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3 一度目の結婚生活 ※
しおりを挟むこれ以上は身が持つか不安ですが、この先には痛みが待っていると、お母様に教えてもらいました。
もしかしたら、彼は痛みを可能な限り小さくする方法を知っているのかもしれません。
経験の差にほんの少し胸がちくりと痛みますが、彼は人気のある騎士ですから仕方ないでしょう。
それに今は私の、私だけの旦那様です。
私は黙って彼のすることをすべて受け入れることにしました。
ロルフ様が秘められた場所を再度探ります。
ゆっくりと、二人が繋がる場所、密孔に彼の指が忍びこみました。
「狭くて、きついな……本当に俺だけしか知らないんだな」
ロルフ様が小さく囁きました。
彼の独占欲にぞわりと何かが背中を駆け抜けましたが、指の動きに違和感を感じて身体が強張ってしまいます。
すると秘核をぬるりと舐められ、温かいものに包まれました。
ロルフ様の唇が器用に私の熱を高めるので、甘く疼きます。
「……あっ、ロルフさまっ、……そこは……」
脚の間から、はしたない音が大きく響いて私の頭はますます靄がかかります。
いつの間にか指が増やされ、なめらかに動くようになると、違和感よりも指の触れる先が甘く痺れるようになりました。
「レイチェル、そろそろいいか」
指が引き抜かれ、私が小さく息を吐くとロルフ様が身体を起こしました。
「ひとつに、なるのですね」
ロルフ様の瞳が色濃くなり、先ほどよりももっと深く欲を抱いた顔なのだとわかりました。
心はぞくぞくして怖ささえ感じるのに、期待からなのか体温が上がります。
影になって見えませんが、密孔にロルフ様の昂まりがひたりと当てられました。
「最初は痛むかもしれない」
「……はい、かまいません。ロルフ様の与えてくださるものはすべて、嬉しいです」
ロルフ様は私を見つめながら、ゆっくりと腰を前に進めました。
未通の場所を拓かれるのは、やはり痛みが伴うのですね。
無意識に上に逃れようとしてしまう私の腰を、ロルフ様ががっちり掴みました。
「なるべく痛まないように、する。だから、逃げないでくれ」
そう言われて私は頷きました。
ロルフ様を信じていますから。
彼は深く息を吐くと、一息に私の奥深くまで穿ちました。
「……っ!」
あまりの痛みに喉が震えて声が出ません。
息を吸うことも、もちろん吐くことも。
このようなことで、涙を流すことになるとは思いませんでした。
「レイチェル、愛している。……君を傷つけて泣かすのは今夜が最後だ。これからはずっと俺が護るから。可能な限り、ずっとそばにいるよ」
「……はい」
私は震える声で頷きました。
痛むけれど、ロルフ様の言葉に感動して胸の中が彼に対する愛でいっぱいです。
私の涙を拭い、顔中に口づけをしてくださいました。
それから唇を重ね、差し入れられたロルフ様の舌に私からもぎこちなく絡めます。
それはとても罪深く甘い行為で、ロルフ様がとても……興奮されて、私の全身から力が抜けるまで唇を合わせ続けました。
いつの間にかロルフ様の腕をぎゅっと握ってしまって、赤くなっています。
「ごめん、なさい……」
「いや、いいんだ。それだけ、夢中になってくれて、嬉しい」
そんなふうに言われて赤くなった私に再度口づけしてから、ゆっくりと腰を押しつけるように回しました。
ロルフ様の昂まりをみっちりと受け入れていた密孔から、はしたない音が聞こえてきます。
少し馴染んできたのかもしれません。
「動いていいか?」
「はい」
痛みはありますが、ロルフ様のすべてが欲しいのです。
ロルフ様との子どもを授かることができたら、この上ない幸せでしょう。
「私に、全て与えてくださいませ」
「……ああ、いくらでも」
ロルフ様の瞳がきらりと光りました。
それからゆっくりと揺さぶりながらも、たくさんの愛の言葉を囁いてくださいます。
愛している、二度と離さない、一生そばにいてほしい、レイチェルさえいれば何もいらない、と。
痛みが消えたわけではありませんが、それらの言葉とロルフ様の労りと大きな愛情のおかげで、またあの快楽が私に忍び寄りました。
「……っ、ロルフ、さまぁっ……っあ……」
それに気づいた彼が私を揺さぶり続け、私は彼から与えられる快楽と愛に溺れてまたしても達してしまったのです。
それからまもなく苦しそうな表情をした彼が、私の中に子種を下さいました。
「俺だけのレイチェル」
ぎゅっと熱い身体に抱きしめられて、私も恐る恐る背中に腕を回しました。
ロルフ様が満足そうに息を吐きました。
愛する人と体を繋げる行為は、こんなにも満たされるものなのですね。
「もう一度、いいか?」
「……はい」
そうして私は毎夜彼に抱かれ、明け方まで揺さぶられ続けるようになりました。
騎士様なので体力がおありです。
新婚ですから、そのうち落ち着くのだろうと、きっと子どもを授かったら彼の私に対する熱量も落ち着くと思ったのです。
朝は、ロルフ様が先に仕事に出かけた後、昼まで眠ります。
伯爵夫妻も、仲が良いのはいい事だと嫌な顔一つしませんし、午後に本館で伯爵家の教育を受け、そこで開かれるお茶会に参加することもありました。
夕方離れに戻ってしばらくすると、ロルフ様が帰って来られるのでその後はずっと一緒に過ごすのが一日の流れです。
私達はとても幸せでした。
最初の頃は鍛錬場にも差し入れを持って行きましたが、大事な妻を他の男の視界に入れたくないと、そんな独占欲を見せるようになりました。
少しだけ嬉しかったのです。
受け入れてしまったのがいけなかったのでしょうか。
だんだんと伯爵家のお茶会以外の集まりに参加することにも難色を示すようになり、自由に友人と会うこともできなくなりました。
政略結婚をした貴族は浮気するもの。
だから私にその気がなくても外にはつけ入る男がいるかもしれない、気の合う友人だけ伯爵家のお茶会に招待すればいいのだと。
少ない友人も結婚するなど環境の変化があり、中々呼ぶこともできなくなりました。
ロルフ様は一緒であればどこへでも連れて行って下さいます。
かわりにふらりと買い物やティールームに行くことや、実家へ顔を出すことはできなくなりました。
いえ、何度かしたことはあるのです。
短時間なら大丈夫だろうと。
なぜか毎回彼は知っていました。
屋敷の者に袖の下を渡して秘密にするように言ったところで、みなロルフ様の味方なのですね。
それに、私の無事を確認させて欲しいと言って、長時間に及ぶ甘い責め苦に私は途中から記憶はありませんし、うんざりしてしまいました。
そんな日は一日中寝台から起き上がれないのですから。
「ずっと俺が世話をしよう」
ロルフ様はとても満足そうに笑うのですが、私には罰のように感じたのです。
私はだんだんと息苦しくなってきました。
全てを管理される生活に。
ロルフ様の重すぎる愛に。
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