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7 覚悟を決めて ※微

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 ウォードがズボンを下げて、彼自身をむき出しにする。
 いつ見てもそれに慣れなくて思わず目をそらした。

「リア、ゆっくり進めるから」

 脚のつけ根につるつるとした先端が当たる。
 お互いをこすり合わせて気持ち良くなることは今まで何度もしてきた。
 でも今回は、先端がさっきまで彼がほぐしていた場所を圧迫してくる。

「……っ」

 ウォードは本当に私をこのまま奪うつもりだ。
 だから私は、心を決めた。
 ここまできたらもう逃げない。

「ウォード。初めてだから、あなたを抱きしめたい。……お願い、手を離して」
「リア……」

 しばらく私を探るように見てから、彼が私の手を離す。
 ほんの少し腕がしびれるような感覚があったけれど、腕を広げると彼が体を倒して口づけしてきた。

 その背中にそっと腕を回す。
 温かい体温を感じて、なぜかもう大丈夫と思った。

「ウォード、大好き。あなた以外と結婚しないから」
「……リア、俺も。絶対に手放さないし、これからずっと離れることはないよ」

 もう一度舌を絡めるキスをしてから、ウォードがゆっくり体を起こした。
 抱きしめられなくてちょっと寂しいし、先へ進めることに未知の怖さも感じる。
 
「リア、もう少し待って」

 私の頬に手を伸ばして笑うのは、気持ちが伝わっているのかな。

「うん」

 脚のつけ根に彼自身がこすりつけられる。
 お互いが濡れていて、水音も聞こえて。
 それだけで気持ちよくて、吐息を漏らした。
 
「もう少し、気持ちよくなってからにしようか」

 今さら焦らすようなことを言われて、混乱する。

「ウォード……? ど、して……?」
「もっと気持ちよくなって、訳がわからなくなってからのほうが、お互い幸せを感じる」
「幸せを、感じる……?」
「そうだよ。もっと、リアに求めて欲しくなった」

 そう言いながら、ゆっくり腰を前後させた。
 こすり合わされ、彼の先端が再び私を快楽へと堕とす。

「あっ……」

 慌てて口元を覆う。

「人を遠ざけてあるんだから、聞こえないよ」
「で、も……っ、ん……!」

 ウォードがぐっと私の脚を持ち上げ、ベッドが揺れた。

「あ、や……っ」
「いつも俺ばかり、見てるから……。リア、こっち見て。ほら、興奮する、からっ」

 口を押さえたまま、首を横に振る。
 このままでは声が抑えられない。

 彼が口を開いたその時、部屋の扉が叩かれた。

「……リア……? あの、お邪魔してごめんなさい。……エイダン様がいらしたの。……少しだけ、顔を見せてくれる?」

 扉越しに姉の声が、聞こえた。
 私は何とか呼吸を整えて応える。

「……わ、わかったわ。ちょっと待ってね」
「あの、先に行ってるわね。……準備できたら、ティールームに来てちょうだい。じゃ、あね」
「うん、わかった」

 もしかして気づかれた?
 色々な意味で鼓動が速い。
 
「リア、お預けだな」

 ウォードがふう、と息を吐いた。
 中途半端ではあるけど、仕方ない。
 やっぱり結婚前に私の部屋でなんて、よくなかったのだと思う。
 それなのにウォードが私の脚を下ろして閉じ、大きく揺さぶり始めた。

「ん、う……!」

 太ももに挟み込まれた彼自身が、容赦なくすりつけられる。
 脚のつけ根が甘く痺れて、再び目の前が真っ白になった。

「あ、ああっ……!」
「リアッ……」

 ウォードも追いかけるように精を吐き出し、荒く息を吐く。
 それからすぐにハンカチを取り出して、水差しを傾けて濡らしてから私を清めてくれた。

「リア、先に髪と顔を。これで顔を冷やして」

 ウォードが別のハンカチを濡らして渡してくれる。
 彼はいつも複数枚持ち歩いているから、さらに一枚取り出して彼自身も拭って身支度を整えた。
 
 気まずい。
 この時間も、ティールームへ行くのも。
 顔を拭いて、わずかな時間目の上に乗せてから、髪を手櫛で整え、ゆるく編んでまとめた。

「ドレス、持ってくるから待っていて」

 ウォードが隣の衣装部屋に向かう。
 彼の方が私より詳しいくらいで、今着ているドレスと色味と雰囲気の似た一枚と肌着を手に戻ってきた。
 
「リア、後ろ向いて」
 
 ベッドの真ん中に座っていた私は、そのまま背中を向ける。
 ドレスはくしゃくしゃだし、とても人前に出れるようなものじゃなかった。

 彼が手慣れた様子で包みボタンを外し、髪にひっかからないようにそっと脱がせた。
 続けて、肌着も引き抜く。

「ありがとう」

 汗ばんだ肌に空気が触れ、ほっと息を吐いた。
 ウォードが体を拭いてくれて、渡された肌着を身につける。 
 ふと振り向くと、ウォードが私の肌着を鼻に当てていて。

「……ウォード?」
「あぁ、ごめん。すごくいい匂いで。これ、もらっていい?」
「……あの、目の前に私がいるんだから、そっちより私を……」

 そこまで行って思わず唇を噛む。
 いったい私は何を言っているんだろう?

「いつでも嗅いでいい? ありがとう」

 目を輝かせて笑うから、私はひきつりそうになりながら頷いた。

「ウォード、早く着替えて行きましょう」

 何だか、私。
 ずいぶんウォードに感化されてしまったみたい。
 
 

 
 

 
 
 



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