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遺跡探索と雪解けの春
初体験はお風呂の後で 1
しおりを挟むふわりと温かい光に包まれて、体が一気に浄化された。
浄化魔法は服や体の汚れを落としたり、解呪のために使用したりと、その使用方法は様々だけれど、お風呂上がりに使うと体を乾かす効果もある。
日常生活から、旅路から、冒険まで、非常に役立つ便利な魔法だ。
けれどこれも得意不得意に個人差があって、体を乾かすことや服を乾かす程度ならできるけれど、汚れを落としたり、まして解呪まではできないという方もたくさんいる。
フィオルド様はたぶん氷魔法が得意なのだろうけれど、どの属性の魔法もつつがなく使えるのだろう。
「フィオルド様……私、……その」
私はフィオルド様に抱きつきながら、小さな声でその名前を呼んだ。
「……私、あの」
言葉がうまく出てこなくて、涙の膜がはって滲んだ視界では、フィオルド様の美しい顔がぼやけて見える。
嫌われたり、しないかしら。
また私は、勝手に気持ちよくなってしまって。
フィオルド様は我慢してくださっているのに、私ばかり、勝手に。
それに、まだ体の熱はまるでひかなくて。まるで、遺跡の魔物に襲われたあとみたいに、切ない。
「私、フィオルド様に、もっと触っていただきたいって、思ってしまって……ごめんなさい、淫らです、よね。また、嫌われてしまったら……私……っ」
何も言わずに黙ったままでいたら、またフィオルド様との間に溝ができてしまう。
私たちの空白は、フィオルド様のせい、というだけではもちろんなくて。
私だって、何も変えようとしなかった。
おびえてばかりで、逃げてばかりで。
せっかく私を好きだとおっしゃってくださったのに、大切にしてくださっているのに、また元通りになりたくない。
(でも、フィオルド様は、淫らな女はきっとお嫌いよね……どうしよう、言わなければ良かった)
フィオルド様の事情はわからないけれど、私はフィオルド様に思うように振る舞って欲しい。
きっと私はそれを、全て喜んで受け入れることができると思う。
でも、私の方からそれを伝えるのはあまりにはしたない。
これでは、フィオルド様が思い違いをしていたように、数多の男性と浮気をしていた女だと思われてしまってもおかしくないかもしれない。
フィオルド様は私を抱いたまま、寝室に戻った。
ベッドに私を優しく、けれどやや強引におろして、そのまま私の上に覆い被さる。
そして唇を深く合わせた。
呼吸を奪うほどの深く暴虐な口付けは、今までのフィオルド様のそれとはまるで違う。
上顎の内側を舌先で撫でられると、体の力がくたりと抜けた。
ぬるりと舌を絡められて、粘膜をぬらぬらと擦り合わせられる。深く重なる唇は、まるで食べられてしまっているみたで、苦しくて、ひたすらに甘い。
「ん、ん……ぅ……ん」
フィオルド様は片手で私の腰を抱いていて、私たちの体は境目を失ったように、ぴったりと合わさっている。
見た目の冷たさに反してフィオルド様の体は熱くて、質量のある硬いものが私の下腹部にあたっている。
熱くて湿った何かは、どくどくと脈打っているように感じられた。
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