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しおりを挟むそんなある日、フェリシアは使用人たちによって屋根裏から強引に使用人部屋へと連れていかれた。
蛇はフェリシアの寝床として使っている布の中に賢く隠れてくれていた。
使用人部屋で待っていたのはマデリンと、そしてその娘の、フェリシアよりも一歳年下のフローラだった。
フローラもまたマデリンのように、髪も肌も、爪の先までよく手入れされていた。
高価そうなドレスを着た、輝くような金の髪と青い瞳、薔薇色の頬をした可憐な少女であった。
フェリシアは、フローラが苦手だった。
マデリンのように暴力をふるうことはなかったが、フェリシアの姿を見ると、あまり少女らしくない表情で、見下したように、不愉快そうにフェリシアを睨むからだ。
時には、使用人たちに命じて「お姉様を見えないところに連れていって」と言い、裏庭に放り投げさせたりした。そうすると、とても嬉しそうに暗い笑みを浮かべるのだ。
フェリシアのことをフローラは心底嫌っているようだった。
「フローラ、あなたの姉は勉強もせず何もせず、ただ毎日怠惰に家の中にいる役立たずだとお母様は思うのだけれど、フローラはフェリシアに何をやらせればいいと思うかしら」
「そうですね、お母様。家畜以下の汚いお姉様には、家畜の面倒をさせればいいのです。汚い仕事をさせましょう、どうせ、汚れているのですから」
「それがいいわ、さすがは私のフローラ! ではそのように、お父様に進言しましょう。わかったわね、役立たず」
「少しは家の役に立ってくださいな、お姉様」
彼女たちはどうやら新しい嫌がらせを思いついたようだった。
フェリシアの住処は、屋根裏から馬小屋へと変わった。
馬小屋は家の外にある。だからそのため、少しの油断があったのだろう。
馬たちは可愛らしく、どんなに大変な仕事であってもフェリシアの心は癒された。
手はあれて、傷だらけだったが、それでも公爵家の屋敷の中で息をひそめているよりはずっと楽だったのだ。
藁の上で蛇と共に眠り、時には蛇を首に巻き付けて仕事をした。
「あなたに名前をつけていなかったわね。あなたは、イグニスというのはどうかしら。動物たちの絵本に出てきた、神様の名前なの。イグ、どう?」
蛇はするりと、フェリシアの頬に自分の顔を寄せる。きっと気に入ってくれたのだろう。
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