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ルナリア、型をとられる 2
しおりを挟むそれはレーヴェ様の掌から溢れているみたいだった。
ふにふにぷるぷるとした何かが、私の胸に乗っかっている。
何、これ。
「ふ、ぁ……あっ、レーヴェさま、これ……っ」
「大丈夫。無害な、ジェルスライム。すごい、ルーナ。すごい、可愛い」
「ひ、……ん……っ、レーヴェ様、冷たいの、怖い……助け、て……っ」
「少し待っていてね、すぐに、終わるから」
レーヴェ様は、ふるふるぷにぷにの何かを、私の胸から引き剥がした。
透明だったそれは、ふるふるしながら形を変えて、肌色に変化した。
ちゃんと胸の先端は桜色になっている。
それはどこからどう見ても、私の胸だった。
ただし、胸だけ。ボールが、二つ並んでいるみたい。何これ。
「見て、ルーナ。すごく良くできた……! ジェルスライムは、形を覚える性質があって。魔生物だけれど、動物よりは植物に近くてね。最初に覚えた形のまま一生を過ごすんだよ、まるで無機物みたいに」
レーヴェ様が、嬉しそうに私の胸の形をした何かを、私の目の前に掲げてみせる。
私は唖然としながら、その様子を見ていた。
全裸で。
「……うん。最高。これでいつでもルーナの胸をそばに置いておくことができる。やっぱり、政務室におこう。手首を置くのにちょうど良い形をしているから」
「…………レーヴェ様」
「なあに?」
「せめて、……せめて、下着を、着せてください……」
私は真っ赤になった顔を両手で隠した。
すごく、居た堪れない。
完璧な美貌を持った美しい神官長様が、私の胸の模造品を掲げて大喜びしている。
どうしよう、どうしよう。
私、レーヴェ様のこと好きだけれど。
レーヴェ様、ちょっと、変わっているのかもしれない。
これから大丈夫かしら。
レーヴェ様の言う気持ち良いことに、私はついていけるのかしら。
「下着……そうだね、下着、着せよう。絶対可愛い。それから、ルーナの胸と感覚をつなげて、私が仕事中でも、ルーナが気持ち良くなれるようにしてあげるね」
「え……っ、え……?」
「毎日の礼拝の時も、退屈だから、袖の下に忍ばせておこう。そうすると、あと、二、三個必要だよね。ルーナ、型を取ろう」
すごく、嬉しそうだわ、レーヴェ様。
やっぱり私には、レーヴェ様の言っている言葉の半分ぐらいしか意味がわからなかった。
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