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アルヴァロの怒り 2
しおりを挟む堪えようもない快楽が、ぞくぞくと背骨を這い上がり、勝手に逃げようとする腰を強くおさえつけられる。足の指先に力がこもり、ルティエラはいやいやと首を振った。
「れお、さま……も、だめ……っ」
「いきたい?」
「ぅん……ん……っ、だめです、こんな……っ」
可憐な唇をわななかせて、ルティエラは涙を散らした。
追い詰めるように、レオンハルトの指先はルティエラのふくらんだ肉芽を押しつぶすようにして上下に動かした。
くちくちと、小さな水音がする。
助けを求めるようにしてレオンハルトの服を引っ張ると、指先とはまるで違う優しい唇が、ルティエラの耳や頬に口付けた。
「あ、あ……っ、れお、さま、い……っ」
いくと、告げようとした言葉は、扉が開かれる音とともに遮られる。
大きな音を立てて踏み込んできてきた誰かからルティエラの姿を隠すように、レオンハルトはルティエラに覆い被さった。
誰かが、入ってきた。
誰かに見られている。
──それなのに、達してしまった。
色んな感情がごちゃ混ぜになって、ルティエラはレオンハルトの胸に顔を埋める。
腰に手が回り、開かれた足の間に彼の硬いものが触れている。
仮面の下の感情は分からない。けれど、レオンハルトの自身は、ルティエラの痴態を見ながら確かに硬く熱を持ち立ち上がっているようだった。
その硬いものを、擦りつけるようにされる。
人が、いるのに。
「レオンハルト。何をしている?」
姿を見ることはできないが、それはアルヴァロの──ルティエラの元婚約者の声だった。
緊張か怒りか、その声は平素よりも低く、どこか硬い。
部屋の中に、緊迫感が満ちる。
けれど、レオンハルトは何一つ気にしていないように、ルティエラの体を抱きしめてがくがくと揺らしながら、口元に笑みを浮かべた。
「お伝えしたと思いますが。懲罰局に命じて、罪人を俺の秘書官にしました」
「秘書官を昼間から仕事場で抱くのか?」
「ええ。そうですが。何か問題でも? あなたがいらないと捨てたものを、俺が拾ったのです。俺が拾ったものを、俺がどうしようが俺の勝手です」
「ふざけるな。レオンハルト、ルティエラを離せ。お前の慰みものにするために、懲罰を受けさせているわけではない」
「殿下。聖女様にたてつく穢れた女に、仕置きをあたえているのですよ? あなたは俺に感謝をするべきだ」
笑いながら、レオンハルトは言う。
「無粋ですね、殿下。それとも、ルティエラが愛らしく達するところを見ていたいのですか? 俺はそれでも構いませんが」
「レオンハルト、一体どういうつもりだ……!」
「言ったとおりです」
「貴様、たかが騎士団長の分際で」
「内乱をおさめられたのは、誰のお陰ですか? 辺境伯との対話もすませ、カルア地方の平定をしたのは、誰でしょうか。俺は構いませんよ。俺がいなくても、国が治められるとおっしゃるのならば、それでも」
アルヴァロの足音が響き、大きな音を立てて扉がしまった。
静かになった部屋で、ルティエラはレオンハルトの腕に包まれて呆然としていた。
レオンハルトはルティエラから体を離すと、乱れた髪を撫でる。
「大丈夫か、ルティエラ」
「……れお、さま……っ」
恥ずかしさと混乱と、引かない熱に戸惑って、ルティエラははらはらと涙をこぼした。
よしよしと髪や頬を撫でられる。
アルヴァロの来訪に気づいて、演技をしていたのだろうか。
どこからが演技だったのだろう。
それなのに、ルティエラは快楽を感じて、一人で気持ちよくなってしまった。
それがひどく、恥ずかしく、情けなかった。
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