属国の姫は嫁いだ先の帝国で、若き皇帝に虐められたい ~皇子様の献身と孤独な姫君~

束原ミヤコ

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属国の姫は皇帝に虐められたい

つつがなく初夜が終わったようです

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 特に酷いことをされているというわけではないのだけれど、秘所に触れられたり舌で舐められたりするのは気持ちが良い。
 侍女に体を洗って貰う時以外は誰にも見られたことのない場所を見られると言うのは、覚悟はできているとしても案外恥ずかしいもので、私は深く目を閉じながらシーツを強く掴んだ。

「じーくさま、ゃあ、ぁあ、んっ、ん、そんな、だめ、です……っ」

「すまないが、少し、堪えてくれ。……あなたに苦痛を与えたくない」

 ジークハルト様の指で開かれた私の柔らかい花弁から、赤く充血した突起が顔を覗かせる。
 ぬるりと舌に包まれて、私はビクビクと体を震わせた。
 小刻みに舌先で舐られて、ぐりりと強く何度も弾くように刺激される。
 淫らな快楽が身体中を走り回り、私は腰を浮かせる。目尻から涙が溢れて、自分のものとは思えない甘い声が部屋に響いた。

「ゃあああ、じーく、さまっ、だめ、だめなの……っ」

 しっかりとした骨を持った指が愛液で濡れそぼった蕾のなかへとつぷりと侵入してくるのがわかる。
 圧迫感を僅かに感じたけれど、花芽への刺激と快楽が強くて、痛みを感じたりはしなかった。
 私の内側を、硬い指が撫でている。
 柔らかい粘膜をかき分けて、何かを探すように丁寧に、ジークハルト様の指が膣壁を弄る。

「あ、あ……っ、わたくし、恥ずかしい、っ、ぁあ」

 男性にそんな場所を見られたのも触られたのもはじめてだ。
 羞恥心が湧き上がり、思わず嫌々をするように首を振っていた。
 頭の中で想像するのと、実際に体験するのとでは随分違うものだ。新しい発見だわ。
 気持ち良いけれど、両足を開いて秘された場所を晒け出すのは結構恥ずかしい。かなり、恥ずかしい。 

「あなたは美しい。綺麗だ、ティア。……痛くはないか?」

 花芽を吸っていた唇が離れて、追い立てられるような快楽から解放されたのもつかのま、私の中に埋め込まれた硬い指が、入り口からすぐの浅い場所をぐちぐちと内壁を押し上げるように刺激し始める。
 違和感ばかりだった内側の刺激なのに、その場所に触れられた途端にはっきりとした快楽が体に走った。

「っ、あ、あ、ぃたく、な……っ、じーくさま、そこ、きもちぃ、です……っ」

「良かった。ティア、一生懸命伝えてくれて、嬉しい。あなたは本当に、健気で気丈な方だ」

 私の顔を覗き込むようにしながら、ジークハルト様は私の目尻から流れた涙を啜った。
 やわらかく蕩けた蕾にもう一本指が差し入れられる。中を広げるようにかきまわされて、襞に指が擦れるのが、臓腑に直接触れられているようでおかしな感じだった。
 けれど、違和感だけではない何かが体を支配しはじめる。
 自分では動くことがもうできなくて、ひたすら泣き声をあげる私の頬や首筋に、どこまでも優しい口付けが落ちる。

「あ、あ……っ、ゃあ、ああ、だめ、ぁうう……っ」

「……辛いだろうか、……本当は、破瓜の痛みを和らげる薬があるのだが、あなたにそれを使いたくない。強すぎる快楽は、苦痛になるだろうから」

 半ば意識を朦朧とさせながらも、私は耳聡くジークハルト様の言葉を聞いた。
 そんなものがあるのなら、是非使っていただきたいのですけれど。
 それはあれじゃないですか、艶本の中では定番中の定番である、媚薬なのではないでしょうか。
 媚薬を秘所にそそがれて、どうしようもなく泣きじゃくる私を犯しながら「ティア、処女だというのにあなたは随分と淫乱だな」と口角を釣り上げて私を嘲るジークハルト様を想像してしまい、私の秘所から新しい愛液がとろりと溢れた。
 先ほどよりも滑りの良くなった蕾の中を、ぐちゅぐちゅと指が動き回る。
 粘膜が僅かにざらついて硬い皮膚や、爪、しっかりとした骨に触れるたびに、頭の奥が痺れた。

「ぁ、や、やっ、あぁ、あっ、じーくさま、……っ、ふ、ぁ」

「……ティア。痛みがあるかもしれない。辛ければ、私の背中に爪を立てて良い」

 ずるりと指が引き抜かれる。
 ジークハルト様は白い婚礼衣装の上着を脱いで、中のシャツもさっさと脱ぐとベッドの下へと無造作に投げ捨てた。穏やかで落ち着いた立ち振る舞いのジークハルト様にしては、乱暴な仕草だった。
 私は力の入らない体をベッドに埋めて、ぼんやりとジークハルト様を眺めながら胸をときめかせる。
 紳士的な立ち振る舞いの奥底にある獣じみた本来のジークハルト様の片鱗を垣間見たのかもしれないと思うと、もっとそちらのジークハルト様が見たいと、うずうずしてしまう。
 乱暴に投げ捨てられた白いシャツが羨ましい。私もシャツになりたい。
 ジークハルト様はやや長い黒髪を、耳にかけた。
 両耳につけられている銀色の耳飾りが揺れる。首筋にある荊の紋様が、鍛え抜かれた褐色の肌によく映えている。
 紋様は首筋だけにあるようだった。体には荊の紋はなくて、隆起した筋肉の浮き出た胸や腹が目に眩しい。
 男性の裸体を見るのもこれが初めてだ。
 無駄な肉が一切付いていないように見える引き締まった腹部の下には、ジークハルト様のご自身があるはずだ。
 見たいなぁと、思う。どんな形なのかしら。文字では読んだことがあるけれど、実際は見たことがないのよね。
 きちんと興奮なさっているのかしら。
 興奮すると形状が変わるらしいのだけれど、ジークハルト様はずっと穏やかなままだし、先ほど言っていた媚薬のようなものを、ジークハルト様がお召し上がりになった方が良いのではないかしらと、不安になってくる。
 日が翳り始めていた部屋には、夕闇が迫っている。心許ない薄紫色の光の中で、それでもジークハルト様の肢体や顔を、はっきりと見ることができた。
 ベルトが外されて、下履きを全て脱いだジークハルト様の体の中心には、私の手首ぐらいの太さがありそうな赤黒いそれが、そそり立っていた。
 秀麗な顔立ちと、雄々しい肢体の中心にあるそれは、随分とグロテスクな形をしていた。
 私は吃驚してしまって俯いた。なんとなく形のイメージはついていたのだけれど、例えば傘のような形状で、茎があって、太くて黒くて、とかは考えていたのだけれど、実物は迫力が違う。
 随分大きい。
 腹筋までつきそうなぐらいに立ち上がっていて、たち上がった裏側には、血管が浮き出て凸凹している。もっとつるんとしているのかと思っていたけれど、そうでもなかった。
 あんなものが私の中に入るのかしら。是非、入れて欲しいわ。どうしよう、興奮してきた。

「……ティア、あなたを見ていたら私も、……すまない、欲望を抑えることは、難しい」

「……嬉しい、です」

 今の反応は良くなかったかもしれない。
 私はおずおずと視線をもう一度ジークハルト様に向けると、小さな声で言った。
 興奮していただけたことはとても嬉しい。興奮していなかったらどうしようかと心配していたけれど、杞憂だったみたいだ。
 ジークハルト様は感極まったように、瞳を潤ませた。

「怖いだろうに、そうしてあなたは私に全てを捧げてくれるんだな。なんて、愛しい……、愛している、ティア。あなたの中に、私を埋めたい。どうか、あなたを傷つける赦しを私に与えて欲しい。私の女神」

 ジークハルト様が私を抱きしめながら、そっと耳元で囁く。
 低い声が鼓膜を震わせる。秘所にジークハルト様の熱を感じて、背中が悦楽への期待にぞわぞわと粟立った。

「私も、ジーク様のものに、なりたいです」

 できれば性奴隷になりたいです。
 その猛りきった剛直で私をひどく犯してくださいまし……!
 と、言いたいところだけれど我慢して、私はジークハルト様に阿るような声音で言葉を返した。
 唇が触れ合い、蕾をぎちぎちと押し開きながら私の中へとジークハルト様が入ってくる。
 指とは比べ物にならない質量に内臓さえ圧迫されているようで、知らず体が緊張してしまう。
 緊張をほぐすように、口の中をゆるゆると舐められる。息苦しさに喘ぐと、それに気づいてくれたのか、唇が離れた。

「狭いな、ティア……、耐えてくれ」

「だいじょうぶ、です……っ」

 じりじりと、ひときわ太い陰茎の先端が、中を割り開いていく。
 ジークハルト様の眉間に皺がより、苦しげな面持ちだ。首筋に汗の滴が流れるのが、妙に艶かしい。

「っ、ぅ、あ……、ぁああ……」

 ずるりと先端が入り込んだあと、私の蕾は太い陰茎を根元の方まで簡単に飲み込んだ。
 ピリッとした薄膜が破れる痛みと、重苦しい圧迫感に、私は息をつめる。
 ジークハルト様が抱きしめてくれるので、その背中に手を回した。
 痛い。痛いけど、気持ち良い。縋り付いて泣きじゃくることしかできない今の状況に、激しい興奮を感じる。

「じーくさま、うれしい、じーくさま……っ」

 幸せな気持ちが溢れて、私は拙い声でそう繰り返した。
 支配されているような感覚に、眩暈がする。待ち望んでいた強引さに、体が歓喜に震えて、新しい愛液がみっしりと私を満たしたジークハルト様と繋がった、体の奥に溢れる。
 
「ティア……っ、あぁ、私も幸せだ。……あなたの中は、なんてあたたかくて、柔らかいんだろう。……ティア、あなたと一つになれたのだな、……夢のようだ」

 即物的な喜びに体を震わせている私とは違い、ジークハルト様は愛に満ち溢れた切なくも艶やかな表情で、私に微笑んだ。
 なんだか無性に、素敵だった。
 褥の流儀だとしても、今だけは愛していただけているのだと思うと、嬉しい。
 多くの愛妾を抱えていると思われるジークハルト様は、今この瞬間だけはきっと、繋がった相手をきちんと愛してくださるのだろう。できる男とはそういうものなのだ。素晴らしいわ。
 つまり私も、今この瞬間だけは愛し愛される褥の相手として、その愛情を目一杯感じて良いのだろう。
 やっと納得できた。
 私は嬉しくなって、ジークハルト様の首筋に頬を寄せた。

「ジーク様、してくださいまし。我慢、なさらないで」

 体の緊張が抜けて、徐々に楽になってくる。繋がっている胎の奥は焼けるように熱い。
 大丈夫だからと伝える。ジークハルト様は喉の奥で押し殺したような声をあげると、ゆっくりと腰を動かし始める。
 浅いところまで引き抜き、内壁を擦りながら奥まで貫かれる。
 ぎし、とベッドが鳴った。ジークハルト様が動くたびに、耳飾りがゆらゆらと揺れる。

「あ、あ……っ、あっ、……ん、ぁあ」

 じゅぷじゅぷと、水音が部屋に響く。
 痛みも圧迫感も一瞬で消えて、犯される想像で興奮した体はジークハルト様の熱を容易く受け入れ始めた。
 気持ち良い。もっと、酷くして欲しい。ちょっと物足りない。
 気持ち良いのだけれど、物足りない。
 でも、気持ち良い。
 複雑な心境だけれど、大きな陰茎で穿たれるたびに、嬌声をあげて揺さぶられる事しかできないぐらいには気持ち良い。

「ティア、……愛している、ティア」

「じーくさま……っ、ゃ、ああ……っ」

 徐々に挿送が激しく、早まってくる。
 突き上げられる度に、どんどん高みにのぼらされていくようだった。
 高いところに連れて行かれて、そのまま戻って来れなくなるような奇妙な感覚に体が支配される。
 硬い楔が私の胎の奥をとんとん、と突き上げ、ぬるい泉をかき回した。
 果てが近いのだろう。抱きしめる力が強い。
 何度か激しく穿たれて、私の意識も濁り始める。体に緊張が走り、全身がびくん、と震えた。

「ふ、ぁ、ああ……っ」

「ティア……っ」

 熱い液体が迸るのを体で受け止めながら、私はぐったりと体を弛緩させた。
 ジークハルト様が名前を呼んでくれているのは分かっていたけれど、返事をすることはできそうになかった。

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