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来訪者 1
しおりを挟むルティエラの湿った柔らかい場所に擦り付けるようにしていた昂りが、蜜口にぴたりと当たる。
その感触に、ルティエラの心は期待と歓喜にさざめいた。
一つになる瞬間は、少し怖い。
レオンハルトの男性自身はとても大きくて、ルティエラの中には入りそうにないように思えてしまう。
それが入る瞬間の、一つになる悦楽をルティエラは知っているし、体も、覚えているけれど。
どうしても、体に緊張が走る。
レオンハルトはそれに気づいているせいか、どれほどルティエラを追い詰めていても、長すぎるほどに長い前戯でルティエラが朦朧としていても、一つになる時はいつも優しい。
ルティエラを安心させるように髪や頬を撫でて、優しい口づけを落としてくれる。
今も──およそ、ルティエラの常識の範疇とは外れた行為を行なっているというのに、ルティエラの髪を撫でて「いい子だ、力を抜いていろ」と、優しく宥めてくれている。
よしよしと、髪を撫でられるのが好き。
いい子だと、褒められるのが好き。
愛していると、艶やかな声で囁かれるのが好き。
体を交えると、確かにそこには快楽があるのだけれど、それ以上に満たされる何かがある。
ルティエラの欲しいものが、レオンハルトとの交わりには詰まっている。
思う存分甘えられることが、求めてもらえることが、愛してもらえることが嬉しかった。
ルティエラが今まで得られなかった全てがそこにあって。
その全てを、レオンハルトが与えてくれる。
自分の全てを明け渡して、レオンハルトでいっぱいになると、不安も何もかもを忘れてレオンハルトの熱だけ感じていられる。
ここが、どこかでさえ。不安定な机の上で、少し身じろいだだけで書類に手が触れて落としてしまいそうなほど不自由で、いつ誰が訪れるのかもわからない場所なのに。
「っ、ふ、ぁ、あぁぁ、ん……っ」
蜜口にぴたりと触れた昂りが、一息にルティエラの体を貫いた。
こつりと硬い先端がルティエラの最奥に触れる。
胎の底が押し上げられて、脳髄が痺れるような快楽がびりびりと体を襲った。
レオンハルトはルティエラに啄むような口づけをして、最奥を穿つようにガツガツと無遠慮に動き始める。
熱杭が膣壁を擦りながら行き来して、その都度体が深いところに沈んでいくような、どこか高いところに押し上げられるようなどうしようもない快楽が腰から背筋にはいあがってくる。
「っ、れぉ、さま、奥、気持ちい……っ、声、出ちゃ……っ」
「静かに。堪えていろ。頑張れるな、ティエ」
「ぅん……がんばります……っ、ぁ、ぅ……ん、ん……っ」
円を描くように最奥を先端で撫でられて、内壁を広げるようにしてかき回される。
奥の弱いところをとんとんと小刻みに突き上げられて、ルティエラは足を跳ねさせた。
「ん、んっ、ぁ、ぅう、あ、ああっ、あぁ……っ」
頑張ろうとしているのに、きつく閉じたはずの唇から艶やかな嬌声が漏れる。
レオンハルトはルティエラの両足を肩に抱えるようにして、片手を机につき、もう片方の手でルティエラの腰を抱いている。
こんなに深く中まで入るのかというほどに、打ち付けられると胎の奥がじんと痺れる。
皮膚がぴったりと合わさって、バチュバチュと、激しく音を立てる。
扉の向こうに、この音も響いているのではないか。
そう思うと、かっと、体が燃えるように熱くなる。
誰かに聞かれていたら。誰かに、見られていたら。
それはとてもおそろしいのに、同時にとても淫らで。
膣壁が勝手に震えてレオンハルトの熱杭をきゅうきゅうと締め付けた。
誰かが訪れる想像をしていたからだろうか。
誰かが、トントンと、執務室の扉を叩いた。
「……っ」
ルティエラは目を見開いて息を呑んだが、レオンハルトは慌てた様子も焦った様子もなく、ルティエラの頬を撫でて「我慢、できるな?」と幼子に言うように甘く優しく囁いた。
「──誰だ?」
ゆるゆると、腰をゆらめかせながら、レオンハルトは仕事中の声音で答える。
ルティエラは声を出さないように、きつく唇を閉じた。
ゆっくり引き抜かれて、じわじわと中に、味わうように突き入れられる。
もどかしくも甘く、羞恥を伴った快楽を感じて、ルティエラは切なく眉を寄せる。
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