19 / 20
えんちょうせん ご
しおりを挟む* 少し♡飛びます。
******
「……作りすぎじゃないか?」
ワタシが靴下にケープ、ベストを量産しているのをみてアルが言う。
「どこが?」
ふわふわしたものに囲まれて嬉しいんだけどな。
「……疲れないのか? 無理してほしくない」
「アル優しい~! 嬉しい! あのね! やることなくて暇なの。それにね、この子、秋生まれになるでしょ?」
「ああ」
「つまり、生まれたてのちっちゃい子が寒ーい冬を乗り越えるの! たくさん必要でしょ? でも……アルに似たら、筋肉におおわれているのかなぁ?」
「……それはねぇだろ」
アルが重くなったワタシを膝に乗せる。
ぽこっと大きくなったお腹が動いた。
「アル……今動いたね! アルがパパってわかってるんだねぇ。どっちかな? パパ大好きな女の子かもしれない。それとも、男の子でパパと戦いごっこがしたいのかもしれないねぇ」
アルの子だからか本当にお腹が大きくなった。
「どっちでもいい。どっちも、可愛いだろ」
きゅうぅん。
「アルに似たら、男の子はカッコいいし! 女の子も、女の子にモテるようなカッコいい子になっちゃうねぇ!」
「……ねぇな。それはない」
アルってばホントに謙虚なんだからぁ!
大好き。
なんて最高な番なんだろう!
「はぁ……♡ とりあえず、もう少し作るね。産まれたら編み物する時間もあまりなさそうだもん!」
「しかたねぇな。……疲れたら肩揉んでやる」
アル、最高のダンナ様!
そして産まれたのは、ワタシにそっくりな双子の男の子だった!
「意外。アルの子だからお腹がおっきいと思ったら、双子だったんだねぇ。……ほら、たくさん編んでよかった! 足りるかなぁ……」
アルにはワタシの言葉が届いてないみたい。
じーっと、双子を眺めては自分の手と見比べている。
「可愛い。俺の片手に乗るな……なんてちっちゃいんだ」
「すぐおっきくなるんだよ~。だからね、二人の成長から目が離せないよね!」
「……あぁ、そうだな。……キャット、お疲れ様。俺は幸せもんだな」
アルの目に涙が溜まってる。
「アル、アルと出会えたから今があるんだね! ワタシの方が幸せ者だよ! もっともっと幸せを増やしていこうよ! ちょっと大変だったけど、たっくさんの子供に囲まれてワタシはアルと生きていきたい」
「…………」
ワタシはそーっと、アルに手を伸ばした。
アルが双子を潰さないようにそーっとワタシを抱きしめる。
シアワセ。
「名前は……ワタシが決めてもいい?」
「あぁ、もちろん」
「ゴンゾー! ちょっと待ってね! リュウベー! 大丈夫、慌てないで!」
二人とも一歳を過ぎて、歩けるようになると、ヤンチャな面をみせるようになった。
外で双子の名前を呼ぶと、振り返られるのはどうしてかなあ?
異国の本で見た、カッコいい名前にしたんだけど新し過ぎたのかな。
一瞬でも目を離すと、どこかへ飛び出すから本当に気が抜けない。
見通しのいい広場で一緒に遊んだ後、仕事から戻ってきたアルと四人で昼ごはんを食べたら、双子は夢の中へ。
そうっと起きて寝室を出る。
「アル、今日の午後はお休み?」
「あぁ。たまにはな」
ソファに座るアルの膝にちょこんと座ってぎゅーっと抱きしめる。
「アルを独り占めだね。はぁ……♡ 最近忙しかったねぇ」
「そうだな」
アルの手がワタシの背中を労るように撫でる。
ほっとして、顔を上げると唇が重なった。
「アル、元気だね?」
陰茎がお尻に当たって主張している。
「……しばらく起きないか?」
「多分?」
正直わからないけど、たっぷり外遊びしたから、きっと……。
そう思っていると、アルが慌ただしくワタシのスカートをまくり上げて下着をずらした。
「アルっ! ここで⁉︎」
「移動する時間も惜しい」
そう言って蜜口に指を差し入れワタシから快楽を引き出す。
子どもを産んでからのほうが丁寧な感じがするのは、産後に初めてした時、ものすごく痛がったからかもしれない。
久しぶりすぎてアルの精液の効果が切れちゃったんだなぁ。
「キャット、腰を上げろ」
「んっ♡」
アルをまたぐと、陰茎がワタシの中にずぷんとハマった。
気持ちいい。
「ああっ♡」
「舌だせ」
「んんっ、アルッ。声漏れちゃうぅ♡」
口は塞がっているような、そうでないような。
これじゃあ、双子が起きちゃうかもしれない。
「しっかり塞いでやるから」
下から押しつけるようにゆるりと動いてから、いきなり腰を持ってぱんぱんと突き上げられた。
「ん、だめっ、アルぅ♡」
気持ちよくて、陰茎を締めつけちゃうし、声だって我慢できない。
舌を絡め合っていたら口が開いちゃうと思うんだけど!
「しかたねぇな」
いつの間にか天井を見上げていて。
ソファに背中が沈み、アルが上からプレスするように腰を振る。
「あ、あぁ、んんっーー!」
慌てて口を押さえる。
アルのすること全部好きだし、さっきのも、これも気持ちいい。
すぐ気持ちよくなっちゃってオカシイ。
ワタシ、子どもを産んでもまだまだアルとしてたい。
これって好きだからだよね。
それともインランになっちゃった?
「アルっ! 出してっ……アルの、ちょうだい」
アルの精液はお薬だもんね。
アルから貰えばいつも落ち着くから。
「……キャットッ!」
ウホ、って漏らした後、じわじわとワタシの中に広がって安心した。
「アル、大好き。はぁ♡シアワセ」
「俺もだ。もう一度できる時間あるか?」
「多分?」
そうして再びワタシ達は新しい命を授かり、またしても!
双子のワタシ似の男の子が誕生した!
「ゴンゾー! リュウベー! 弟達を一人ずつバディにして! クンペー! コジロー! お兄ちゃん達の言うこと聞くのよ!」
ワタシの子供達はみんな可愛い。
とってもとっても可愛い。
見た目はワタシに似たけど、中身はそれぞれアルに似ているところがあって、それを見つけると嬉しくなってたまらない。
アルが建ててくれた大きな家に、子ども達は一人部屋を持っているけど、なぜか順番に泊まりっこをしている。
子ども達が赤ちゃんの頃は大変だったけど、今は子ども同士で遊べるようになってきたから、少し楽になってきたかな。
「ママ……」
「なぁに、フェリシエンヌ」
息子達の名前はワタシが頑張ってつけたのだけど、続けて産まれた娘の名前はアルがどうしてもつけたいと言って、とてつもない幸運、みたいな意味らしい名前をつけた。
アルのこだわりステキ!
気持ちとしては、息子達と揃えた名前にしたかったけど、ま、いっか!
みんながすくすく育つのを見ていると本当にシアワセ。
フェリシエンヌ……こっそり、フェルと呼んでるけど……これまたワタシにそっくりだった!
考えてみたら、アルは隔世遺伝だもんね。
ワタシはアルそっくりの孫を見ることになるのかな。
今から楽しみで仕方ないよ!
******
お読みくださりありがとうございます。
ちょうどこどもの日ですね。
0
お気に入りに追加
539
あなたにおすすめの小説
義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
獣人公爵のエスコート
ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。
将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。
軽いすれ違いです。
書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。
オネエなエリート研究者がしつこすぎて困ってます!
まるい丸
恋愛
獣人と人の割合が6対4という世界で暮らしているマリは25歳になり早く結婚せねばと焦っていた。しかし婚活は20連敗中。そんな連敗続きの彼女に1年前から猛アプローチしてくる国立研究所に勤めるエリート研究者がいた。けれどその人は癖アリで……
「マリちゃんあたしがお嫁さんにしてあ・げ・る♡」
「早く結婚したいけどあなたとは嫌です!!」
「照れてないで素直になりなさい♡」
果たして彼女の婚活は成功するのか
※全5話完結
※ムーンライトノベルズでも同タイトルで掲載しています、興味がありましたらそちらもご覧いただけると嬉しいです!
急に運命の番と言われても。夜会で永遠の愛を誓われ駆け落ちし、数年後ぽい捨てされた母を持つ平民娘は、氷の騎士の甘い求婚を冷たく拒む。
石河 翠
恋愛
ルビーの花屋に、隣国の氷の騎士ディランが現れた。
雪豹の獣人である彼は番の匂いを追いかけていたらしい。ところが花屋に着いたとたんに、手がかりを失ってしまったというのだ。
一時的に鼻が詰まった人間並みの嗅覚になったディランだが、番が見つかるまでは帰らないと言い張る始末。ルビーは彼の世話をする羽目に。
ルビーと喧嘩をしつつ、人間についての理解を深めていくディラン。
その後嗅覚を取り戻したディランは番の正体に歓喜し、公衆の面前で結婚を申し込むが冷たく拒まれる。ルビーが求婚を断ったのには理由があって……。
愛されることが怖い臆病なヒロインと、彼女のためならすべてを捨てる一途でだだ甘なヒーローの恋物語。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACより、チョコラテさまの作品(ID25481643)をお借りしています。
大好きだけど、結婚はできません!〜強面彼氏に強引に溺愛されて、困っています〜
楠結衣
恋愛
冷たい川に落ちてしまったリス獣人のミーナは、薄れゆく意識の中、水中を飛ぶような速さで泳いできた一人の青年に助け出される。
ミーナを助けてくれた鍛冶屋のリュークは、鋭く睨むワイルドな人で。思わず身をすくませたけど、見た目と違って優しいリュークに次第に心惹かれていく。
さらに結婚を前提の告白をされてしまうのだけど、リュークの夢は故郷で鍛冶屋をひらくことだと告げられて。
(リュークのことは好きだけど、彼が住むのは北にある氷の国。寒すぎると冬眠してしまう私には無理!)
と断ったのに、なぜか諦めないリュークと期限付きでお試しの恋人に?!
「泊まっていい?」
「今日、泊まってけ」
「俺の故郷で結婚してほしい!」
あまく溺愛してくるリュークに、ミーナの好きの気持ちは加速していく。
やっぱり、氷の国に一緒に行きたい!寒さに慣れると決意したミーナはある行動に出る……。
ミーナの一途な想いの行方は?二人の恋の結末は?!
健気でかわいいリス獣人と、見た目が怖いのに甘々なペンギン獣人の恋物語。
一途で溺愛なハッピーエンドストーリーです。
*小説家になろう様でも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる