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終章:レーヴェ様の変化

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 気づけば私はいつものお屋敷の、ベッドの上にいた。
 とても不機嫌そうなレーヴェ様が、私の体を強く抱きしめて、ついでに九本の尻尾も私を包むようにしている。
 お屋敷は落ち着くし、いつものベッドもとても落ち着く。
 私は不機嫌そうなレーヴェ様の頭を、よしよし撫でた。
 ふさふさの耳の付け根から、三角形のてっぺんまでを撫でてみる。ふわふわで気持ち良い。

「ルーナぁ……」

 すごく甘えた声で名前を呼ばれるので、私はレーヴェ様に軽く口付けた。

「うう、可愛い……ルーナ、ごめんね。やっぱりやめておけばよかった。恥ずかしがるルーナを見たいなんて、下心が沸いてしまったのがいけなかった」

「あ、あの、レーヴェ様、大丈夫ですよ……? 恥ずかしかったですけれど……でも、私がして良いって言ったんです。だから……」

「違うんだ。声だけなら許容範囲だったんだよ、私も。でも、こんなに可愛いルーナを、ルーナのはしたない姿を見せてしまうなんて……ルーナは私だけのものなのに。嫉妬で臓腑が焼けそう……」

「臓腑を焼かないでください、死んでしまいます……!」

「ルーナの記憶をあの二人の脳から抹消したい……」

「た、多分、すぐに忘れてくれます……っ、それに、私のはしたない姿なんて、たいしたことがないと思いますし……」

「大したことがあるんだよ。ルーナは可愛いんだよ。死ぬほど可愛いんだよ? 自覚して」

 レーヴェ様は私を抱きしめながら、ベッドにどさっと転がった。
 それから、少し涙目になりながら詰るように私を見つめる。

「でも、私、普通です……」

「シルディスは勃っていたし」

「え……っ」

「ルーナの声を聞いていれば勃つのは当たり前だけれど、私のルーナの痴態で勃つとか許せないよね。切り落としてこよう」

「だ、だめです、レーヴェ様、国が滅んでしまいますから……!」

 レーヴェ様がすごく本気っぽいので、私は慌てた。
 そもそもミエレ様と皇帝陛下の情事がうまくいかないからと、私とレーヴェ様はお城であんなことをしたのよね。
 皇帝陛下のご子息を残すのは国にとってとても大切なことだから。
 それを切り落としてしまっては、本末転倒というか。
 さらに国の一大事というか。
 皇帝陛下、興奮している様子はなかったのだけれど──ミエレ様は怒っていないのかしら。
 他の女性で、男根が勃ってしまうとか、良い気持ちはしないのではないかしら。

 私、ごく自然に皇帝陛下の男根について考えてしまった。
 ごめんなさい、お姉ちゃんすっかりはしたない女になってしまった。
 と、ここにはいない弟妹たちに私は心の中で懺悔した。
 まさか皇帝陛下の男根について考える日が来るとは思っていなかった。

「ルーナ……シルディスの男根と私、どちらが大事なの?」

「レーヴェ様に決まっています……!」

 涙目になりながら、レーヴェ様がとんでもない質問をしてくるので、私はレーヴェ様に抱きついた。
 それから、手を伸ばして、レーヴェ様のお洋服の上から熱を持っているレーヴェ様ご自身に触れる。

「……あの、……レーヴェ様、欲しい、です。……さっき、途中で終わってしまったから、ちゃんと、欲しくて」

 とりあえずレーヴェ様が、シルディス様の男根を切り落としに行くのを阻止しないといけないと思った私。
 潤んだ瞳でレーヴェ様を見つめて、甘えるようにおねだりしてみる。
 欲しいのは本当だし。
 それに、今は他のことを考えないで。
 私だけを見て欲しい。

 私だってミエレ様に、私だけが知っている艶やかなレーヴェ様を見られるのはちょっと嫌だったのだから。

「うう……ルーナ……可愛い……ごめんね、恥ずかしかったよね。頑張ってくれてありがとう。もう絶対に誰にもルーナを見せないからね。たくさんしようね、ルーナ」

「嬉しい……レーヴェ様も、一緒に、気持ちよくなって欲しいです……」

「うん。愛しているよ、私のルーナ。気持ち良くなろうね。ルーナの中で、果てさせて」

 耳元で囁かれて、私はこくりと頷いた。
 レーヴェ様の立派なご自身が、私の蜜口へとぴたりと当てられるのがわかる。
 奥へ奥へと熱くて硬いものが入ってくる感覚に、私は小さな吐息をあげた。
 足りなかったものが、満たされていく。
 私はレーヴェ様の体に自分の手を回した。
 レーヴェ様は嫉妬深いとご自分のことをおっしゃるけれど、私も、結構そう。
 レーヴェ様といると嫉妬深くて我儘な女になってしまいそうで。
 でも、レーヴェ様はそれを許して受け入れてくれるから。
 だから──。

「レーヴェ様、大好き」

 激しく揺さぶられながら、何度もそう伝えた。

 そして──ミエレ様のご懐妊の報告のお手紙が私の元に届いたのは、それから数ヶ月後のことだった。
 お手紙には「ルナリアさんのおかげ」と、書かれていた。
 シルディス様の夜の事情までは書かれていなかったけれど、どうやら良好な関係になることができたみたいだ。
 ミエレ様はご懐妊したのに、私はその兆しもなくて。
 心配してレーヴェ様に尋ねたら、「まだルーナとの新婚生活を満喫したいから、ルーナが孕まないよう私の精子をルーナの奥に入らないように魔力で堰き止めている」と言われて、二度目の喧嘩になったりもした。
 時々喧嘩はするけれど、レーヴェ様は私の家族に一緒に会いに行ってくれるし。
 夜会にも、一緒に出てくれる。
 以前よりも外に出ることが増えるとともに、私に関係するものを溜め込んでいたレーヴェ様は、徐々にそれをやめていった。

「コレクションは大切だけれど、今この場にいるルーナを大切にすることの方がずっと大切だよね」

 と、最近ではおっしゃってくれている。
 子供についてはまだレーヴェ様が「ルーナを取られるのが嫌だから、もう少し待って」と言っているので待っているけれど。
 でも、大丈夫だろう。
 レーヴェ様は少し特殊な環境で育っているけれど、私を愛してくれるように、きっと生まれてくる子供も愛してくれる。
 そうしたら──ヴェルニア様のしきたりに縛られることなく。
 家族みんなで過ごせると良い。
 そんな賑やかな毎日を想像すると、自然と口元がほころんだ。

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感想 7

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みんなの感想(7件)

142
2024.07.31 142

あまりにも、ご存知の通り『あのふたり…すれ違いまくっている、凛々しい彼女と、初恋の彼⁈と妻が同一人物と気づかないあのお方!!』が好きすぎてand全くスイートにはほど遠い…ほのぼの感は満載!なんで、こちらに、『あのふたりの妄想』にきました苦笑!もちろん邪道で申し訳ないんですけど…その場面の主人公を脳内で、あの2人に変換して読んでみようか、と思い立ちまして。多分2人も、大人スイート未経験⁈純情さ加減でも似たようなもんじゃないか、と。同じシチュエーションで、言動はもちろん違くて…と読み込まないとうまく脳内変換できないけど、あのふたりの18バージョン、勝手に想像してみます。こんな読み方もあるなんて…聞かなかったほうがよかった、ご立腹される?失礼にあたるなら…ごめんなさい知らなかったことにしてください。こちらの2人もしっかりスイートで可愛けど、あの2人がとにかく推しなんです‼️あちらも楽しみにしてます!ときには、あっちにもスイートください。

束原ミヤコ
2024.08.04 束原ミヤコ

ありがとうございます!
こちらは、変態神官長と純情健気美少女の話なので、ちょっと毛色が違うかな、とも思います笑
でも、どのように読んでいただいても大丈夫ですよ!
頑張ってスイートも書きますね、あちらも頑張ります!

解除
にゃー
2024.03.29 にゃー

甘くて甘くて癒されましたー‼️

束原ミヤコ
2024.08.04 束原ミヤコ

ありがとうございます、癒されて頂きなによりです~!!!

解除
にゃー
2024.03.29 にゃー

素敵でしたー😀

束原ミヤコ
2024.08.04 束原ミヤコ

ありがとうございます!!!

解除

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