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いち

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 その大きな背中を一目見て、触れたいと思った。
 あれはワタシの番だと。

 心臓がばくばくして、自然と駆け足になる。

 早く捕まえなくちゃ。
 あれはワタシのだから。

 近づくほど、心臓が早鐘を打つ。
 目の前の背中に抱きついたらきっと落ち着くはず。
 きっと大丈夫。

「はじめまして、番さん」

 背中に飛びついたワタシは大きな背中と、温かい肌から立ち上る男らしい香りにくらくらする。

 ゆっくりと振り返った男はギロリと睨んで言った。

「……チビだな。…………お前が?」
「ゴリラだ」
「……成人、してんのか?」
「あ、はい」









「…………きついな」
「……っ!」

 おんぶのまま、私をどこかの部屋に連れ込んで、ベッドに下ろされた後はなんの前置きもなく脚のつけ根に太い指をぶすりと挿れられた。

「初めてだし!」
「……いくつだ?」
「十八」

 少し嬉しそうに笑ってワタシの唇を奪う。
 にゅるりと肉厚の舌が滑り込み、思いがけない熱い感覚にカラダが痺れた。

 脚の間がじゅわりと濡れてきて、男の指がゆっくりと出し入れされてぬちゃぬちゃと聞き慣れない音を立てた。
 カラダもぞわりと震える。

「あの……」
「怖いなら、目を閉じてろよ」

 目を閉じたほうが、何されるか分からなくて怖いと思うけど。
 言葉に出す前に唇を啄まれる。

「んむっ、……んふぅ、あっ、……は……」

 呼吸。
 呼吸ができなくてジタバタする。

「鼻で、息しろ」

 真上から見下ろす男の瞳が欲望に染まっている。
 真っ赤な顔でワタシが睨んだところでこの状況が変わるわけでもなく。

「つ、番さん……、あの」
「お前から手を出したんだ、責任とれよ」
「あ、はい……」

 抱きついたの、ワタシから。
 指を増やされて馴染ませるようにゆっくりと動かす。
 もう片方の大きな手がどんどんワタシの服を脱がしていく。
 
「あの……ワタシだけ? ハダカ?」
「…………」

 シャツのボタンを外すのが面倒だったのか引きちぎって、男はあっという間に裸になる。
 うん、やっぱりゴリラだ。
 帰り困るじゃん。
 ここが男の家じゃなければ。
 
 筋肉質のカラダを目にしただけで、胸がきゅんとして、脚の間もじわっとする。
 本能?

 理想はお父さんみたいなほっそりした学者タイプだって思ってたけど、彼こそ理想に違いない。
 両親に紹介する前にこんなことになっちゃったけど。

「ちいせぇな」
「番さんが、色々と……大きすぎるんです」
「……そうかよ」

 あ、また。
 にやりと笑ってワタシに口づけた。








「いったぁ……」

 男の陰茎がずぶずぶと容赦なくワタシを開く。

「初めてだもんな」
「悪い?」
「いや」

 ぐっと腰を押しつけられてワタシは痛みに喘いだ。

「あぁっ!」
「すぐに慣れる」

 ゆっくりと私の中を抽挿する。
 涙を浮かべたワタシのまぶたに口づけた後、唇を重ねる。
 ねっとりと舌を絡められて、上からも下からもねちゃねちゃと水音があがり、訳がわからない。

「……っ、あっ……」

 ワタシが痛みではない声を上げると、そこばかり狙って突いてくる。

「番さんっ、あ、……」

 ナニコレ。
 痛いもんは痛い。
 だけど、それを上書きするようにナニカが近づいてくる。

「イっちまえよ」

 男の唇がワタシの喉を喰らう。
 比喩だけど。
 がぶりと噛みつかれてカラダがぶるりと震えた。

 じゅぶじゅぶと水音を立てながら、私を追い立てる。
 頭の中が真っ白になってナニカがやってくる。
 そのまま抽挿されれば、ワタシは何も考えられず、声を上げるだけで。

「……っ、締めすぎだ」

 しかめつらで腰は振り続ける。
 
「嫌なら、やめて……」
「……嫌じゃない」

 そのまま大きく揺さぶられてワタシはまたわけがわからなくなる。
 男が私の中に欲望を吐き出して、体重がかからないようにぎゅっと抱きしめた。

「もう一回な」
「番さん、痛いです」
「俺がもっと出したほうが痛くなくなる」
「癒しの効果が?」

 へぇ~。
 精液ってすごいな。

「……試してみるか」
「あ、はい。痛くなくなるなら」

 ワタシを抱きしめたまま男が起き上がる。

「番さん……抜かないんですか?」
「なぜ抜かなきゃならないんだ?」
「さあ?」

 質問に質問で返されても、初心者にはわからない。
 ワタシはまたがったまま、男が突き上げるのを受け入れる。

「ふぁっ……番さん、おっき過ぎ! ナカ、いっぱい!」
「……お前が悪い」

 何度も突き上げられて、ワタシはただ男の太い首にしがみつく。
 それはそれは長い時間睦み合うことになってしまった。






「番さんは、ゴリラの獣人ですか?」
「……いや、違う。お前は?」
「ネコです、タチじゃないです……よくその冗談言われるんで」

 眠くなりながらなんとかそこまで話す。

「ネコの獣人、か」
「…………」

 それがワタシたちの出会いだった。

 
 
 


 
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