4 / 20
よん
しおりを挟む*アル視点
部屋を開けたらたくさんの花のモチーフがいたるところに飾られていた。
「…………これは、……何事だ?」
今日はキャットが元の職場を辞めることを告げて、ルームメイトとお別れして、部屋の片づけをしてくると言っていたから山へ罠を仕掛けに行った。
「アル~! おかえり! 会いたかった!」
いきなり飛びついてきた小柄な猫獣人を抱きしめて着替えのためにひとまず寝室へ向かう。
「アル! すごいでしょ?」
こっちにもベッドの周りに花のモチーフが飾られていた。
「…………これはどうしたんだ?」
「……前の住まいで作った物を全部持ってきたんだ~、つなぎ合わせればベッドカバーにもなるんだよ?」
「…………そうしたいのか?」
正直、花柄のベッドカバーは遠慮願いたい。
「うふふー、これは今日だけ。そのうちいくつか組み合わせてスカーフとかベストとかカバンとか小物にして売るの。小遣いになるから」
「……なるほど」
よかった。
危うく花だらけの部屋になるところだった。
「よかったと思ってるでしょ? アル、眉間にシワ寄りすぎ」
「…………」
「お風呂入る? ごはん? それともワタシ?」
「お前だな」
「え? アルってそういう冗談言うんだねぇ」
冗談ではなかったけれど、先に風呂にする。
キャットと一緒にいると予想外の発言が多くて脱力することが多いが、それもかわいい。
この間川で抱いた時うっかり口走りそうになった。
お前はめちゃくちゃかわいい。
いや、死ぬほどかわいい、だったか。
そう若くもないのにキャットを見ただけで今だってすぐ勃ち上がるし、果てても果てても欲望が尽きない。
風呂から出たら、エプロンをつけた彼女がテーブルに料理を並べる。
出会った後はキャットを抱き潰してばかりだったから、ずっと俺が食事を担当していた。
今夜の料理が楽しみな反面、何が出てくるのか不安でもある。
「アル、座って。ご飯作ったんだよ~。おいしいものとおいしいものをかけ合わせたらおいしいものしかできないんだよ! 鹿のローストに……フルーツソース添え!バナナは~」
「入れてないよな?」
「うふふ~、食べてみて」
相変わらず、バナナばかり推してくるのはどうしてだ?
ゴリラは確かに果実が主食と聞いているが……キャットの頭の中がどうなっているのか全くわからない。
おそるおそるステーキに赤黒いフルーツソースをのせて口に運ぶ。
「…………うまい。……黒スグリか?」
「うん、果物好きだよね? バナナはさすがに入れないかな!」
「…………果物が好きと俺が言ったことはないよな?」
「違うの?」
「…………違わない」
「ほら、やっぱり」
何がやっぱり、だ。
黙々と食べる俺をみて、キャットも自分の皿に手をつける。
食べ方が綺麗だ。
俺が捕った鹿肉をうまそうな顔をして食べるからこっちも満たされる。
俺はあっという間に胃袋へ納め、皿に残ったソースもパンですくって平らげた。
「ごちそう様。うまかった」
「足りた? まだね、デザートもあるんだよ」
俺の前に立ったキャットがいきなりぺろりと俺の唇を舐める。
「デザートはワタシ♡」
「いただこう」
「え? うそ⁉︎ んんっ」
腰を引き寄せて、俺の膝に座らせる。
舌を絡めれば、キャットがくったりと寄りかかった。
「……ちゃんと、デザートあるんだよぉ。……冗談だったのにぃ、アルのばかっ」
潤んだ瞳で見上げるから、股間に熱が集中する。
煽るのがいけないんだ。
「んぅ、アル……ご飯食べたばっかりだよぉ……」
腰のあたりから服の下に手をすべり込ませ、小さな背中の骨に沿ってゆっくり指を這わせる。
キャットがぴくんと体を反らせるから、その隙にあらわになった首筋に唇を寄せた。
「んっ……デザートぉ……」
「お前を食ってからな」
もう一度唇を合わせてキャットの舌を絡めとる。
首に腕を回してすがりついてくる小さな体をそっと抱いて立ち上がり、寝室に向かう。
「忘れてた……あとで片づける……」
散らばった花のモチーフを見て、俺の腕から降りたキャットが、ベッドに乗っている分を片隅にまとめ始めた。
四つん這いで尻を向けてくるから、ムラムラしてくる。
キャットの腹側にあるズボンの腰紐を緩めてから下着と一緒に引き下ろした。
「え?」
驚いて振り返ったキャットにのしかかり、勃ち上がった陰茎を押し当てて一気に貫く。
「~~~っっ……アルのばかぁっ」
きつい。
安心する。
俺の忍耐力はどこへ行った?
とにかくキャットの中へ入りたいと焦燥感に駆られるのだ。
彼女の罵りが煽りにしか聞こえない。
「……すまない。埋め合わせはする」
「ご飯のあと片付け、お願い」
「……わかった」
この後足腰立たなくなるだろうしな。
それは伝えないけれど。
やった!と笑って言うキャットにたっぷり口づけてから、ぐりぐりと腰を押しつけた。
「あっ、あっ、そこ、だめぇ……」
馴染んでくるとぬちゅぬちゅと水音が大きくなる。
抜けるギリギリまで腰を引き、ゆっくりと奥まで突き入れる。
キャットを焦らして絶頂の手前まで押し上げ、ぱんぱんと腰を打ちつけた。
「アル、アルっ、あっ! いいっ、いいよぉ……」
上半身を支えられなくなって、シーツに顔をうずめて嬌声をあげる。
尻だけ高く上げて快楽を受け入れる姿にいっそう欲が高まる。
内壁が陰茎を搾り取るように動いて早く吐き出せと誘った。
「アルっ、早くちょうだいよぉ!」
「……っ!」
彼女のおねだりにすぐさま答えようと、何度か腰を打ちつけて、あっさり果てた。
「アルの、あっつい~……こんなの、すぐまたイっちゃうからぁ」
そんなこと言うからむくむくと大きくなって、キャットの中に何度も突き入れることになるのに。
「あっ、んっ、アルぅ!」
「すまない。……今夜のデザートはお前だけでいい」
0
お気に入りに追加
543
あなたにおすすめの小説

番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
獣人公爵のエスコート
ざっく
恋愛
デビューの日、城に着いたが、会場に入れてもらえず、別室に通されたフィディア。エスコート役が来ると言うが、心当たりがない。
将軍閣下は、番を見つけて興奮していた。すぐに他の男からの視線が無い場所へ、移動してもらうべく、副官に命令した。
軽いすれ違いです。
書籍化していただくことになりました!それに伴い、11月10日に削除いたします。
俺の番が見つからない
Heath
恋愛
先の皇帝時代に帝国領土は10倍にも膨れ上がった。その次代の皇帝となるべく皇太子には「第一皇太子」という余計な肩書きがついている。その理由は番がいないものは皇帝になれないからであった。
第一皇太子に番は現れるのか?見つけられるのか?
一方、長年継母である侯爵夫人と令嬢に虐げられている庶子ソフィは先皇帝の後宮に送られることになった。悲しむソフィの荷物の中に、こっそり黒い毛玉がついてきていた。
毛玉はソフィを幸せに導きたい!(仔猫に意志はほとんどありませんっ)
皇太子も王太子も冒険者もちょっとチャラい前皇帝も無口な魔王もご出演なさいます。
CPは固定ながらも複数・なんでもあり(異種・BL)も出てしまいます。ご注意ください。
ざまぁ&ハッピーエンドを目指して、このお話は終われるのか?
2021/01/15
次のエピソード執筆中です(^_^;)
20話を超えそうですが、1月中にはうpしたいです。
お付き合い頂けると幸いです💓
エブリスタ同時公開中٩(๑´0`๑)۶

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした
五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」
金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。
自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。
視界の先には
私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。
龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜
クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。
生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。
母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。
そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。
それから〜18年後
約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。
アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。
いざ〜龍国へ出発した。
あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね??
確か双子だったよね?
もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜!
物語に登場する人物達の視点です。
君は番じゃ無かったと言われた王宮からの帰り道、本物の番に拾われました
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ココはフラワーテイル王国と言います。確率は少ないけど、番に出会うと匂いで分かると言います。かく言う、私の両親は番だったみたいで、未だに甘い匂いがするって言って、ラブラブです。私もそんな両親みたいになりたいっ!と思っていたのに、私に番宣言した人からは、甘い匂いがしません。しかも、番じゃなかったなんて言い出しました。番婚約破棄?そんなの聞いた事無いわっ!!
打ちひしがれたライムは王宮からの帰り道、本物の番に出会えちゃいます。

番ではなくなった私たち
拝詩ルルー
恋愛
アンは薬屋の一人娘だ。ハスキー犬の獣人のラルフとは幼馴染で、彼がアンのことを番だと言って猛烈なアプローチをした結果、二人は晴れて恋人同士になった。
ラルフは恵まれた体躯と素晴らしい剣の腕前から、勇者パーティーにスカウトされ、魔王討伐の旅について行くことに。
──それから二年後。魔王は倒されたが、番の絆を失ってしまったラルフが街に戻って来た。
アンとラルフの恋の行方は……?
※全5話の短編です。
君は僕の番じゃないから
椎名さえら
恋愛
男女に番がいる、番同士は否応なしに惹かれ合う世界。
「君は僕の番じゃないから」
エリーゼは隣人のアーヴィンが子供の頃から好きだったが
エリーゼは彼の番ではなかったため、フラれてしまった。
すると
「君こそ俺の番だ!」と突然接近してくる
イケメンが登場してーーー!?
___________________________
動機。
暗い話を書くと反動で明るい話が書きたくなります
なので明るい話になります←
深く考えて読む話ではありません
※マーク編:3話+エピローグ
※超絶短編です
※さくっと読めるはず
※番の設定はゆるゆるです
※世界観としては割と近代チック
※ルーカス編思ったより明るくなかったごめんなさい
※マーク編は明るいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる