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属国の姫は皇帝に虐められたい
秘薬の効果が終わるまで 2
しおりを挟むジークハルト様は私の体を抱え上げたまま歩き、浴室のひやりと冷たい壁に私の背中を押し付けるようにした。
火照った体に冷たさが心地良い。
両足が床から浮いているせいで、自重で更にジークハルト様が私の奥へ、一番深いところへと入り込んでいる。
体が揺れる刺激でさえ、苦しいぐらいに気持ち良い。
ジークハルト様の背中に回した指先が、助けを求めるようにその逞しい背中を引っ掻いた。
「じーく、さま、っ……、こぼれ、ちゃ……っ」
ぐずついた思考回路で、先程言われた言葉を反芻する。
せっかく注いでいただいたのに、溢れてしまう。
太腿を伝う濡れた感触に、喪失感に襲われてる。
全部,満たされたいのに。
「零した分、もう一度注げば良い。あなたの記憶を、体に残る残滓を、全て私のものへと変えるぐらいに、あなたに刻ませて欲しい」
「ん、……っ、ジーク様、して、たくさん……っ、ぜんぶ、ジーク様のものに……っ、ひ、あ、あ」
ジークハルト様はゆっくりと腰を揺するようにした。
ぴったりと合わさっている私の奥の入り口と、亀頭の先端が擦れる。
愛液が滴り、果てたばかりなのに熱を持ち続けているジークハルト様に、私のなかがうねり、絡み付いている。
「ティア……、あぁ、なんて、美しい」
ゆっくりと私を揺さぶりながら、ジークハルト様が艶を帯びた声音で言う。
「口をひらいて、舌を出して」
言われたとおりに口を大きく開き舌を差し出すと、かぷりと甘く噛まれる。
薬のせいで過敏になっている舌は、まるで花芽に触れられているようで、噛まれた後に優しく舌を絡められると、もうどうしようもなかった。
「ふ、……ぅう、ぅん……んぅうう……っ」
びくびく震えながら達する私を、ジークハルト様は更に追い立てるようにして、激しく下から突き上げる。
ぐちゅぐちゅと水音が鼓膜を犯す。
抱きしめられて擦れる肌が、つるりとしている私とは違い、隆々と浮き出た腹筋の中央にある臍の下にある少し硬い下生えに擦られる花芯が、全部が気持ち良くてーーおかしくなる。
唇が離され、私は浅く早い呼吸を繰り返した。
唾液が唇から溢れ、喉を伝う。
心は満たされているのに、もう苦しいのに、私の意思に反して、体はもっと欲しいと熱を帯び続けている。
「あっ、ぁああ、じーく、さまっ、いってる、ぃく、また……っ、壊れちゃ……っ、ゃああっ」
「あぁ……、壊れて良い。あなたには、私がいる。ずっと、そばに」
「じーくさま、うれしい……、すき、……好き……っ」
「私も、愛している」
腰を強く引き寄せられて、最奥をこじ開けるようにしてぐりぐりと押し込むようにされる。
胎の奥がびりびりする。
足の指先まで力が入り、目の前が真っ白になる。
どこまでも深いところに落ちていくような快楽に、ぷつりぷつりと意識が途切れる。
一瞬意識が飛んでいる気がしたのに、再び激しく穿たれて、覚醒することを繰り返した。
「あっ、あ゛、あぁ……っ、ぃや、ああっ、あー……っ、ぁあ……」
浴室に私の淫らな嬌声が響く。
まるで、浅ましい獣になったみたいだ。
怖いことも嫌なことも終わってしまえば――それはただの記憶に過ぎなくて。
切り替えの早い私はジークハルト様に愛していただいているこの状況に、かなり、だいぶ、興奮しはじめていた。
浴室でこんな風に乱暴なぐらいに乱されるとか。
しかも、不可抗力だけれど媚薬的なものを使っていただけるとか。
――ちょっと、かなり、最高だわ。
「じーくさま、気持ちい、すき、すき……」
辛いのだけれど、苦しいのだけれど、私は頭の片隅にまだわずかに残っている理性の部分で、確実に今の状況を喜んでいる。
あんなことがあって、よくないのはわかっているのだけれど。
でも、助けにきてくださったジークハルト様はあまりにも素敵で、いつもは私が意識を失うと終わりにしてくださるのに、何度も何度も犯してくださるのが、素敵で。
それもこれも、私を大切にしてくださっているからこそだと肌で、心で、全てで感じることができる。
胸がいっぱいになるぐらいに、大好き。
気持ちが昂ると、さらに体が快楽に従順になっていくのがわかる。
私はひっきりなしに達していて、恥骨の裏側あたりを幾度も硬い昂りで擦り上げられると、透明な液体がぼたぼたと浴室の床へこぼれた。
「ゃ、あああ……っ あっ、もう、もう、ほし……っ、じーくさま、だめ、もう、だめなの……っ」
「ティア……っ」
掠れた声が私を呼んだ。
再び私の奥へと注がれる液体の熱を感じながら、私は意識が暗い場所へと落ちていくのに身を任せていた。
――どれぐらい、眠っていたのかしら。
ふと目を覚ますと、天井が視界にうつる。
いつもの見慣れた、寝室の天井だった。
ぐちゅぐちゅと、音が鳴っている。雨が降っているのかしらと、思う。
けれどーー違う。
「や、あ、あ……っ、ぁん、ぅ、あ」
小さな啜り泣きが聞こえる。
私の声、みたいだ。
覚醒と共に徐々に体の感覚が戻り始める。全身が、怠くて、熱くて、ーーなんだか、へん。
「ぁんっ、あっ、あっ、……ひ、ぅう」
体に力が、入らない。
指も、足も、動かすことができそうにない。
それでも、ぐるぐると全身を茹だるような熱さが包んでいる。
ぬるりとした液体の中に、体を落とされて身動きが取れないような気がする。
ぼやけていた視界が徐々に鮮明になる。
ふわふわしたベッドに横になっているのが気持ち良い。はあはあと荒い息遣いは、私のもの。
大きく開かれた足の間に、ジークハルト様の褐色の肌が見える。
「っ、ゃあああっ」
覚醒した途端に、体は快楽をすぐに思い出したようだ。
私は背中を逸らせながら、大きく体を痙攣させた。
内腿が震える。ぐちゃぐちゃに中をかき回されて、あまりの気持ち良さに覚醒したばかりの意識が一瞬途切れる。
「起きたか、ティア……。すまない、もう少しだ。耐えていろ」
苦しげに、ジークハルト様が言った。
見開いた瞳から、涙がぼろぼろ溢れる。
ジークハルト様は水差しに手を伸ばし、直接水を口に含んだ。
それから、私と唇を合わせる。
乾いた喉に水が注がれて、私は飢えた子猫のように水を飲み込み、ジークハルト様の舌をもっと欲しいと貪った。
「は、……ん、……んぅ」
「もう、夜が明ける。だいぶ、熱が引いてきた。体液と共に、秘薬の成分が散っているはずだ」
「ん……っ、ぁ……」
ぎしぎしと、ベッドが軋んでいる。
ジークハルト様は私の唇に触れながら、気怠い吐息と共に言った。
私は焦点の合わない瞳で、ジークハルト様を見上げる。
いつも涼しげな顔をしているジークハルト様の額に汗が滲んでいる。邪魔そうに前髪がかき上げられて、形の良い額がむき出しになっていた。
額に落ちる前髪が濡れている。
快楽に色を濃くした赤い瞳が、私を熱心に見つめていた。
「ティア……、これだけ注げば……、孕むこともある、のか……?」
ジークハルト様は私の開かれた両足の、陰茎が埋まっている秘せられた肉の狭間へと視線を落とす。
どれぐらい、時が経ったのだろう。
私の中はいっぱいで、下腹部をゆっくりと撫でられただけで甘く切ない。
下腹部を撫でられながら最奥をばちゅんと幾度も貫かれて、はくはくと息をついた。
呼吸が、うまくできない。ひゅう、と喉の奥が鳴る。
もう、声も出ない。
返事をしたいのに。
――私は、できることなら、ジークハルト様の子供を身篭りたい。
けれど、――そんなこと、本当はどちらでも良い。
ジークハルト様が私を愛してくれている。私にとっては、それだけが大切なのだから。
混じり合った体液が白く泡立ち、じゅぶじゅぶと卑猥な音を立てている。
「ティア……、好きだ。私の、ティア」
胸の飾りに唇が落ちる。
両胸の中央に僅かに残る傷跡に、舌が這う。
もう、血は止まっているようだった。
きつく吸われると、微かな痛みを感じた。それさえ、たまらなく気持ち良い。
「っ、ぁ、あ……っ、ひ、あ、ぁ」
呼吸のたびに、啜り泣きのような声が私の喉から溢れる。
ジークハルト様は私の体を、壊れるぐらいにきつく抱きしめた。
果てが近いのだろう。
揺さぶられて受け入れることしかできない私は、それでも愛していることを伝えたくて、力の入らない指先でジークハルト様の腕を撫でた。
ジークハルト様の息が、荒い。
押し殺した声が艶やかで、すっかり形の変わってしまった私の中は、ジークハルト様を離さないとでも言わんばかりに、収縮して陰茎を締め付ける。
どぷりと注がれた熱いものに、静かな果てを迎えたことを感じる。
はー、はー、と、新鮮な空気を求めるように大きく口を開けて胸を上下させた。
意識が再び、微睡の中に落ちていく。
熱が、少しづつ引いていくのがわかる。苦しいけれど、気持ち良くて、泣きたくなるぐらいに幸せだった。
ジークハルト様はしばらく私の体を抱きしめ続けていた。
重なる呼吸が、皮膚が、まるで、境界線を失ってしまったようで、溶け合ってひとつになれたようで、嬉しかった。
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