後ろ姿で番と気づいたけど相手はほぼゴリラだった

能登原あめ

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おまけ

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「母さ~ん! 番みつけてきた!」

 ワタシはアルを連れて実家に帰った。
 庭で洗濯物を干している母に声をかけた。

「番? あら、はじめまして、ゴリラの獣人さん?」
「うん、そう。彼は」
「はじめまして、アルです。俺は」
「猟師さんでね、結婚するの! 父さんや兄さんたちいるの?」
「いるわよ? こちらへどうぞ」
「……お邪魔します」





「父さ~ん、ただいま! 番連れてきた!」

 椅子にゆったり腰かけていた父さんがガタッと立ち上がった。

「キャットの番の……ゴ、アルさん。ゴリラ獣人で猟師なんですって。こんなに早くみつかるとは思わなかったわねぇ」

 母さんが説明してくれる。

「はじめまして。ゴ、アルさん。落ち着きのない娘ですが素直な子なのでどうか、どうかよろしく」
「はじめまして。いえ、こちらこそよろしくお願いします。……俺は」

 私の声に気づいたのか、二階から兄達が降りてきた。

「あ、兄さん! 紹介する」
「キャットの番でゴリラ獣人のゴ、アルさん。猟師だそうだ」

 ワタシが説明する前に父さんが口を出す。

「はじめまして、俺は」
「はじめまして、ゴ、アルさん」
「番? キャットにはあんたみたいな落ち着いた男がいいんだろうな」
「兄さん、あんたとか言わないで! ワタシの最愛の番はこの世で一番カッコよくて超カッコよくて、超絶カッコいいんだから!」
「…………」
「…………かっこいいしか言えてねーじゃん」
「あの、俺は」
「ゴ、アルさんにはこれが番で気の毒だが、あほな妹をよろしく頼む」
「アルは『お前は本当にかわいいよ』って言ってくれたもん!」
「…………」
「……そりゃ、番だしな」
「アルはね~!」

 喧嘩になりそうな気配を察したのか母さんが間に入る。

「まぁまぁ、おめでたいんだからお茶にしましょう」

 ワタシの家族は自由に話し出すからアルはびっくりしていたみたい。
 







「…………賑やかでいい家族だな。会えてよかったよ」
 
 結婚も番だからあっさり喜んでもらえて、あの後一緒にご飯を食べて二人の家に戻ってきた。
 アルの家族は数年前に流行病で次々に命を奪われたと聞いたから、これからはワタシがずっとそばにいるんだ。

「アル、ごめんね? 失礼な兄達で」
「いや、それは全然。……それより、俺はゴリラ獣人じゃないぞ?」
「そうだっけ? まぁ、アルが言うならそれでいっか。次訂正しとくね」

 アルのルーツが永遠の謎となった。
 ワタシは血が混じってると信じてるけどね?

「名前もな」
「う~ん、なんでみんな『御、アルさん』って呼んでたんだろうねぇ? あれ、敬称なの? ワタシが知らないだけで。御主人、とか、御夫妻とか、そういう感じの?」
「…………(ゴリラのゴだろ)」

 アルが無言でワタシを抱き上げてお風呂に向かう。
 たっくさん石鹸をもらってきたから、なんとなくアルがご機嫌に見える。
 以前一緒に入った後はなんだかんだとバタバタして別々に入ることが多かったから、楽しみだな。
 アルもそう思ってくれてる?

「今日は俺が洗ってやろう。約束したからな?」
「うん、ありがと~、ワタシの番はやさしいなぁ」
「そうでもない。遠慮するなよ?」









「アルっ、そぉじゃない!」

 石鹸をたっぷりつけて、胸を揉まれるとムズムズする。
 番に体を洗われるってこんな気持ちになるの?

「遠慮するな……しっかりきれいにしてやるから」

 ワタシはアルの膝に抱えられて逃げ場がない。

「そこはもぉきれいだよぉ……!」
「……そうか?じゃあ、こっちか」 
「んんっ……そこ、は……しみるから優しくして……」

 脚の間に優しく触れられて体が震える。

「アルぅ、痛くなっちゃう、からぁ、早く流してっ」

 シャワーを手に取ったアルが、ワタシの全身をきれいに流す。
 
「気持ちいいけど、なんかおかしい……」
「……まぁ、そうだよな。次からも洗ってやる」
「……アル、楽しいの?」
「楽しいな」
「もしかして、この間……アルもムズムズしたの?」
「したな」

 そっか。
 わかった。

「ワタシもこの間楽しかったからおあいこだねぇ!」
「……そうか、いいのか……」

 なんだか脱力したアルにワタシは抱きついた。

「アル、して?」
「…………」
「アルだっておっきくなってる。ちょーだい?」

 さっきからワタシの背中にぐりぐりと押しつけられてる。

「一分待て」

 ワタシはひょいっと立たされて、すごい勢いとスピードでアルが全身を洗った。
 ぽかんとみてるうちに洗い終わり、ワタシは抱えられて向かい合わせで湯船に浸かる。
 アルの陰茎がワタシのお腹にピタピタあたる。

「……アル、これ、舐めてほしい?アルがやったみたいに?」
「……頼む」

 立ち上がって浴槽の縁に腰かけたアルの陰茎を両手で包む。

「生き物みたい……」

 不思議な思いで先端をぺろりと舐める。
 ウホとアルが息を漏らすから大きく口を開けて、口に含めることができたのはくびれのところまでで。
 そのまま首を傾げたらアルが唸った。

「歯を当てるな」

 ちゅぽんっと抜いてワタシは謝る。

「ごめんね? 慣れなくて。こんなにおっきいのがさ、なんでワタシの中に入るのかなぁ?」
 
 先端をペロペロしながら見上げたら、アルに引き上げられた。

「我慢できねぇ」
「アル?」
「コレが入るのはお前が番だからだろ」

 ワタシは陰茎に串刺しにされる。

「ぅんんんっっ……! 急にはだめだよぉ……」
「お前がかわいいのが悪い」
「『お前がかわいいのが悪い』? でもぉ、こんなにおっきいの、出し入れされたらぁ」
「お前は壊れない。俺が壊さない」
「本当ぉ? じゃあ、いっぱい出して」

 立ち上がったアルが寝室へ向かう。

「しばらく寝室からでねぇぞ」
「いいよ……バナナ置いてあるから大丈夫でしょ」
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