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ろく
しおりを挟む* アル視点
「アルはさぁ、ワタシのことどう思ってるの?」
俺の背中にぺったりくっついて、キャットが訊いてくる。
「言ったことなかったか?」
言ったことないな。
「うんうん、ないよね! ワタシは出会ってから毎日毎日大好きって伝えてるけど!」
俺をのぞき込んで、キラキラした目で見つめてくるからなんて言おうか考える。
「眉間にシワを寄せて考える、ワタシの番…………もぉ、アルがカッコよすぎてツライ!」
これまで生きてきてかっこいいなんて言われたことがない。
俺の番は変わっている。
「ワタシの番、あー、もー、自慢したいのに! 周りに知り合いがいないのが残念!」
そりゃ、よかった。
死ぬほど恥ずかし思いをすることになるから、俺が。
「アルに釣り合うようにならないとなぁ」
逆だ、逆。
お前のがよっぽどかわいい。
「……幼なじみどもに会わせられねぇ」
俺に番ができたら真っ先に会わせろと言う、先に結婚した幼なじみどもにからかわれるのが目に見えている。
「……そんなにワタシって、ダメ?……直して欲しいところがあれば言って?」
悲しそうな声でぎゅっとしがみついてくるからしまったと思ったけれど、口から出た言葉は取り消せない。
「まだお前は成人したばかりだからな、これからだ」
「…………」
全然フォローにならない。
うまく言葉が出てこないなりに、口を開く。
「特に直して欲しいところはない」
「ワタシが子どもだから……? そっか」
そのまま黙ってしまうから俺は焦る。
キャットにはただ不機嫌な顔にしか見えないだろうが。
「……じゃあ、ワタシ。アル好みに成長するから! あー、でもセクシー姐さんにはなれそうもないなぁ」
「そりゃ好きじゃないから、そのままでいい」
俺はキャットを膝に乗せて抱きしめる。
俺の番は可愛くて、いい匂いで、ちょっとあほで、面白くて飽きない。
不満なんかない。
「そっか、アルに嫌われたくないなぁ」
そんなふうにぽつりと漏らすもんだから、そんな日は来ないって、思いを込めてキスをする。
「……嫌いになんてならねぇよ」
「んっ……はぁ……。アルぅ……カラダが熱くなってきたぁ」
「俺もだ」
果てても果てても勃ち上がる。
「アルぅ、もぉ、むりぃっ……早く、出してぇ? アルので、いっぱいにっ、してよぅ」
俺の出したやつとキャットので、ぬっちゃぬっちゃと粘着音が鳴り響く。
彼女の両足を深く折り曲げて上から何度も突き込んだ。
俺の陰茎に絡みつく内壁が、ぎゅうぎゅう締めつけてきて射精感が増す。
番の膣から媚薬でも出てるんじゃないかと思う、この酩酊感。
「これで……最後だっ」
「あっ……、あったかくてぇ気持ちいい……アル、大好きぃ」
ぴとっと抱きついてくるからキャットを俺の体の上に乗せた。
ゆっくり小さな背中を撫でる。
「心臓の音、早いねぇ。……速すぎるねぇ。……大丈夫? 長生きしてね」
「今、全力疾走したようなもんだから。……それに、そこまで年寄りじゃねぇぞ? 俺の歳はお前より……」
「…………」
すーすー眠ってる。
喋っていた次の瞬間に寝ちまうのが体力の切れた子どもみたいだ。
しばらくキャットの重みを感じながら俺もうとうとする。
元の大きさに戻った陰茎がずるっと抜けて、とろりとしたものが体をつたった。
「子ども、いつできてもおかしくねぇなぁ……」
俺たちの子ども。
想像するだけで、心があったかくなる。
俺に、キャット。
キャットに似た子どもたち。
かわいくて、にぎやかだろうな。
それとも、俺に似た息子どもに囲まれるキャットってのも、ちびを可愛がって幸せかもしれないなぁなんて思う。
もう腹をくくるしかない。
「結婚しよう」
「……アルぅ、そうゆう冗談はだめだよ~?」
「…………」
信じてもらえないとは。
俺の日頃の態度のせいか。
「お前、子どもができてたらどうする気だ?」
目を大きく見開いてから、お腹に手を当てる。
「そっか! さすがアル! 責任感強い! そんなところも好きっ。ワタシでよければ今すぐ奥さんにして!」
なんだか想像したのと違う。
これでいい、のか?
いいわけないだろう。
「キャット。二度と言わねぇから、な。……お前は俺の最愛の番、なわけだが、それだけじゃねぇ……」
なんだか締まらねえ。
じーっと見つめてくるキャットの手をとって、そこに口づけた。
「初めて見た時にお前は俺のもんだと思った」
「アル……」
目をうるうるさせて今にも泣きそうになっているから、勢いにまかせた。
「好きだ。結婚してくれ」
「うん、ワタシも大好き。この先ずーっと一緒だよ。……ありがと、アル」
「もう言わねぇから」
「うん……代わりに私が何度でも言うから!」
「そうか」
キャットに好きだと言われるのはくすぐったい気持ちになるが嬉しい。
俺もお返しに言えるようになればいいが……そんなふうに考えていたら。
「アルに『好きだ。結婚してくれ』って言われたって! それからぁ、『お前は俺の最愛の番』でしょ? あとは『初めて見た時にお前は俺のもんだと思った』って! アルぅ、嬉しすぎて脳内で何度も再生されるから、ちょっと再現していいかな? 手に口づけされたことも含めて!」
「……やめておけ」
「そお? わかった、一人の時にする。まず今日から日記書こう~と!」
「……指輪、明日買いに行こう」
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