リリアンナ・セフィールと不機嫌な皇子様

束原ミヤコ

文字の大きさ
上 下
20 / 200
遺跡探索と雪解けの春

 耐え忍ぶフィオルド様と理性の溶けた私 2

しおりを挟む


 薄皮を器用に舌で剥いて、むきだしになった赤い突起をした先でつつかれると、背中から脳髄までを痺れるような刺激が貫いた。

「や、ああああっ、きもちい、いいよぉ……っ」

 激しすぎる刺激に、頭がちかちかする。

 勝手に腰が浮いて、フィオルド様の口に恥骨を押し付けるようにしてしまう。

「可愛い、リリィ……」

 うっとりとした口調で、フィオルド様が言った。
 あくまで冷静に、状況を説明してくださっていたフィオルド様の声とは、まるで別人のように艶やかで、情熱的な声だ。
 その声を聞いた途端に、ぷつん、と、私の中でなにかが弾けるのを感じた。

「っ、ふぃおるど、さま……っ、嬉しい、あ、あ、りりぃ、かわいい……?」

「あぁ、可愛い。リリィ、私のリリィ」

「ふぃ、る……っ、さまぁ……っ」

 小さな芽を舐っていた舌が、花弁を割って蜜口に入る。
 愛液をすすられ、舐めとられる音がはしたなく響いた。

 そうしながら、指先がちゅぷちゅぷと赤く肥大した肉芽をいじめはじめる。

 胸と同じように指で挟まれ、やわやわとしごかれて、つまびくようにかりかりと何度も軽く弾かれる。

 そのたびに落雷のような刺激が、足の爪の先から頭のてっぺんまで突き抜けて、私ははくはくと唇をわななかせた。

「好きだ、リリィ……可愛い。全て、食べてしまいたい」

「っ、ふぁ、あうう……っ」

 好き、と言われると、頭がその言葉でいっぱいになる。
 体中に、言葉が染み込んでいく。

 私も、好き。フィオルド様が好き。

 私を好きだと言ってくれるフィオルド様が好き。

 それしかもう考えられない。

 気持ち良い。
 好き。

「ふぃおるどさま、すき、りりぃも、すきぃ……」

「あぁ、リリィ……愛している、リリィ」

「っあ、あぅ、きちゃ……なんか、くるの……こわい、ふぃお、さまっ」

「大丈夫だ、リリィ。私がいる。リリィ、いけ。我慢せず、果てて良い」

「ふああああ……っ」

 舌が、充血してふくらんだ赤い芽を、ぐりりと押し潰した。
 勝手に逃げる体を押さえつけられて、強く吸われる。

 どこか遠くに、高いところに連れていかれるような浮遊感に、私は身を委ねた。
 瞼の裏が白く濁る。

 全ての感覚が消え失せて、フィオルド様が与えてくれる快楽に、埋め尽くされる。
 意識が途切れるような深い果てを迎えて戻ってこれない私の、痙攣する体をフィオルド様が抱きしめてくださる。

「落ち着け、私。ここで理性を失えば、父と同じだ。……死ね、バルツス」

 耳元で聞こえたのは、愛の言葉ではなくて、皇帝陛下の死を望むフィオルド様の独り言だった。
 けれど私は完全に理性を失っていたので、フィオルド様の懊悩を察する余裕もなかった。



しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】22皇太子妃として必要ありませんね。なら、もう、、。

華蓮
恋愛
皇太子妃として、3ヶ月が経ったある日、皇太子の部屋に呼ばれて行くと隣には、女の人が、座っていた。 嫌な予感がした、、、、 皇太子妃の運命は、どうなるのでしょう? 指導係、教育係編Part1

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

【R18】深層のご令嬢は、婚約破棄して愛しのお兄様に花弁を散らされる

奏音 美都
恋愛
バトワール財閥の令嬢であるクリスティーナは血の繋がらない兄、ウィンストンを密かに慕っていた。だが、貴族院議員であり、ノルウェールズ侯爵家の三男であるコンラッドとの婚姻話が持ち上がり、バトワール財閥、ひいては会社の経営に携わる兄のために、お見合いを受ける覚悟をする。 だが、今目の前では兄のウィンストンに迫られていた。 「ノルウェールズ侯爵の御曹司とのお見合いが決まったって聞いたんだが、本当なのか?」」  どう尋ねる兄の真意は……

元婚約者が愛おしい

碧桜 汐香
恋愛
いつも笑顔で支えてくれた婚約者アマリルがいるのに、相談もなく海外留学を決めたフラン王子。 留学先の隣国で、平民リーシャに惹かれていく。 フラン王子の親友であり、大国の王子であるステファン王子が止めるも、アマリルを捨て、リーシャと婚約する。 リーシャの本性や様々な者の策略を知ったフラン王子。アマリルのことを思い出して後悔するが、もう遅かったのだった。 フラン王子目線の物語です。

処理中です...