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属国の姫は皇帝に虐められたい

目隠しと道具の扱いに慣れたジークハルト様

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 ジークハルト様が手にしているのは、長いひも状のものだった。
 ひも状のものというか、幅広の黒い布である。
 それと、ぷるぷるしたゼリー状の何か。それは青く半透明で、長細い形をしている。
 見た目は柔らかそうだけれど、案外硬そうにもみえる。

「あの、ジーク様……」

 期待と不安が綯交ぜになった心境で、ジークハルト様の名前を呼んだ。
 寝ころぶ私に覆いかぶさるようにしているジークハルト様は、落ち着きがあって穏やかな、いつもどおりのジークハルト様に見えた。

「私は後宮で育ったと言っただろう、ティア。女ばかりの後宮は退屈らしくて、こういった道具は――いったいどこから手に入れるのか、案外多くあった。だから、……そうだな。知識だけは、私にもそれなりにある。それに――今までの圧政で、民が鬱屈していた生活を送っていたせいか、この類の道具の種類は案外多いようだ」

 冷静にそんなことを言いながら、ジークハルト様は手にしていた棒状の物を軽く指先ではじく。
 それから私の頬をさらりと撫でた。

「あなたの顔が見たい。けれど、ティア、あなたは褥の中においては、私に服従することを求めているのだろう。それならば、その自由を奪うことはあなたにとっては喜びとなるということだな」

「はぃ……」

 どうしよう、今日のジークハルト様もとても素敵。
 私は頬を上気させながら、こくこくと頷いた。
 どうぞなんなりと、なんでもしてくださいまし!
 などと頭の中で元気よく返事をしてみる。ジークハルト様は優しく微笑んで、手にしていた棒状の物を置くと、両手で黒い幅広の布を持った。

「ティア、目を閉じろ」

 優しいけれど有無を言わせない命令口調で言われて、私は素直に目を閉じる。
 黒い布が閉じた瞼の上に触れる。
 頭を抱えるようにそっと起こされ、後頭部で布が結わかれたようだった。
 薄く目を開いても、暗闇しか見えない。外が明るいからだろうか、薄ぼんやりとした光のようなものは透けて見えるけれどそれだけで、瞼や睫毛に布があたるので私は開いた瞳を再び閉じた。
 これは、これは目隠し……!
 私はてっきり、別宅でお話をしたり湖畔を散歩したり、ボートに乗ったりしてゆっくり愛を育むものかと思っていた。
 それなのに、屋敷に辿り着いたばかりで着替えもしていないのに、目隠しをされるだなんて。
 その上ジークハルト様は私を喜ばせるために準備をしてくださっていた。
 あぁ、好き……!
 ジークハルト様に対する感情が愛しさが昂ぶり、じわりと涙が滲むのを感じる。
 多少の不安と期待と、愛しさを感じながら、視覚が奪われたせいで身じろぐこともできないでいる私の靴を、ジークハルト様が丁寧に脱がせていくのを感じる。
 靴を脱がされ、絹靴下がするりと引き抜かれる。むき出しになった足に、ぬるりとしたものが触れた。

「ゃ、……ジーク様、駄目、だめ、です。わたくし、湯あみもまだ、で……」

 声が震えた。ぬるりとして熱いものは舌だろう。
 舌が私の足の指を舐り、足首を噛む。
 羞恥心と心苦しさで泣きたくなる。くすぐったくて、奇妙な感じだ。
 ジークハルト様は私が逃げないようにだろう、強く足首を掴んでいる。手の指が皮膚に食い込む感覚が、舌が皮膚を這う感覚が、何も見えないせいか私のすべてになってしまったようだった。
 ぐい、と持ち上げられた膝の裏に口づけられて、太腿の内側に触れる。
 軽く噛まれて、ぴりりとした痛みが走る。

「あ……、ぁう……」

 たくし上げられたスカートが腰のあたりに溜まっている。
 邪魔くさそうにドロワーズをはぎ取られると、下半身が外気に晒されてひやりとした。

「あなたはどこに触れても良い声でないてくれるな、ティア。まだ触れていないのに、はしたなく愛液が滴っている。私の姫君は、淫乱で愛らしい」

 ジークハルト様が私の両足を強引に大きく開かせた。
 二本の足を天井に向けて開かれた中心に、下着の上から吐息がかかるのを感じる。
 じっくりと見られているのだろう。恥ずかしくて、次に何をされるのかが分からず不安で、頭が茹るような興奮を感じた。
 言葉で貶められているわけではないのに、その口調はとても優しいのに、私の全てをジークハルト様に支配されているような気がする。
 それが、とても――嬉しい。

「……ん……っ」

 見られているのだと思うと、花弁に包まれた狭い入り口が勝手に収縮を繰り返した。
 ジークハルト様は触れて欲しい場所を外して、私の腰骨や大腿、足の付け根などを大きな手で撫で、舌を這わせて口づける。
 思いがけない場所に触れられるたびに、体がびくりと震える。私の体は敏感に快楽を拾い上げ、とろりと蜜壺から新しい蜜が滴り落ちていく。

「ジーク様、っ、お洋服、汚れてしまいますわ……」

 私の身に纏っているものは私用に作られた質の良い服ばかりだ。
 王国からは何も持ってこなかったのに、すでにジークハルト様が手配をしてくれていたのだろう、不自由がないどころか必要以上にたくさん、クローゼットにはお洋服がひしめいていた。
 サイズはきっとお兄様に聞いたのだろう。私は知らなかったけれど、お兄様とジークハルト様は既知の間柄のようなのだし。
 汚れてしまうのは避けたい。せっかくのお洋服、それも高級品なのだから。

「まだそのようなことを、気に病む余裕があるのだな」

 なにか冷たいものが、下着の上から押し当てられたようだった。
 それはぬるりとして、弾力があり、柔らかいけれど芯のような硬さのあるものだ。
 指とは違う。
 たぶん、先ほど見た棒状のなにか、だろう。

「これは、暇な魔術師たちが作っている淫具だ。貴重な魔力を、このような道具に込めるのだから困ったものだ。表立った争いのない証拠といえば聞こえは良いが、貴族などに高値で売れるらしい」

 低く落ち着いた声が、丁寧に言葉を紡ぐ。
 そうしている間に,私の花弁を割るようになぞっているその道具が、まるで意思を持ったように微かな振動を刻みはじめる。

「や、……っ、動いて……っ、ゃあああっ」

 薄い布を押し上げるようにして、花弁の端にある小さな芽にそれが押し付けられる。
 振動が花芽に伝わり、小刻みに、強く刺激される。
 びりびりと全身を快楽が襲った。
 なにが起こっているのかはよくわからないけれど、棒状のものの先端には窪みがあり、内側に無数の突起があるようだ。
 それが、私の花芽をつつみ、食べるように吸い付き震えている。

「あ、あ、っ、やぁっ……っ、あぅぅ」

 下着の端から、ジークハルト様の指が中へと入ってくる。
 花弁を開き、ぬるぬると蜜をこぼしている秘所に触れる。
 一気に二本の指をさしいれられて、私は強くシーツを掴んだ。

「あっ、あぁぁ……!」

 中を広げるように、ばらばらと指が動く。
 花芽の裏側を指でじゅぷじゅぷと撫でられ、押し上げるようにされると、外側からその場所を刺激している道具の振動が骨まで響いてくるようだ。

「やあ、あ、ひぅぅ……っ、じーくさま、だめ、だめなの……っ」

 滲んだ涙が、黒い布を濡らす。
 大きく開いた口からは、ひっきりなしに嬌声が漏れる。

「やだ、やだぁ……っ、わたくし、だめ、そんな……っ」

「腰が揺れているぞ、ティア。自ら押し付けておいて、嫌だとは。嘘をつくあなたには、仕置きが必要だな」

「や、やぁぁ、ぁ、あ」

 小刻みに突き上げるように、固く長い指が私の内壁を嬲る。
 花芽への刺激は止まず、逃げ出したくなるほどの快楽が、体を走り抜けていく。

「私が許すというまでは、達するな。できるだろう、ティア」

「じーくさまぁ……」

 私は震えながら、小さく頷いた。
 すぐにでも達しそうだったのだけれど、唇を噛んで耐える。

「良い子だ。我慢ができたら、褒美をやろう」

「ん、んぅ、……ひっ、あああ……っ!」

 優しい言葉と共に、指の動きが早まる。
 じゅぶじゅぶと壁を擦られ、震える道具は私の花芽を舐めしゃぶるように強い刺激を与え続けている。

「じーくさま、いきたい、いきたいの……っ、お願い、ゃっ、やっ、だめ、あぁぁ……っ」

 振動が、更に強まったようだった。
 剥き出しの花芽をぷつぷつした突起が覆い、扱き続ける。
 指の腹で浅いところを突き上げられて、こらえきれずに雫が勢いよく溢れた。
 ちかちかと星が真っ暗な瞼の裏でまたたき、全身が痙攣するように震える。

「ティア。私はまだ、良いと言っていない」

「ごめん、なさ……っ、じーくさま、わたくし……」

「良いか,ティア。良いと言われるまで、我慢しなさい。きちんと我慢することを覚えられるまで、淫具と遊んでいろ」

 花芽からそれが離れて、一瞬ほっとした。
 けれど、言われた言葉に耳を疑った。
 ぬるりとして柔らかい、震えるものが私の中へ入ってくるのがわかる。
 十分に太いそれは長くて、先端の窪みが奥に吸い付くように密着して、動き始める。
 衣ずれの音とともに、ジークハルト様が離れていくのがわかった。

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