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勇者は帰還後、私のために守った童貞を受け取れと言う。(息抜き) ※

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* 前向きなヘタレっぽい勇者とSっ気のある未亡人。勇者は間違った知識でバイオレンスなエロに持ち込もうとするので、コメディですが苦手な方はバックしてください。

  






******


「ただいま」
「お帰りなさい」

 勇者が旅立った四年などあっという間に過ぎていった。
 魔王を倒し、王から姫との結婚を仄めかされたのに私を望んだと言う変わり者。

「この四年、数々の誘いにのらず俺はあなたを想って耐えてきた」
「……それは……それはまた」

 彼が童貞なのは知っていた。
 彼がこの世界に初めてやってきた場所は、私の住む子爵領だったから。
 たった一人、九歳で心細くて頼りなげな様子をみせる彼を私は可愛がった。

 その一年後、十八歳で私が嫁ぐ日、彼は泣いてすがった。
 跳ねっ返りで子爵令嬢らしくない私でもいいといってくれたのは二十歳年上の男爵で、迎えにきた旦那様に納得いかなかったらしい。

『僕が大人になるまで結婚しないで待って!』

 そう言ったあの日の彼はかわいかった。
 なだめるのは大変だったけど。
 
 私が二十四歳の時、結婚相手が亡くなって出戻った。
 前妻の子が跡継ぎとしていたし、早く言えば追い出されたわけだ。

 入れ替わるように魔王を倒しに行くことになった十六歳の彼から、俺の童貞をもらって欲しいと頼まれた。
 もちろん断った。

『それは……生きて帰って来いってことだね? 無事戻ったら、俺の童貞をもらって‼︎』
 
 彼はいつも前向きだった。

『私が再婚していなかったら』

 私は子爵家の片隅で生涯を終えるつもりでいたけど、彼は若いから旅の間にそんなものは捨ててくるだろうと思った。
 







 それなのに。
 陛下は仕事が早い。
 あっという間に私は嫁にされ、下賜された領地へ向かった。
 いつの間にか筋肉質になった身体で私を軽々抱き抱え、今夜初めての夜を迎える。

「……やり方は分かっているのか?」
「…………っ‼︎ 一応、教えてもらった……魔法使いに」
「そう、か……しかし、あいつは」

 その界隈では有名なサディストじゃなかったか?
 一抹の不安を抱えつつ、ベッドに下された。

「……俺、頑張るから……できるかな、いや、がんばる………………この、雌豚ァ!」

 いきなり私の髪をぐっとひっぱった。

「……ぃっ! 手を放せっ!」

 彼の手首を握り、力を込める。
 目を泳がせてえ? え? っとうろたえるから大きく息を吐いた。

「あいつはこの後、なんて言ってた?」
「……えと、服を脱がせて、身体中に噛みつき、その……罵り、蔑め、と」
「ほう……なるほど。それでほかになんと?」

「痛がっても、それはもっとやれって意味だと。場合によっては縛ってもいいって」
「……あとは?」
「棒を突っ込め、と」
「棒?」

 比喩ではなく?
 彼の視線の先に張り型がちんまり、置かれていた。
 いや、違う。
 あれは麺棒ではないか?

 一体どういうつもりだ、魔術師のケツにぶち込んでやりたい。

「…………一旦、すべて忘れろ。そのやり方は一般的ではない!」
「でもそれが普通だと……」

 涙目でおろおろする姿が、情けなく可愛い。

「教わった相手が悪かったな。……本能に従えばいいんだ……」

 こくりと頷く彼の頬に手を伸ばす。

「キス、しよう」

 彼の肩を押して起き上がり、そっと唇に触れた。
 ぴくりと震えるのを感じて強く押しつける。

「……柔らかい……」
「そうだな」

 ためらいなく自分の服を脱ぎ、彼の衣服を一気に剥ぎ取った。
 勢いも大事。

「え、……ちょっ、と……⁉︎」

 慌てて後ろに下がる彼にぎゅっと抱きついた。

「刺激が強すぎるか?」
「え? え? なんで?」
「子作りするんだろう? 早く慣れろ」

 もう一度口を合わせてそのまま話す。

「ほら、勇者、舌伸ばせ」
「……今は、その呼び名じゃなくて……あっ……」

 伸ばされた舌を吸い、己の舌と絡める。

「たまには、初心に戻るのがいいと思ってな……ほら、お前が最初につけたあの名を呼んでくれ」
「……っ!」
「さぁ」

 彼の陰茎の根元をぐっと握る。
 なんと、可愛い顔をするものか。

「……ボクノメガミサマ……」
「なぜ、赤くなる? そんなに恥ずかしい名をつけたのか?」
「違う! あの時本当にそう思ったんだ!…………」
「そうか……じゃあ、もう一度呼んでくれ」

 ふぅっと息を吐いてから、真っ直ぐみつめてくる。

「……僕の女神様、好きだっ」

 名前を呼ばれると同時に彼に乗ってずぶずぶと陰茎を受け入れた。

「……っ! ぇえ……」
「……もう、子種をくれたのか?」
「…………ごめん」
「なぜ謝る? ほらもう一度」

 口づけてわざと胸を押しつける。
 それだけでむくむくと陰茎が大きくなった。
 彼を抱きしめたまま、ぐっと後ろに体重をかけてぽすんと倒れた。
 彼の重みも好ましい。

「わわっ!」
「動いてみたいだろう? 勇者よ」
「……タケって呼んで‼︎」
「ふむ、勇者と呼ぶと元気がなくなるのだな」
「……こんな時くらい、優しくして」

 まったく、かわいすぎる。

「好きだぞ、タケ。……キスして」

 ゴクリと唾を飲む彼に微笑む。
 それからそっと目を閉じた。
 優しく触れる唇ににんまりして、カッと目を開ける。

「っ‼︎」

 ぴくりと彼の身体が震えた。

「すまない……そんなに驚くと思わなくて」
「……いたずらが、過ぎるよ……初めてなのに」

 本気で好きなのに。
 そう呟いた彼が、ゆっくりと腰を引いた。

「んっ……!」

 思いがけず漏らした私の声にそれはそれは嬉しそうに笑った。
 それから私の太ももに手を這わせ、グッと腰を突き出した。

「……ぁあっ……!」

 久しぶりの感覚だけれど、ただほんの少し擦られただけで、こんなに気持ちいいことだった記憶は全くない。
 なんだ、これ……?

「ねぇ……俺でも、気持ちよくなってくれる? さっき、イったばかりだから、今度は多分、大丈夫……俺、頑張るから」
 
 私の顔をじっと見ながら、腰を打ちつける。

「……どういうのが好き? 答えてくれないの?」
「……っ! ふぁっ……、あっ……!」

 勢いよく突き挿れられて、意味のない言葉しか口から出ない。
 意外と相性がいいのか、陰茎を逃すまいと内壁が蠢き、愛液が溢れる。
 じゅぷじゅぷと水音を立てて抽挿され、身体が跳ねた。

「……ぁっ……んんっ、タケっ……」
「ぬるぬるして、あったかくて、気持ちいいッ」

 彼に乱されるなんて思わなくて、混乱するしちょっと悔しい。
 でも身体は正直だし、快楽に染まった顔を今さら隠すこともできない。

「……顔見てれば……気持ち、よくなってるか、わかるもんだねッ……いっぱい、したい! いっぱいして……脳みそ、蕩けるくらい、やりまくって、いっぱい俺の子産んでッ! 野球チームができるくらいっ!」

 ヤキュウチーム?

「あ、わからないッ? じゃあ、サッカーチームがっ、作れるくらい!」
「……あぁっ‼︎ いぃっ!」

 おもいきり抽挿されて絶頂に押し上げられる。
 真っ白な頭に彼の話す言葉がわからない。

「いいの! ヤッタ! ありがとッ」

 嬉しそうに私の中で吐精して、また腰を振り始める。

「すっごい、気持ちいいッ‼︎ やっぱり、僕の女神様だッ……」

 若いって怖い。
 回復力が早すぎる。
 
「ね? 後ろからしたい。いいよね」

 力の抜けた私の身体をひっくりかえし、ずちゅんと勢いよく打ちつける。

「ああぁぁーーっ!」
「これ好き? 顔見えないけど、中、すごく! 締めつけて、くるね」

 耳元に彼の荒い息がかかり、腰のあたりがむずむずする。
 
「今、締まった……ね? 耳弱いのかな、俺の奥さんはッ」
「知らないっ……」

 ぐりぐりと押しつけるように動くから、イきそうだけど今ひとつ物足りない。

「俺しか知らないの……? 嬉しい……、じゃあ、いっぱい探させてね。……俺、本能で見つけてみせるッ‼︎」

 ぱちゅんぱちゅんと激しく肌を打つ。

「もぉ、だめっ、あぁっ……!」
「……‼︎ はぁ、はぁ、はぁ……気持ちいい……もうちょっとしよう」

 白濁を吐き出しながらゆるゆると腰を振るから私は振り向いてキッと睨む。

「今夜は終わりだ、勇者」

 小さくなった陰茎がずるりと抜けた。

「でも……サッカーチーム作るにはもっと…」

 涙目で見られたら叶えてあげたくなるじゃないか。
 なんだかんだと私はタケに甘い。

「…………何人子どもが欲しいんだ?」
「十一人?」
「無理だ」
「じゃあ、バスケチームで……」
「さっきから意味がわからん!」
「五人でお願いしますッ‼︎」

 異世界から来た勇者は子沢山の父親になった。
 


 



               終
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