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キャストリン冤罪で断罪される 2
しおりを挟むいいわ、別に。
だって、ルディク様に嫌われてることなんて、知っていたもの。
私はお父様によく似た黒い髪と赤い瞳がすごくすごく、とっても気に入っているけれど、ルディク様はマチルダみたいな豪華な金の髪が好きみたいだし。
そのうち何か起こるかなって思ってたのよ。
マチルダは、あることないことルディク様に吹き込んでいるみたいだったし。
ルディク様は私に最初から優しくなんてなかったし。
むしろマチルダばっかりに構っていたもの。
だから、私は──泣いたりしないし、うつむいたりもしない。
窃盗罪を押し付けられるなんて思ってなかったけど、このまま順調に結婚できないだろうなって心のどこかでわかってた。
叔父様も叔母様も私のことが嫌いで、公爵家としてのプライドはものすごく高い人たちだから。
私が王妃になるなんて、許せないでしょうねって思ってた。
「キャストリン、貴様を呪いの塔送りとする。あそこには呪われた我が兄がいる。貴様には兄の花嫁になってもらう」
「花嫁……?」
「あぁ。あの化け物もひとりぼっちで寂しかろう。せいぜい仲良くするんだな」
「ふふ……お姉様、よかったですね! ルディク様は寛大なお心で、お姉様の罪をお許しになられるのです。王子様と結婚できるのですから、お姉様もさぞ幸せでしょう」
「不吉な見た目の貴様と、化け物ならばきっと似合いだろう」
ふふ。あはは。いいきみだ。あははは……!
まぁ、なんてかわいそう……!
化け物の花嫁だなんて!
顔を合わせた途端に食われてしまうでしょうね!
大広間には嘲りと哀れみと、さまざまな感情がこもった笑い声があふれた。
人の不幸は、蜜の味といいますし。
皆、私の不幸が楽しくて仕方ないみたいだ。
これでこそ、人間。
人間の趣深さだわ。
私はできる限り、悲しくて苦しくてどうしようもないみたいな顔をした。
だって──そうしないと。
口元がにやにやしてしまいそうだったからだ。
どんな罪になるのかしら。国外追放とか。投獄とか、処刑とか。
いろいろ考えたけれど、まさか『呪いの塔』送りになるなんて。
あの場所は、私の憧れ。
いつかいきたい聖地巡礼スポットのうちの一つだった。
まして『呪われ王子』と結婚をさせてくれるなんて。
花嫁って、生贄ってことだろうけど。
それでもいい。構わない。
だって──呪われ王子に、一度でいいから会ってみたかったのよ、私……!
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