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8 デートは人気のないところへ!おまけ ※

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「次の休み、行きたいところある?」

 カキからのお誘いに、私は考える。
 油断して人様のステータス見ないですむところ!

人気ひとけの少ないところがいいな」
「……例えば?」
「自然の多いところとか?」
「……具体的には? 海? 山?」

 それはいいかもしれない。
 とにかくショッピングセンターは、先週カキと出かけて懲りた。
 だから繁華街も無理。
 ちらちら浮かぶステータスが気になって、気になって仕方ない。

 なんかもう、普通にセンチで表示するとか、硬さはハードとかセミソフトとかさ。
 えっと、あと角度は四十五度とか六十度とか数字にすればいいのに。
 そしたら、気にならなかったと思う!

 先週印象的だったのはパンシリーズ。
 硬度フランスパンは、まあいいとして。
 フレンチトーストって書かれた人とか二度見しちゃったよ、ステータスを!
 決して下半身を、じゃない。

 それと、クリームコロネって書かれるのはいいとして、クロワッサンってどうなんだろう?
 あと肉まん……ふわふわなのか。
 カレーパンって、もうどう判断したらいいかわからない!
 あの日はやけにパンに例えられた人が多かった。
 パンの神様でもいたのかな。
 いや、きっとみんなパン好きなんだろうね!
 
 本当にどこを見ていいかわからなかったし、私が赤くなったり突然黙り込んだりしたから、ずいぶんカキが心配してた。
 私の顔をのぞき込んで、みつめるんだもん。

 体調大丈夫?って。
 ちょっと激しすぎた?って。

 あの時は大丈夫!って何度も答えた。 
 純粋に体を心配してくれているんだと思ったけど、今思えばエロいこと思い出して赤くなるムッツリだと思われていたのかも?
 こっそりキスしたり、やけにベタベタくっついてきたり、いかにもつき合いたてのバカップルだった……恥ずかしい。
 
 その後もあまりにステータスと外見にギャップがありすぎてちらちら見ちゃった人もいて、その時は完全にカキがやきもち焼いていた。
 他の男見んなよ、って。

 そういう意味で男を見ることはない。
 カキがいればいいって、伝えたんだけどね?
 だからその後はひたすらカキの顔ばかり見てた。
 余計なステータス見ないで済むしね。

 そうしたら、なぜかその後カキの家で長時間喘がされたけどね?
 男心は難しい。
 ステータスだけでは判断できない。

 と、いうことで出かけるなら、人気のないところ!
 
「海までドライブなんてどうかな? 二人きりで過ごしたいなー、なんて」

 車なら余計なステータス見ないですむし、冬の海は人気が少ないはず。

「……いいよ。俺も二人きりで過ごしたい」

 大自然の中で愉しむのもいいよな、って呟いていたけど、デートのことだよね?
 それ以外のことではありませんように!




 当日車に着替えやタオル、他にも何かいろんなものが用意されていてちょっと嫌な予感。
 冬の海に入ったりしないよ、って言ったらにこにこ笑ってたからちょっと安心した。
 遅めのランチをとっておしゃべりを楽しんだ。
 その後私達は、暗い夜の海を見ながら車の陰でこっそり体を繋げた。
 なんで? 

「声、気をつけて」

 後ろから着衣のまま貫かれてゆっくり揺さぶられた。
 なんでこうなったんだっけ?
 遠くにぼんやり灯台の灯りが見えて、人気がないから戯れのキスが深くなって、それで……。
 波の音が二人の立てる音を消す、わけもなく!

「カ、キ……だめ」
「ほら、ちゃんと海見て。指噛んでいいから」

 カキの指が口元を覆う。
 これ、逆効果ーー!
 口閉じれなくて、逆に音漏れしてるけどぉ!

「んん、んぅ、うー」

 これ違う。
 なんか違う。
 海のデートにエロは必要⁉︎

「サクラ、すごいうねってる。こういうシチュ好き?」

 耳元で囁かれ、あっけなく絶頂に押し上げられた。
 力の抜けた体をしっかり抱きしめて突き上げる。
 
「ん、んっ、んん!」

 違う、違う!
 カキが上手だからで、場所じゃない! はず!
 
「……っ!」

 ほどなくカキも欲望を吐き出して言った。

「サクラが可愛すぎてすぐ元気になる。……これからも人気のないところでデートしよう」

 えええ⁉︎ 
 一瞬振り返ると、何か点滅してた。
 今のカキのステータスを見るのが怖い!
 きっと、ろくなことが書いてないよ!
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