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「ディルク……あなたはいいの?」

 ハンナは自分の気持ちに抗わないことにした。
 ディルクが片眉を上げて答える。 

「今始めたら、朝起きれるかわからないぞ」

 それでも。
 大切なものに触れるように優しく蕩けさせられたら、もっと彼の熱に触れたいと思ってしまったのだ。
 自分は実に単純にできている。
 ズボンの下で硬くなっている彼自身にそっと触れた。

「あとで文句は言わないから……」

 耳元にそっと唇を寄せた。 

「あなたを感じたいの」

 ディルクは低く唸ると、さっと服を脱ぎ捨ててハンナに覆いかぶさった。 

「このまま荒々しく貫いてしまいたいが優しくしたい。……今、相反する気持ちと闘っている」

 彼の率直な言葉に、ハンナが彼の頬に触れ唇を重ね、ディルクに両脚を絡めると引き寄せた。
 そのままぎゅっと抱きついてディルク自身が下腹に当たりぴくりと動くのを感じる。

「そんなに煽って……」 

 ディルクが少しだけ下に移動し、剛直を握るとハンナの秘裂に擦りつけた。
 温かく潤んだそこは剛直を待ち望んでいて、吸いつくようにそれを求めている。
 
「……呑み込まれそうだ」 

 秘核に触れるとハンナの体が跳ねた。

「あぁっ、おねがい……」

 何度か前後に動かして丸い先端だけを抜き差しして濡れた音を響かせる。
 ぐっと押し入るとハンナの内壁が逃さないというように締めつけた。
 味わうように前後に揺らしながら全てを収める。
 お互いから吐息がもれ、抱きしめ合ってしっとりと唇を重ねた。
 
 それから、ディルクはぎりぎりまで抜いてはゆっくり最奥を突く。
 繰り返すもどかしさにハンナは身悶えた。 
 それからあやすように下腹を撫で、内側から子宮の入り口を叩く。
 ハンナの紅潮した顔を見ながら、最奥に剛直を強く押しつけ、小さく規則的に突いた。

「それっ、いい、……ディル、ク……!」

 お互いの舌を絡め、どこまでが自分かわからないくらい重なり合って、ハンナは達した。
 それでもディルクはハンナを揺さぶり続ける。

「これも、好きか?」
「いいっ……す、ごく、いい……」

 達したまま体を震わせ、潤んだ瞳で見上げてくる様も、熱く締めつけてくる内壁にもディルクは昂ぶった。

 それからハンナの左脚を抱えて激しく腰を打ちつけ、彼女を絶対に離さないと心に誓って白濁を吐き出した。



***



 翌朝はやはり起き上がることができなくて、きっちり体を休めたさらに次の日の早朝に二人で家を出た。
 ディルクの家から市街地まで三時間。

 お互いが同業者だし、せっかくだからと街に部屋を借りて一緒に暮らすことに。
 しかもなぜか役所に連れて行かれてハンナはその場で結婚していた。 

 お互いに勢いしかないけれど、後悔はしていない。
 それにゆくゆくは夫婦パーティを組むことになりそうな予感。

「あっさり部屋が決まってよかったな」

 さっそく最低限の生活用品を揃えて、生活の拠点を作ると二人は寝台に腰を下ろした。 
 山を下りて三日、行動力がありすぎると思う。

「そうね」

 そう言ってハンナはディルクの肩を押して上からまたがった。
 
「どうした?」
「あのね。私、やられたらやり返すのが信条なの」

 しっとりと微笑むとディルクの体に手を這わせた。
 きっとまだ頭の中が浮かれて桃色なのかもしれない。
 なぜか今すぐ彼が欲しかった。
 
 わざと尻の下の剛直に擦りつけるように動いて、服をたくし上げると小さな胸の突起に噛みついた。
 ディルクが呻くのを聞いて労わるように優しく舐める。
 腰を浮かせて熱く滾った剛直を服の上から強く握った。

「こっちも……舐めて欲しい?」
「……ああ」

 ハンナの舌の動きをじっと目で追った。

「まだ、だめ」

 と、焦らすように笑みを深めて反対の胸を舐めた。
 ディルクは一度瞬いて、ハンナの腰を掴むとぐっと自身に近づけた。
 擦りつけるように動かすから、ハンナがそっと腰を浮かせる。

「……あとで」

 そう言って体中に口づけしながらディルクの脚の間まで下がる。
 衣をくつろげ、目の前に飛び出した剛直を間近で見つめた。
 思った通りの存在感に圧倒される。
 両手で軽く握り、音を立てて口づけた。
 ぴくりと跳ねたのを見て小さく笑むと、根元から先端に向かってゆっくり唇を這わせる。
 笠の部分を啄み、濡れた先端まできてようやく舌を這わせた。
 唾液を垂らし、唇だけで伸ばすように竿を濡らして何度か上下に滑らせながら先端を指の腹で撫でた。
 
「随分……焦らすんだな……」

 色欲をのせた眼差しにハンナは思わず手のものを握りしめた。
 見なかったことにしてぱくりと先端を口に含み、そのまま先端のくぼみに舌を這わせて差し込む。

 ディルクが小さく呻いたのを聞いて、しばらく舐め回したあとで大きく咥え込んだ。
 舌を這わせながらゆっくり頭を上下させて手で扱く。
 
 ちらりと仰ぎみれば獰猛な顔つきで耐えるディルクと目が合い、やり過ぎたとハンナは息を呑んだ。
 
「早く挿れたい」

 これまでの男を端から潰していきたい気分でもあるが、とささやきながらハンナの脇に手を入れてひっぱりあげる。
 驚いたハンナは瞬きを繰り返した。

「ディルク?」
「埋め合わせは後で」

 そう言って下着ごと服を下げて脱がすと、濡れた蜜口に剛直を当て下からひと息に突き上げる。
 内壁が震え、ぴったりと包み込んだ。
 
「あぁっ……待って!」
「待てない」

 強く揺さぶられて強制的に高みへと連れていかれる。
 ディルクの胸に手をついて身を起こそうとすると、尻を押さえられてぐりぐりと擦り付けられた。 
 熱が退く前にさらなる刺激でまた昇りつめる。

「礼はすぐ返す主義だ」

 ディルクが息を漏らすように笑った。



***



 いつの間にか月が出ていた。
 始めた時はまだ明るく、お互いの表情も姿もすべて晒していたのに。
 ディルクの太腿の上に座り、彼の肩に頭を乗せたまま呟いた。

「そろそろ、落ち着くんじゃないの?」

 先ほど吐き出したのにまだ少し芯を持ったまま、ハンナの中に存在しているのだ。
 そう言われてディルクは短く笑った。   
 ハンナの肩をそっと押し仰向けに倒すと、両足を耳の横に押しつけて、柔らかいなと言う。

「まだまだ。全然足りないんだ。ハンナが欲しくてたまらない」

 休ませてあげようと思ったんだが、とディルクが言って真上から覗き込む。
 ハンナは体を動かすのも億劫なのに、まだ付き合う気になっている自分に呆れた。

「こっち見て」
「んん……っ」

 押しつぶすように秘核に触れられて、剛直を締めつけ奥へと誘い込んだ。
 それに応えてぐぐっと質量が増す。
 ディルクを見ると、愉しそうに笑っていた。

 目の前の卑猥な光景に体の中から潤むのがわかった。
 押し込まれるたびに白濁が溢れて腹に落ちた。粘着音を聞きながら、蜜口に出入りする剛直の生々しい様子に、目が離せない。

「あぁ……溢れてしまったな。もっと受け止めてくれ」

 体を倒して噛みつくように唇を重ねた。

「……んっ、もう一度だけね」

 ディルクが嬉しそうに笑い、ハンナもそれにつられた。
 お互いに長い間満たされないものを抱えていたのかもしれない。
 山で出逢っていなければ、結び合わさることのなかった縁。

 これを愛と呼んでいいのかわからないけれど、満たされるまでまだしばらくお互いを求め続けるのだろう。







            終






******


 拙い話に最後までおつきあいくださりありがとうございました!

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