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結婚したくない私がお姉様ずるーいってあほの子演じて領地でのんびりしていたらやべえ奴に捕まった話 ※
しおりを挟む* 姉妹もの、悪役にされがちな姉を羨む普通の妹がヒロインです。ふと、両親がまともだったらどんなかな、と。あほなヒロインは前世持ち。♡飛びます。あほエロです。
******
「お姉様ばっかり、ずるいですわっ! 私もそっちのリボンがいいですわっ」
「……フェリシア、あなたの明るい金髪にはレースのついた水色のリボンがとてもよく似合うわ。……こっちは茶色で地味だと思うのだけど」
お姉様が手の中のリボンと私を見比べながら困った顔をする。
あと、もう一押し。
「でもでも、そちらの方がとても素敵だわっ。お姉様、交換して下さいませっ!」
「仕方ないわね……どうぞ」
「ありがとう、お姉様! 優しくて大好きよ!」
頭の上にどでかいリボンを結ぶなんて、十七歳の私にはあほみたいで無理だよ。
だって、前世で日本に生きていた記憶があるけど、リボンで結んでいたのは幼い頃だけ。
顔立ちとしては似合うのかもしれないけど、この茶色のリボンのほうが使いこなせる自信ある!
お姉様にも辱めを受けてほしくないから水色のリボンは封印する。
渡すと、無頓着な侍女が使いそうだし、そもそもお姉様の方がたくさん髪飾りを持っているもの。
「フェリシア! あなたまた、ヘレンのものを奪ったのね……? さぁ、返しなさい! それはヘレンのものよ」
騒ぎを聞きつけてやってきたお母様が、私からリボンを奪おうとする。
「いやです! これは、私がお姉様からもらいました!」
「…………それなら、もう片方をヘレンに」
「いやです! これはだめです!」
お姉様がお馬鹿にみえちゃう。
この世界で十九歳の姉は適齢期。
しかも跡取り。
でもまだ相手が決まっていないから、綺麗にしないとね。
お姉様にはリボンじゃなくて、精巧なつくりの髪飾りがいいと思う。
「まぁ……! あなたはどうしてそんなにヘレンのものを欲しがるの? この間だって、ドレスを奪って……」
だって、孔雀みたいなデザインのドレスと、十二時までに帰らなきゃいけない女の子のためのドレスだったら、孔雀のドレスは選ばない。
「今夜は部屋で反省なさい。夕食は抜きですよ」
ピンクとかブルーの色違いにしてくれたらこんなことにならないのに。
ある意味これも差別じゃない?
嫌がらせを受けているのは私じゃないかと思うんだけど。
それからしばらくして、お姉様は婚約者をゲットした!
正直私は結婚なんてまだしたくない。
前世でだって、結婚してないし政略結婚とかまず無理。
家で親のスネかじっていたいのー!
「お姉様、私にお姉様の婚約者を譲ってくださらない?」
本気ではいらないよ!
こう言えば常識のなさに社交界デビューしなくていいんじゃないかなって考えた。
領地に引っ込んでろって言われたら万々歳。
修道院に行けって言われたら、向かう途中で逃げ出して平民になる覚悟はある。
「フェリシア、しばらく領地で反省しなさい」
お父様がにっがーい顔して言った。
よし。
念のため、もう一押ししておこう。
「そんなのひどいっ! 私、王子様と出会えないじゃないっ。お父様、私ばっかりひどいわっ! 私のデビューは? 私、パーティで真実の愛を見つけたいの!」
お父様が唸った。
「……フェリシアは病弱で、領地から出られない。……今後、領地から出ることを禁ずる!」
「ひどいわ、お父様! 自由なお姉様、ずるい!」
やった! ありがとう。
うまいこと望み通りになったわ‼︎
笑ってしまいそうで唇を噛み締めて俯く。
「お父様、いくらなんでもそこまでは……」
「お前の負担になってすまないが、ヘレンの結婚後は離れに押し込めてしまえばいい」
「でも…………」
まじか。
やった! 超気楽じゃん。
「我が家の恥だ。表に出してはいけない……同じように育てたつもりなのに、どうしてこうなってしまったのか」
「あなた、ごめんなさい……」
お母様が涙ぐんでいる。
みんなごめん、私に前世の記憶があるばかりにこんな態度とっちゃって。
でも私は嬉しい!
家族公認のひきこもりだ~‼︎
姉の結婚式に少しだけ顔を出した後、私は離れでぐうたら生活を満喫していた。
一応、三食食べるために早寝早起き、森の中を散歩。
小さな住まいに通いの侍女。
娘として見放されたようで、両親はほぼ顔を見せない。
お姉様の旦那様は結婚式に会っただけで、お姉様は月に一度くらい、おいしいお菓子を持って一人で会いに来てくれる。
十八歳の誕生日プレゼントは届いたし、ご馳走も並んだ。一人だったけど。
特に寂しいと思わないのは、こっそり街にくり出して美味しいものを食べたりおしゃべりしたり楽しく過ごしているからかな。
ずっと続いて欲しかったのだけど。
「……あなた、誰?」
「あんたの結婚相手」
「嘘でしょ」
離れの中に、知らない男がいること自体、異常事態。
侍女一人いない、まずい。
「嘘じゃないよ、フェリシア。あんたは俺の、このボリス様の嫁にしてやる」
「はい?」
「ここに閉じ込められているんだろ? でも時々街で羽を伸ばしている。だから、俺がここから連れ出す」
えっと。この生活も悪くないんだけどね?
「俺様はそこそこ稼いでいるから、住まいだって同じ規模で用意できるし、苦労はさせねぇ」
ここは一人暮らし用の離れだしなー。
それにここだと家事一切やらないで済むんだけど。
食事も希望を……ごくたまーに聞いてくれるし。
「大丈夫だ! 外の世界でのびのび生きたくないか? さぁ、俺様の手をとれ!」
キラキラした笑顔をむけてくるけど、彼は子どものまま大人になっちゃったタイプの人かな?
えー、お帰り願いたい。
「その……」
「一歩踏み出すのは、怖いよな! 俺様と一緒なら大丈夫だ! さぁ♪」
まるで、アニメ映画の途中で歌が入りそうな場面に自分の身が置かれるなんて。
「行くぞ!」
ひょいっと肩に持ち上げられて、彼はそのまま玄関から飛び出した。
「ええ? 何も持ってない!」
「大丈夫さ! 俺様が全部用意するよ。何てったって、この先の世界に自由がある♪」
鼻歌を歌いながら走り出した。
ええー⁉︎
こんな時に限って、誰もいない。
いた!
けど、一瞬見えたお義兄様がうっすらと笑みを浮かべているのが見えた。
ええー⁉︎
私、もしかして売られた?
穀潰しで目障りだったなら言ってよね!
住まいとか仕事決めてから、たんまり宝石持って出て行ったよぉ~!
「お頭~! おかえりなせぇ!」
「お頭! おつかれしたぁ!」
「お頭ぁ! 明日の目玉っすか⁉︎」
何この、チンピラ感。
「おめーら、こいつは俺様の嫁だ! 敬え! たてまつれ! 手ェ出したら、ブッコロす」
えー、まさか盗賊団とか?
この男、やばすぎる。
「ほら、俺様の嫁が震えてるじゃねーか! おめーら、顔が怖すぎだぁ。だが、今日の俺様は機嫌がいい。これ持って酒場で好きなだけ祝酒飲んでこーい!」
ずっしり重そうな袋をそのまま近くにいた男に渡す。
「うぉー! さすが頭!」
「ありがてぇ! おめっとございまーす」
「おしゃーわせにー!」
騒音。
やべえ。私の身もやべえ。
みんなが部屋を出てから、恐る恐るボリスと名乗った男を見上げた。
「フェリシア、うるさくてすまない。悪い奴らじゃねぇんだ。みんな船乗りだから、荒っぽいが、気のいい奴らさ」
「はぁ……」
盗賊じゃなくてよかったけど!
んん?
海賊じゃない、よね?
「あの……ボリスさんは、お仕事は……」
まさか海賊王目指してるとかないよね?
「あぁ、船で荷物を運搬してんだ。結構金になる」
えーと、海運業ってやつなのかな?
社長みたいな立場なのかも。
「新婚旅行は船で行こう。近々島国へ向かうんだ。なんでも、黒髪ばかりで、米を食う民族らしい。面白そうだろ?」
「うん! 行ってみたい!」
なにそれ、わくわくする!
日本みたいだったらいいなぁ!
「やっと笑ったな。その笑顔に惚れたんだ。なぁ……苦労はさせねえ。俺様のこと好きになれ」
待って待って。
そんな簡単なノリでいいの?
「でも、家族に何も言わずに出てきたから……」
せめて手紙書いて、宝石持ち出して手元に置いときたいんだけど!
「あぁ、大丈夫だ。両親に内緒で連れ出して欲しいってあんたの姉さんに頼まれたからな」
「え? 本当に⁇」
お姉様にも見限られてた⁉︎
「そうだ。ほら、俺様達の愛を貫いていいそうだ。俺様がずっとフェリシアを見つめ続けていたことに姉さん達は応援すると言ってくれた。不自由しないように金も用意してくれたぞ」
それ手切金~!
それって私が街で遊び歩いてたの気づいて、問題起こされると困るからボリスに連れ去るよう計画して、邪魔者追放……?
まじかぁ‼︎
なんか、色々やりすぎたわぁ!
「よし、せっかくだ。船を見せてやろう」
「はい……」
今すぐできることって、この男について行くことくらいだもんね。
玄関を出ると、見張りがいて。いや護衛かな。
すぐに馬車が用意された。
伯爵家よりすごいな。
うーん、やっぱり堅気には見えない。
「さぁ、乗って」
庶民とは思えない豪華な造り。
五分もしないうちに、船へ。
うへぇ。豪華。
貨物船っていうか、人も乗れる客船の趣き。
手を引かれて乗り込み、まっすぐどこかへ向かう。
「俺様の部屋へ行こう。あとで一回り案内するから」
「はい」
ジロジロ船員に見られるのは居心地悪い。
さっきの家にいた人達よりは落ち着いて見えるのは、サービス担当なのかな。
やっぱりお客さんも乗せるんだろうなぁ。
階段を登り高いところへ向かう。
「……ボリスって、まさか、ここの船長?」
にやりと笑って首を振る。
「いや、この船のオーナーだ。ほら、ここだ」
「…………すごい」
驚きすぎて声が出ない。
これはいわゆる、スイートルームのつくりじゃないかな?
広くて明るくて、居心地良さそう。
「気に入ったか?」
「うん! 素敵! 住みたいくらい」
興奮して答えるといきなり抱きしめられた。
「それもいいな。一年中、世界を回るのも楽しいだろう」
「いい! それいい! 最高よ、ボリス! そんなの好きになっちゃうわ」
離れに引きこもって時々こっそり街へ繰り出していた頃より断然いい!
ボリスは荒っぽいけど、私のことは好きだっていうし、大事にしてくれそう!
「よかった。……フェリシア、大事にする」
ボリスが軽く唇を重ねてきた。
「あとで、船長に結婚を認めてもらおう」
「うん♡」
単純、短絡的だけど、運命を信じてみてもいいんじゃないかって。
「フェリシア、愛してるよ」
「ありがとう♡」
そうそう、これが真実の愛なんじゃないかな!
「もっともっと、愛させてくれ」
「どうぞ♡」
可愛らしく、触れるだけのキスをして笑い合う。
ピュアピュア♪
案外純情なのかな?
ギャップ萌えしちゃう。
「フェリシア、もっと近くへ」
「いいよ♡」
腕をボリスの首に回すと、そのままきつく抱きしめられて近くのソファに押し倒された。
「ふぁっ♡」
「すまない、ベッドまで待てない」
覆い被さり、私の着ていたドレスをどこからか取り出したナイフで引き裂いていく。
「ドレスがっ! まだ着替えがないのにっ」
「心配するな、クローゼットに一通り用意してある。もちろん、欲しいものは何でも買っていい」
「なんでも?」
「あぁ、金で買えるものは何でも言ってみろ」
「城、とか?」
試しにそう言うと、首を傾げる。
「どこか欲しいところあるのか? すでに一つ持っていて、今度そこに行くから、違う趣きの城がいいな」
城持ってるんだ。すごいな。
「えっと、言ってみただけ……そこに連れてって貰えば十分かな。えへっ♡」
もしかして貧しい小国も金で買えちゃう人?
冗談でもお姫様になりたいとか、女王になりたいなんて言えない。怖い。
責任取りたくないから絶対無理~!
「俺様の嫁になるんだ、何でも思いついたらたら言えよ?」
「うん♡」
お喋りに気を取られているうちに、ドレスも下着も切り取られて、なんか……いやらしく残されてる。
前世で彼氏と観たAVみたい。
この世界でもこういうの好きな人いるんだ……。
「…………」
「きれいだよ、フェリシア」
ボリスも身につけていたものを脱ぎ捨て、畳む。
えー?
私のはボロ切れにしておいて、自分のは畳んじゃうんだ。
つっこみたいのを我慢していると、覆い被さってキスをした。
「今日は二人の初めてだから、これを使うよ」
小瓶を手に取り中身を私の身体に塗り広げる。
香油、かな?
器用な手つきで私の胸にも垂らして大きな手で包んで揉むから。
「柔らかくてきれいだな」
「あ♡ぁあ♡♡」
胸なんて触れられても何とも思ったことないのに。
「こっちにも、塗り込んでやる」
脚のつけ根にたっぷり垂らして外側から全体に塗り込み、クリトリスを刺激するから体が快楽を拾う。
「あっ♡まって♡ボリス♡♡♡」
「中にも、ほら……。あぁ、いらなかったか。熱くて蕩けていて、今すぐ入りたい」
二本の指で中を探りながらかき回してわざと音をたてているみたい。
「これまでの男は忘れろよ。これからは俺様だけだ」
「っ⁉︎」
街で遊び歩いていたの、バレてる!
ボリス、ストーカーじゃね?
いや、でも危ないことに巻き込まれなかったのは彼のおかげかもしれない。
指が抜かれて、ボリスの荒ぶるティンコが突っ込まれた。
「ああんっ♡♡♡しゅごいっ♡」
「……っ、フェリシア、クッ……たまんねぇ! 今夜は俺様につき合ってもらうぜぇ」
「いいっ♡ボリス♡♡いっぱい突いてぇ♡♡♡」
ボリスのどや顔が可愛く見える。
こっちの相性もいいみたい。
やっぱり私達真実の愛を掴んだんだ!
「……っ、あとで! へさきに立たせてやるぜ。いい景色なんだ……ちゃんと俺様が支えてやるから安心しな」
「うん♡それ、そーだいぃ♡♡あっ♡んんっ♡たのしみっ♡♡」
ぱちゅんぱちゅんと突き込まれて頭が真っ白になる。
「よし、それなら、このまま移動するぞ!」
抱き起こされてドアに向かって歩き出す。
「いやーーっ♡見られたくないぃ♡♡」
「俺様は嫁を見せびらかしたいんだ!」
変態、変態!
やっぱりやべえ奴だ。
「ここで♡ここがいいっ♡べ、ベッドぉー♡♡♡ベッドで抱いて~♡ボリス、好き♡お願い♡♡♡」
「……よし、わかった。寝室へ行くぞ」
私を抱えたまま部屋の中の階段を登り始めるボリス。
室内で二階建ての贅沢空間! 素敵~☆
力持ちでワイルドォ~!
やべえ奴だけど、わがまま聞いてくれて懐深ーい!
真実の愛、最高~‼︎
「すきっ♡」
「ああ、俺様も愛してるぜ!」
こうして私達は世界中を船で周る仲良し夫婦として後世に名前を残した!
かどうかは知らんけど仲良く暮らしたよ。
終
******
お読みくださりありがとうございます。
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