱きしめて、乗り切るまで励ましの言葉をかけ続けてくれた。
身体を覆っていた光が体内へ吸収されると、鼓動も穏やかになって、ようやく大きく息を吐いた。
「大丈夫、か?」
「はい……私、すごく強くなったみたいな気がします」
身体の内側から熱があふれてくるみたい。
「一度、湯浴みをしようか」
アンドレア様が額にはりついた髪を後ろに撫でて、軽く唇を重ねてくる。
優しい仕草といたわりに胸がいっぱいになった。
「はい、でも」
「でも?」
「アンドレア様にさっきみたいに触れてほしいんです」
「さっきみたいって……」
「身体の中が熱くて、熱が鎮まらないんです。だから」
「レナ、俺は歓迎だけど身体がつらいんじゃないか?」
「熱くて、つらいです。アンドレア様なら、助けてくれるでしょう? だって、三日三晩部屋から出ないって」
そう言いかけると、今度はアンドレア様が私の肩に頭を乗せて大きく息を吐いた。
それから顔を上げて私を見つめる。
「……そんなつもりはなかった、けど。レナが望むなら」
「こうしていても、足りないんです」
暗闇の中で、アンドレア様が嬉しそうに笑うのがよく見えた。
まだ外は暗いのに。
もしかしたら火龍の子種の影響かも?
「レナ、俺のつがいになってくれてありがとう」
「アンドレア様、私を見つけて、つがいにしてくれてありがとうございます」
再び身体を重ねて、お互いを愛しむ。
愛しさで胸がいっぱいで、やっぱりずっと触れていたくなる。
アンドレア様はずっとこの気持ちを我慢していたのだと思うと――。
「お願い、もっと」
「これ以上は、止められなくなる」
彼の手をとり、薬指を甘噛みして急き立てる。
「私の初恋はアンドレア様なんです。今まで……他に好きな人はできませんでした」
「どうして、そういうことばかり……」
「大好き、アンドレア様」
アンドレア様が困ったような顔をしたけれど、何度か唇を合わせるうちに本能がむき出しになる。
「レナ、あおった責任とって」
「はい」
アンドレア様が触れる手は私を熱くするのに、優しい。
夜が明けても、私たちはお互いの身体に手足を絡めて離れることはなかった。
四日目の朝、心配した侍女たちが見たのは、朝食に駆け寄る元気いっぱいの私とほんの少し寝ぼけた様子のアンドレア様。
竜人族の第三王子のつがいは人間じゃなくて天人の血を引いているに違いない、そんな噂が広まることになるのだった。
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||+ │☆。||
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||.*+ │ +☆||
∧,,∧________||
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楽しみですね。
青空一夏さま、コメントありがとうございました🤗
素敵な初夜でした💓
レナちゃんが無自覚に煽りまくるので、読んでる私も悶えてしまいましたw
番の本能がそう言わせてるのかな…🤭
がっつかないように頑張ったアンドレアですが!
レナ、無自覚に煽ってましたね(ृ ´͈ ᵕ `͈ )ु
やっぱり番同士は特別なんだと思います♡
サラサさま、コメントありがとうございました🤗
とても楽しかったです
ストレスフリーでよかったです😄
確かに
おとぎ話的な感じもしましたね
新春にふさわしい話だと思いました🌷
૮₍´˶• ᴥ •˶`₎აおつかれさまです♡
つ🍵⊂
次のR18も読みます🤭
新年1本目なので、ストレスないほうがいいかなーとこうなりました。
✧︎*。(๑❛︎ڡ❛︎๑)🍵
悪い人になるはずが、不思議なことにいい人になった登場人物も!
R18は甘め、控えめの予想ですがご無理せずに♪
青空一夏さま、コメントありがとうございました🤗