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 ルナリア、中庭で悪戯される 2

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 地面に座り込みそうになった私を、力強い腕が抱き留めてくださる。

「レーヴェ様……っ」

 私をしっかり抱き留めて、軽々と抱き上げてくださったのは、レーヴェ様だった。
 涙が滲む私の瞳をじっとのぞきこんで、にっこりと微笑んだ。

「ただいま、ルーナ。一刻も早く帰りたくて、政務室から転移魔法で戻ってきたのだけれど、ルーナが転ぶ前に間に合って良かった」

「レーヴェさまぁ……」

 私は羞恥心も忘れて、レーヴェ様に抱きついた。
 すごく、安心する。
 どうして良いのかわからなくて、怖かったの。
 レーヴェ様が一緒にいてくださるだけで、もう大丈夫だって思える。

「ルーナ、……もしかして、ひとりきりで、気持ち良くなっていた?」

 上気した肌とか、頬とか、涙に濡れた瞳とか――私の様子は、いつもと違うのだと思う。
 なんでも分かってしまうのね、レーヴェ様には。
 私は小さく頷いた。

「……私、……レーヴェ様を、待っていて……一人で、座っていただけ、なのに、胸が、気持ち良くなってしまって……レーヴェ様に、触られてる、みたい、に」

「そう。……それで、ドレスの上から分かるぐらいに、乳首が立っているのだね」

「っ、あ……っ」

 レーヴェ様は私のドレスの胸の部分に視線を落とすと、ゆっくりと言った。
 今日も、耳と九本の尻尾がはえている。
 神々しくも美しい姿だ。
 そんなレーヴェ様が心地の良い春風のような声音で、なんの恥ずかしげもなくいやらしいことを言うのが、どうにもうまくのみこめない。
 一拍おいて意味を理解した私の顔は、いっきに熱を帯びた。

「離れていても、ルーナの胸を触れるようにしてみたんだけれど、成功だね」

「え……っ、……離れて、いても?」

「うん。ルーナの胸、触っていたのは、私。私以外に触らせたりはしないから、安心して。ちゃんと、誰にも触られないように、厳重に保管してあるし」

「それは、どういう……」

「このあいだ、胸の型をとったでしょう?」

「あの、模型の……っ」

 私は私の胸の形をしたジェルスライムという魔生物について思い出した。
 レーヴェ様は「そうそう」と頷きながら、私を膝の上にのせて椅子に座った。

「ドレスを着て、私を待っていてくれるルーナが、中庭でひとりで、……気持ち良くなって、乱れているなんて。最高に、良い……」

「あんまりよくないです……」

 私はレーヴェ様の法衣を引っ張って、小さな声で文句を言った。

「こわかった、です……おかしくなったのかと、思って、私……」

「怖いのは、よくないよね。ごめんね、駄目だった?」

「……ちゃんと、教えてください。そうしたら、こわくない、から」

「ルーナ……ごめんね?」

 レーヴェ様が本当に反省をしたように、申し訳なさそうに謝ってくださる。
 私は甘えるようにして、その首に腕を回して抱きついた。
 怖かったし、驚いたから、少しぐらい甘えても良いわよね。
 きっと、許してくれるはず。

「……レーヴェ様の、手、って、わかりました。指とか、触り方、とか。私、レーヴェ様のこと、思い出して、余計に気持ち良くなってしまって……」

「ルーナ……可愛い……可愛いし、良い香りがする。……これは、蜂蜜?」

「あ……っ、あの、……はい……っ、レーヴェ様と一緒に食べようと思って、パンケーキを焼いてみたんです」

 レーヴェ様が私の首筋に顔を埋めるようにして言うので、私は頷いた。
 できれば、冷たくなる前に食べて頂きたい。
 冷たくても不味くはないけれど、あたたかいときの方が美味しいと思う。

「ありがとう。すごく、嬉しい」

 レーヴェ様は私の首筋に顔を埋めたまま、密やかな声で言った。

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