属国の姫は嫁いだ先の帝国で、若き皇帝に虐められたい ~皇子様の献身と孤独な姫君~

束原ミヤコ

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番外編

里帰りの提案 3

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 ジークハルト様の立場を思えば、言ってはいけないようなことを私は口にしている。
 けれど、抑えることができなかった。

「あぁ、ティア。……心配をかけた。……愛しているよ、ティア」

 抽送がしだいに早くなる。

 蜜壺をかき回されて、硬いものに入口から奥までを幾度も擦られる。
 膨らんだ先端が、私の子宮を幾度も押し上げた。

 胎の奥はたっぷりと潤いをたたえて、欲しいとせがむようにして、ジークハルト様の陰茎を扱くように収縮を繰り返す。
 揺さぶられるたびに、甘い嬌声が部屋に響く。

 ばちゅん、と激しく私を穿つ音が、ぐちゅぐちゅと掻き回す水音が、鼓膜を揺らした。

「あ、は、ぁああ……、ひっ、あ、あぁああ……っ、おく、そんな……っ、したら、っ、ゃああ、ふかぃ……っ」

 私の両足を抱えて、ジークハルト様は更に奥まで激しく私を貫いた。
 熱い楔が胎の奥に触れて、目の前にチカチカと星が散る。

 全身がびくびくと勝手に震えて、私は体を弓形に逸らせた。

 達した衝撃とともに、迸った熱い液体が私を満たしていく。

 泣きたくなるような多幸感で胸がいっぱいになる。
 私をジークハルト様が強く抱きしめてくださる。

 呼吸音だけが、静かに部屋に満ちた。

「……ティア。……ようやく、……本来の、日常に戻ることができたようだ。……あなたと共にいると、世界は美しいのだと、思い出すことができる」

「ジーク様……、戦いで、ひどい光景を、見ましたの……?」

 未だ熱を失わないジークハルト様の硬さと熱さを体の奥で感じながら、私はその背中を撫でた。
 骨の感触と、筋肉の感触を確かめるように、ゆっくりと辿る。

「……帝国が他国を侵略できたのは、魔術師の力があってのことだった。だが、その後帝国は、魔術師を重用しなかった。彼らは迫害されたと感じ……、一つところに集まり、血を繋いで、……そして、御し易いクレストに、近づいた」

「……あの方は」

 クレスト・ブラッドレイのことを思い出すと、不快感が未だに胸を過ぎる。
 憎しみも怒りもないけれど、記憶が薄れた今でも、感情だけは薄れていかない。

 可哀想だと思う。哀れだとは思う。

 けれど、ーー彼が投獄されているときも、話をしたいとは、思わなかった。

「あなたにとっては、名も聞きたくないだろう。私も、……あれがあなたにしたことを、許すことは未だにできない。……だが、哀れみは感じるよ。私も、一歩道を踏み外せば、あれのようになっていた」

「……魔術師は、王を作りあげて、国を支配しようとしていましたの?」

「一部の望みはそうだったのだろう。しかし、それはほんのひと握りだ。大多数のもの、特に女性や子供は、ただ静かに暮らしたいと、……差別を受けず、堂々と生きていける場所が欲しいと、望んでいただけだった」

「もう、大丈夫なのですか?」

「私が行うべきことは、彼らが自由に生きることができる国を作ることだ。……それは、私とティアの安寧が侵されない国と、同義だ。……だから、ティア。私を支えて欲しい。あなたには、私の傍でいつでも、笑っていて欲しい。……私はそれだけで、私が、……数多の命を奪ったことは間違いではなかったと思うことができる。救われることが、できる」

「もちろんです……! 私、深く考えないことだけが取り柄なのです。難しいことは、苦手ですわ。……だから、ジーク様が喜んでくださるのなら、なんでもします。たくさん、可愛い下着を揃えましたの。見ていただきたくて……、それから、新しい本もルルが買ってきてくれましたわ。男性を喜ばせる方法を知りたくて。……ええと、それから」

「ティア。……ありがとう」

 ジークハルト様はふと微笑んだ。
 それからもう一度、腰をゆっくりと動かし始める。
 与えられる快楽に、私は切なく眉をひそめた。

「落ちついたら、一度、リュシーヌに行こう。カルナに挨拶をしたい。……考えていることがある。カルナとも、話し合いたいと思っている」

「っ、私も、お兄様に、会いたいです……っ」

「……喜んでくれて嬉しいが、……少々妬けるな」

 ジークハルト様は拗ねたようにそう言った。

 次第に激しくなる抽送に、まるで荒波に飲まれるぐらいの快楽に襲われて、私はもう何も考えることができなくなってしまった。


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