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優しい支配者 1
しおりを挟むちゅぷ、ちゅる、じゅる。
耳をふさぎたいぐらいにはしたない水音が響き、ルティエラは腰を浮かせるようにしながら目の前で何かがはじける感覚にか細い声をあげた。
「ひ、ぅう……っ」
「これだけで、もう、イッた?」
「……ん、ぁ、あ……れぉさま、もお……っ、ゃ、ああっ、あー……っ」
更にせめたてるように、けれど残酷なほどに優しく、舌で器用に薄皮を剥きながら中の小さな柔らかい赤い突起をレオンハルトはやわやわと舐めた。
恐怖さえ感じるような逃げ出したくなるほどの刺激に、ルティエラはいやいやと首を振る。
強すぎる快楽に、残った理性が拒絶を訴えてくる。
これ以上されたら、体がばらばらにちぎれて壊れてしうまうような気さえする。
緊張した足先で、シーツを蹴って、じたじたともがいた。
けれど、力強く腰を抱かれていては、やはり逃れることができない。
腰を動かして熱く滑る舌から離れようとしたが、その抵抗さえ嘲笑うかのように、レオンハルトは口の中に小さな突起をぱっくりと咥えこむと、じゅううと強く吸った。
「あ゛、あぁ、ひ、あ、あぁあっ、も、やぁ……っ、いく、いく……っ、いく……っ」
達するという感覚をはっきりと味わったのははじめてだ。
大きな波が押し寄せてくるように、体をどこかに押し上げられるように、激しい快楽に頭が白く濁り、ルティエラは高みに連れていかれた。
全身が赤く色づいて、促迫する呼吸と共に体温があがる。体が熱くて、苦しいのに、不思議な多幸感も感じる。
陶酔するようにぼんやりと天井を見上げているルティエラの足を持ち上げると、レオンハルトはその太股の内側に優しく歯を立てる。
その小さな刺激にも気づかないぐらいに、ルティエラは自失していた。
「いい子だ、ティエ。達するときは教えるように伝えたな。覚えていて偉い。よくできた」
「……ふ、ぁ」
ルティエラの耳にその言葉は届いたが、言葉は意味を為さなかった。
頭が働かずに、理解ができない。
優秀さや賢さや冷静さを常に求められてきたルティエラにとって、こんなことははじめてだった。
本当に、何も考えられない。
ただ、ひかない熱と脱力感と、体が浮き上がるような多幸感の中で揺蕩っていた。
レオンハルトの唇は、内股から脹脛を辿り、足先にまで落ちる。
足の指先を口に含まれて、自失していたルティエラはあまりのことに眉を寄せた。
「レオンハルト様……っ、いけません、お願いです……そんな不浄な場所は、どうか……っ」
「君は美しい。不浄な場所などありはしない。全身あますところなく、食べると伝えた」
「ですが……っ、そんな、ところ……」
はらはらと涙をこぼして、ルティエラは懇願した。
恥ずかしいことは受け入れられる。けれど、レオンハルトが貶められるようなことは耐えられない。
足に、舌が触れるなんて。
「れおさま、お願いです、やめ……っ」
「気持ちがいいのだろう、ティエ。君の愛らしい蕾が、ひくついて涙を流して喜んでいる。触って欲しいと訴えているように」
丁寧に指を舐められると、達したばかりの体が再び切なく疼いた。
見られていることに気づいて隠そうとしたが、レオンハルトの顔が足先にあるので動くことができない。ただ、耐えるしかなかった。
「だめ、お願いです、もう、お許しを……っ」
「これは懲罰ではない。君に与えるのは痛みではなく、快楽だけだ。ティエ、いい眺めだな。腰が揺れているのがよく見える。可愛い」
「違うのです、これは……っ、あ……ん……っ」
足首にそっと口付けられて、甘いと息が漏れる。
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