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しおりを挟むお兄様が本を貸してくれなかったら、びっくりして泣いてしまったかもしれない。
ノア様は花芽を指で撫でながら、蜜口に指を挿し入れてゆっくりと動かす。
内側に触れられるのは違和感しかなかったのに、ノア様は気持ち良くなるところを探し出してしまった。
「あっ、……んッ、あぁ」
「ここかな? 腰が浮いちゃうの? 可愛い」
同じところばかり触れてきて、頭がおかしくなりそうだから逃げたくもなる。
ノア様にはしたない姿ばかり見せていて恥ずかしいのに。
「イーディ、もう一度ね」
そう言って花芽を舌でとらえる。
そっと触れられただけなのに、私の身体は再び絶頂に押し上げられた。
「んあっ、ノア、さまっ――!」
「指を増やすよ」
きゅうっとノア様の指を食むように締めつけていた場所へ、さらに指を増やされる。
ちょっとだけ苦しい。
でも花芽に触れられているとすぐに気持ちよくなる。
「あっ、また……っ、あ――!」
だんだん達するまでの時間が短くなっているような気がする。
気持ちいいけど苦しい。
だけどノア様は止まってくれない。
もしかして――。
「ごめんなさい、ごめんなさい……っ、いじわるしないで、ノア」
ぴたりと動きを止めたノア様が私を見つめる。
「どうしていじわるだと思ったの?」
「私がノアって呼ばないから……」
何度も乞われたのに。
心の中でもノアって呼べるようにがんばらないと。
「ノア、ノア……私、気をつけるから、だから」
「いじわるなんてしていないよ。ただイーディが可愛くてたくさん愛したいんだ。もちろんこれからもノアと呼んでもらえると嬉しいけど」
ノアは困ったように笑った。
「そう、なの……? 勘違いしてごめんなさい、ノア。私……変じゃない? 変な声も出ちゃうし、自分でいられなくなるみたい」
「そういうものだと思うよ。私も同じ。だから気にしなくていい。イーディが可愛くてしかたなくて、もっと色々な面も見たい」
嘘を言っているように見えなくて、私は手を伸ばしてノア、の髪に触れた。
もっとたくさん呼んだら慣れるかな。
「私もノアのこともっと知りたい。どんどん好きになるの……ノア、たくさん愛して」
「うん、嫌いにならないでほしいな」
「そんなこと……絶対にない、から……っ、ん」
抱きしめられて深く唇を重ねていると、また身体が熱くなる。
「ノア、大好き……」
息つぎの合間にささやくと、同じように大好きだと返してくれる。
どうしよう、幸せすぎてずっとくっついていたい。
「イーディ、もう少しだけ触れさせて」
「……うん」
ぴったり重なり合っていたのにノアがほんの少し身体をずらす。
ノアの指が内側を拡げるようにゆっくり動く。
時々花芽をかすめるから、気持ち良くなってしまう。
「ノア、ノアッ、私……っ!」
「いいよ、もっと求めて」
だんだん快楽が深く、長くなる。
ずっと、ずっと気持ちいい。
「イーディ、私の本当の妻になって」
大きく脚を広げられ、蜜口にノアの――たしか一茎と呼ばれるものが押し当てられた。
「うん、本当の妻になりたい」
答えると同時に、想像より硬い一茎が私の身体を開いていく。
ノアに見つめられて、私も視線を外すことができなくて。
ほんの少し、痛みを逃そうと息を吐く。
「ごめんね、イーディ。やめてあげられないんだ」
「私はだい、じょうぶ……ノアは? 苦しい?」
「ん、平気……」
全然平気そうじゃなくて、ノアが小さく息を吐く。
「強引に押し入りたい気持ちを抑えているところ」
「……え」
ごめんね、って。
目の前にいるのはキラキラした王子様じゃなくて、本音のノア。
「……いいのに」
「イーディ?」
「ノアになら何をされてもいいの」
そう言うとノアの一茎がするりと抜けた。
抜けたと言うより、抜いたみたい。
「どうして?」
「初めての夜が粗末なものになりそうだったから。私は、イーディを可愛がりたいし、泣くほど甘やかしたいし、もっとって言われるほどたくさん愛したい」
ノアの話を理解しようと頭の中でくり返してみるけど、聞き間違えがあったかも。
「……ハニガン公爵家のみんながイーディを領地から出したくないと思っていたのがよくわかるよ」
突然そんなことを言われて驚いた。
「領地どころか、屋敷……いや、寝室に閉じ込めたくなる」
「ノアと一緒なら……いいかな?」
一週間くらいなら仕事にも影響がなさそうだもの。
「もう、本当に……そうしてしまいたいけど」
「続き、する?」
「うん、したいな」
ノアの一茎はやっぱり硬くて、大きいような気がするけどさっき受け入れたところまではすんなり入った。
「あと半分だから……目をそらさないで」
「うん」
指を絡めて、見つめ合いながら、身体を深くつなげていく。
「ノア、ノア……」
ちょっとだけ痛い。
でもすごく気遣ってくれているのがわかるから、痛くても嬉しい。
「イーディ」
お互いの肌がぴたりと重なって、ノアが深く息を吐いた。
「ノアの全部、入ったの?」
「うん」
たくさんのキスが降ってくる。
唇へのキスが一番気持ちいい。
ノアが髪を撫でながら何度も唇を重ねてきた。
「いい子、いい子ってされているみたい」
「……そうかもしれないね」
声に笑いを含んで言う。
ほんの少しの腰を揺らされて、もう子どもじゃないんだって思った。
「動いてみてもいいかな?」
「……えっと、はい」
ポーズ集は見たけどこの先の知識はないかもしれない。
そうだ、子種をいただいたら終わり、のはず。
「ノア、子種をたくさんほしいな」
「……わかって言っているのかな? イーディの望むままに」
ノアがゆっくり腰をひくと鈍い痛みがなくなるようでほっとした。
でもすぐに指で探し出した私が気持ち良くなる浅いところを一茎でゆっくりこすり出す。
「あ、ノアっ、……あ、ああっ」
「ここも」
「あぅ! ど、して……!」
指で花芽に触れてくるから、頭の中が真っ白になる。
「可愛いね、イーディ。子種は奥にいっぱい出すからね」
ノアがゆったりした動きで私を頂きに追い上げる。
「ノアッ、ノア! あっ、あ、もう、あ――‼︎」
ぐっと奥に突き入られて、身体が跳ねる。
深くまで侵入した一茎が律動を速めても、快楽が大きすぎて、痛みなんて陰に潜めた。
「イーディ、ごめん、もう少しだけ」
「ん、いい、よ……ノア」
舌を絡めるキスの後、ノアにたっぷり揺さぶられて、お腹の中が熱くなった。
動きを止めたノアが私をぎゅっと抱きしめる。
「ノア、大好き。ノアの妻になれて嬉しい」
私からも抱きしめると、ノアがそのまま起き上がって私を膝に乗せた。
存在感のあるノアの一茎を受け入れたままなのに……。
「イーディ、ずっと私の腕の中にいて。そのままの君が好きだ。愛しているよ」
「うん、私も。どんなノアも愛しているわ」
抱きしめあったままキスをしていると、ノアの一茎が時々動く。
「ノア、動かしているの?」
「そんな器用なことはできないよ」
「……もう一度したいって言っているの?」
どうかな、ってノアが困ったように笑った。
「身体、つらくない?」
「……ノアが優しくしてくれたから、大丈夫。しよう? ノアに愛されるのは好き」
不思議なことに一茎がどんどん大きくなるみたい。やっぱりノアが動かしているんじゃないかな?
「愛しているよ、イーディ」
ノアは私を抱きしめたまま、優しく愛してくれた。
膝の上に乗ったまま、キスして、髪を撫でて、見つめ合って。
胸に触れたり、背中に触れたりされるのも気持ちいい。
「ノア……もっと、ぎゅ、って」
「うん、わかった」
笑って私の言うとおり抱きしめてくれる。
「可愛い。素直に甘えるのは私の前だけにして」
「ノアも……私の前でだけ本当の姿を見せてくれる?」
「約束する」
きっと公では政略結婚で形だけの夫婦に見えるかもしれない。
でもお父様もお兄様も外と家では態度が違うもの。私たちも同じようにするだけ。
みんなに優しい王子様は、優しいだけじゃない。
けっこう独占欲がつよい?
私を特別だと感じさせてくれる、とても甘い恋人で夫になった。
終
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お読みいただきありがとうございました。
おまけ小話を2つほど更新予定です。
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