リリアンナ・セフィールと不機嫌な皇子様

束原ミヤコ

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遺跡探索と雪解けの春

 頑張る私とすぐに落ち込むフィオルド様 2

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 私と少し似ている。
 でも、あんまり似ていないかもしれない。

 私は人見知りが激しくて口下手だけれど、実はそこまで脳内反省会を開くタイプでもない。
 結構怠惰だし、まあいいかと、すぐに忘れてしまうことも多い。

 ドロレスに言わせてみれば「繊細の皮を被った怠惰で流されやすく、好きとか言われたらすぐに尻尾を振るタイプの二コマ即落ちお嬢様」なのだそうだ。

 良く分からないけれど、つまりそういうことなの。

 だから、私がもう少ししっかりしないと――フィオルド様がまた途中で落ち込んで、せっかく、うっとりするぐらいに良い雰囲気なのに、終わりにしてしまうかもしれない。

 私はフィオルド様に、これ以上の我慢をして欲しくない。

「大丈夫、です……全部、気持ち良くて、もっと、してくださ……っ」

「だが、お前はあまりにも美しく、儚い。……こんなに細く頼りないお前を、私は愚かな思い込みから憎み、傷つけていたんだな」

「もう、良くて……それは、もう、過去、なので……だから……」

「償いきれない過去だ。……本来なら私は、お前に触れる資格もない」

 フィオルド様が落ち込みつつある。

 大丈夫なのに。私はあんまり気にしてない。というかもう良いのに、それ。
 だって今、私はとっても幸せだもの。

「フィオルド様、私は、……フィオルド様が、良い、です。私で良ければ……フィオルド様のものに、していただきたい、です……」

 私のことを好きだとおっしゃってくださるのは、フィオルド様だけ。

 私は自分に自信がないけれど、欲していただけるだけで、少しだけ、強くなれるような気がする。

 頭の中で考えているだけじゃ、思いは伝わらないもの。

 頑張らないと、私。
 だって、フィオルド様を、失いたくない。

 フィオルド様は私の頬を撫でて、愛おしそうに微笑んだ。
 その晴れ渡った空のような瞳に、頬を染めた私がうつっている。

「ありがとう、リリィ。はじめてのことで、怖いだろうに、……すまない。辛かったら、言ってくれ」

「っ、あぁ、ゃ、あああ……っ」

 フィオルド様は、私の胸の頂を、小さな胸ごと口に含んだ。
 舌で転がされて舐られて、お腹の下の方がじんじん痺れた。

 同時に割り開いた花弁から顔を出した花の芽を、蜜を絡めた指先でこりこりとしごかれる。
 私は腰を浮かせながら、いやいやと首を振った。

 少し触れて頂くだけで、おかしくなるぐらいに気持ち良い。
 この先もあるのかと思うと、少し怖い。

「ふぁ、あ……っ、あ、あっ、きもち、ふぃおるど、さまぁ……っ、そこ、ぁ、あ、あ」

「リリィ、ここ、か」

「ぅん、ん……っ、あ、あっ、ゃああ……っ」

 指先が、陰核をカリカリと引っ掻き、楽器でも爪弾くようにして、幾度も弾いた。

 私の胸から唇を離したフィオルド様は、脇腹や腹に口づけながら、その場所を目指していく。
 両足を強引に大きな手のひらで開かせると、臍の下からつるりとしたなだらかな丘を唇で辿り、充血して敏感になった花芯に優しく口づけた。

 その場所を舐られた時の記憶が、頭の中に一気に蘇る。
 私はシーツをきつく掴んだ。

 知らず逃げようとした私の腰を、フィオルド様はベッドに縫い留めるようにしっかりとつかんでいる。
 口の中に含まれて強く一番敏感な部分を吸われると、頭の中にちかちかと星が瞬いた。

「あ、あ、ひぁ、やっ、ぁあああ……っ」

 背中が弓なりに反って、腰が浮き上がってしまう。
 指先まで力の入った足が、シーツを蹴ってたわませた。

 フィオルド様は悲鳴染みた鳴き声をあげる私をさらに追い詰めるようにして、薄い皮を舌で捲るようにしたあとに、舌先で中の赤い突起を何度も押しつぶすようにした。

 ちゅぷちゅぷと嬲られて、苦しいぐらいの快楽が体中を駆け巡る。

「あ、あっ、ゃああっ、そこ、だめ、だめなの……っ、ふぃお、さま、やだぁ……っ」

「良い声だ、リリィ。私の名を、もっと呼んで欲しい。……一度果てろ、リリィ」

「ん、あ、ああ、なんか、きちゃ……っ、ふぃお、る……っさま、くる、からだ、おかし……きちゃう、あぁ、あ、あ……――――っ!」

 ぐりりと、舌で包み込むようにして、花の芽が押しつぶされる。
 強すぎる刺激に、涙が零れた。見開いたはずの瞳には何もうつらない。

 ただ気持ち良くて、幸せで、苦しくて、全身に快楽が突き抜けて、頭がぼやけた。
 蜜口から愛液がこぼれおちて、シーツをぐっしょりと濡らしている。

 激しく緊張したあとにくたりと弛緩した体を、フィオルド様が大切そうに抱き寄せてくださった。


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