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アルヴァロの怒り 1
しおりを挟む口の中にある何かを探すように、しつこいぐらいに口腔を貪られて、ルティエラは苦しくなってレオンハルトの服を引っ張った。
酸欠で、頭がぼんやりする。
一瞬、激しい既視感に襲われたものの、すぐに何も考えられなくなってしまった。
苦しい。気持ちいい。息ができない。
「んっ、んぅ、う……ぁ、ん……っ」
目の前が真っ白になるような感覚に、ルティエラは体を緊張させたあと、くたりと弛緩させた。
頭の中で、何かがはじけた気がした。
まるで追い詰めるように、容赦のない嗜虐的な口付けは、ルティエラの思考も感情さえも奪い去って、何も考えられなくさせるようなものだった。
「……は……ぁ……」
じわりと、下着が濡れる感覚がある。
腹の底が熱く、全身が熱を持ち、頭の奥がじんじん痺れた。
ようやく離れた唇に安堵して、大きく口を開いてはあはあと新鮮な酸素を取り込んだ。
唇が離れても、体の熱が引いていかない。
本当は抵抗して、離れなくてはいけないのに、指先一本さえ動かすのが億劫だった。
レオンハルトはルティエラのブラウスのボタンを、器用にはずしていく。
露わになったきめの細やかな白い肌に唇を落として、強く吸った。
「ん……っ、レオンハルト様、何を……っ」
「消えてきただろう。もう一度、つけなおしてやろうと思ってな」
ぴりっとした痛みに、眉を寄せる。
痛みの後にゆっくりと舌で鎖骨や首を舐られて、熱の高まった体がすぐに快楽を拾い始めた。
(本当に……懲罰なの……?)
レオンハルトはそういう人ではない。
そう信じているのに。
辱めるために、傍におくというのだろうか。
ルティエラは、心が痛むのを感じた。それでも、レオンハルトにこうされることに、嫌悪感はない。
その手つきに乱暴さがないからだろうか。
それとも、別の何かか。
見知らぬ男と体を重ねてしまうぐらいに──私は、淫らだったのだろうか。
誰でもいいのか。優しくしてくれたら。求めてくれたら。
誰でもいいと思っているようで、それを否定したいのに、触れられると体が勝手に震えてしまう。
スカートをたくしあげられて、足の間に指先が伸びる。
下着の上から湿り気を確かめるように秘所を撫でられて、ルティエラはきつく目を閉じる。
「こんなに濡らして。辛いだろう。キスでイったのは可愛かったが、足りないだろうな。きちんと、いかせてやろう」
「レオンハルト様、もう、これ以上は……」
「懲罰が欲しいと言ったのは君だ。罪人なのだろう、ルティエラ。罪人らしく、主人の言うことを聞いていろ」
「……っ」
ゆっくりと、下着の上から秘所を撫でられて、浮き出た花芽を摘ままれる。
そんなところは、湯浴みの時以外は、自分で触ったこともなければ、誰にも触られたこともない。
あの日も、触られたのだろうか。
痛くないぎりぎりの強さで摘ままれて、硬い指の腹で擦られると、腰が浮いた。
「やだぁ……っ、レオンハルト様、お願いです、もう、やめ……っ」
「嫌、ではないだろう。君の下の口は、気持ちいいと、泣いている」
「もう、やぁ……っ、レオン、さま……っ」
あやすように、優しく唇が目尻に落ちて、涙をすすられる。
落ち着かせるような仕草なのに、秘所を嬲る指先は容赦がなく、性急に高みにのぼらされていく。
「あっ、あっ、れお、さま……っ、ゆび、だめ……っ」
「そんなに声を出すと、皆に聞こえる。俺は別に構わないがな」
「ん……っ」
一瞬、自分がどこにいるのかを忘れていた。
レオンハルトにからかうように言われて、ここが騎士団本部の執務室であることを思い出す。
「女に飢えた騎士たちには、君のその愛らしい声は毒だろうがな」
「……ん、ぁ、ん……ん……っ」
拒否の言葉も、文句の言葉も、口にしようとすればはしたない喘ぎが漏れてしまう。
ルティエラはきつく唇を結んだ。
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