リリアンナ・セフィールと不機嫌な皇子様

束原ミヤコ

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遺跡探索と雪解けの春

重なる気持ち 1

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 制服のリボンがするりとほどかれて、ぷつぷつとボタンが外される。
 フィオルド様の手がブラウスの隙間から中に入り、私の胸を包んでいるレースとリボンがふんだんに使われている下着をずり下げた。

 はだけた服から皮膚がのぞき、外気にさらされている。
 夜はまだ涼しく、ひやりとした空気が肌を撫でた。

 さざめく肌をフィオルド様の大きな手のひらが触れる。
 胸の飾りを触れるか触れないか程度に撫でられると、それだけで体が甘く疼いた。

「っ、ふ、ぅう……」

 舌を甘く噛まれて、もう一度絡められる。
 触れられていない場所なんてないんじゃないかというぐらいに、口腔内を弄られて、粘膜が擦り合わさる。

 境界なんてなくなるぐらいに、激しい口付けに翻弄されながら、私は息苦しさにフィオルド様の制服を掴んで引っ張った。

 唇が離れて、喘ぐように新鮮な空気を吸い込む。
 口の端からは唾液が滴り、涙もこぼれている私の顔は、情けないぐらいにぐちゃぐちゃだろう。

 恥ずかしいけれど、顔を隠している余裕なんてなくて、こりこりと色づき膨れた胸の突起を指で挟まれ柔らかく押し潰されると、胎の奥に甘い疼きがうまれた。

 まるで、私の体が、私のものじゃないみたい。

 フィオルド様に触れていただくだけで、どこもかしこも歓喜に震えて、もっと、もっととねだっているような気がする。

「ぁ、あ……っ、ん……んぅ……」

 片手で私の胸をこねるようにして揉みしだきながら、フィオルド様はもう片方の手を私のスカートの下に入れて臀部に触れる。タイツの上から双丘の間を弄る。

 内腿をやわやわと揉んで、指先でかりかりと下着の上から秘所を引っ掻くようにされると、溢れた愛液がじわりと下着を濡らしていく。

 バルコニーといえども、ここは屋外だと思い出した私は、急に激しい羞恥心を感じて、唇をきつくむすんだ。

「リリィ、声が聞きたい」

「ん……っ、ん、んぁ」

 甘えるようにフィオルド様が言って、舌先で私の閉じた唇をつついた。

 思わず薄く唇を開くと、同時にすっかり膨れた胸の突起をぎゅっと摘まれて、阿るような声が漏れる。

 薄く目を開いて、私はフィオルド様を見上げた。

「フィオルドさま、だめ……そと、だから……ぁ、ぁあ、……ん……っ」

 フィオルド様の指が、布越しに花芯を挟むようにして、ぐりぐりとしごきはじめる。
 もどかしいけれど、性急な刺激に、私は声を我慢することも忘れて、甘い声をあげた。

「お前が愛しくて、おかしくなりそうだ。……いますぐ、抱きたい。駄目か」

 すごく甘えた声音で、そして切なげな表情でフィオルド様が言う。

 愛らしくて艶やかで、全部、お願いを叶えてあげたくなってしまう。

 偶然夜の散歩に出ている生徒がいたら、とか。夜の見回りに出ている先生がいたら、とか。

 駄目、だけれど、でも。駄目じゃない。


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