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第十章 シリカ国編
第五十八話 シリカ国へ
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第五十八話 シリカ国へ
ブレイメン公国は前回の帝国軍との戦いに生き残った。
だがそれに浮かれていられるのは一般兵と国民だけ。
大半の貴族が危機意識を持っているのがこの国のいいところだ。
アルスラン帝国が侵略してきたから防衛戦を行っただけだが、あちらから見れば格下国家に脛を蹴られたようなもの。
屈辱以来の何物でもない。
そして屈辱を黙って受けられるくらいなら戦争を仕掛けてくるはずがない。
「こちらの和平交渉は受け入れられる見込みがほぼありません」
フランツ宰相の報告に一同はため息をついた。
戦争を望まないのはこちらの都合だ。
あちらはあくまで戦うと言っている。
なら戦うしかない。
勿論降伏するという手もあるが、それをした場合どうなるか。
今のままの領地が残るはずもなく、国民が奴隷化する事もありうる。
男はみな鉱山で強制労働させられて、男手を失った農村が飢餓化する事だって十分ありうる。
女子供が無事だという保証もない。
「ではやはり戦うしかないか」
オットー大公がそう言うと宰相は頷く。
いつも穏やかな笑みを浮かべているフランツ宰相は底がわからない所がある。
だがその裏では並々ならぬ努力をしているはずだ。
密偵や賄賂をつかませたアルスラン帝国の内通者の報告を総合的に判断しての頷きには、本当に無理ですという悲痛さがあった。
「はい。ですが今回は帝国も大軍を投入する余裕はありません。せいぜい二個軍団ほどでしょう」
「何故だ宰相」
「ミナセ侯爵の進言により帝国領と近隣諸国の食料を買い占めております。大軍であればあるほど帝国は食料が無くなります」
周りの貴族が俺に注目する。
そう、俺はこの事態を予測して前もって食料や物資を買い占めておいたのだ。
おかげでブレイメン公国には消費しきれないくらいの食料がある。
飢えたアルスラン帝国軍が焦って前回攻撃してきたのも、長く陣地にとどまっていれば自滅すると思ったからだ。
この戦法は豊臣秀吉、当時は羽柴秀吉が行った戦法だ。
さすが後の天下人である。
俺はそれに頷いて口を開いた。
「ですがそれも今年の秋までです。秋になれば新たな食料を得たアルスラン帝国軍が攻撃してくる事は大いにありえます。アルスラン帝国もそれがわかっているから和平交渉を受ける気が無いのでしょう」
かつてイギリス宰相ウィンストン・チャーチルが言った。
『勝てる戦争をやめる馬鹿はいない』
まさに今のアルスラン帝国がそうだ。
仮に次の大軍に勝てたとしても更に大軍を送り込んでくるだろう。
そしてアルスラン帝国は兵力が無尽蔵と言っていい程ある。
何しろ自称人口が一億人だという巨大国家だ。
話半分だとしても五千万人だからな。
西大陸のほぼ全てが彼らの領地なので総動員数は百万二百万では収まらないだろう。
頭が痛くなってきた。
こちらが用意できる兵力は一万人で、しかもこれ以上の補充はきかない。
「今の我々は援軍の無い籠城をしているようなものです」
俺の発言に他の貴族が黙り込む。
先行きがみな見えない。
このまま戦い続ければいつかは負ける。
だから俺はこう発言した。
「援軍さえあれば勝てます」
俺の発言に皆驚いた。
それはそうだ、天下のアルスラン帝国と戦える国なんてあるはずがない。
「無いものを求めても仕方がなかろう」
「いいえあります」
俺の発言に他の貴族やオットー大公が俺を見る。
その目には淡い希望と疑いの目が向けられていた。
「俺たちは兵力で戦うのではありません。経済力で戦うのです。具体的には経済大国であるシリカ国を味方につけるのです」
シリカ国は兵力も人口もブレイメン公国より多く援軍を期待できるだけでなく、交易国家なので経済力も相当なものだ。
彼らを味方に付ければ勝機はある。
というかアルスラン帝国に対抗できる国が他にない。
周辺諸国はアルスラン帝国に従う国ばかりだし、もし味方についたとしても今度はブレイメン公国が援軍を出す事態になりかねない。
そうなれば本末転倒だ。
「シリカ国も我々が敗れれば次に攻撃されるのは自分たちだとわかっている筈です。そこが交渉のカギでしょう」
「では誰が交渉をするのかね」
オットー大公が俺を見る。
うん分かってますよお義父さん。
俺が行くしかないですよね。
「俺が行きます。必ず味方に引き入れてみせます」
そう言って俺は力強く頷いた。
周りの貴族は俺の言葉を聞いて戸惑い疑いつつも他に方法が無いことを悟ったようだ。
疑惑の視線はいつのまにか懇願する視線に変わっていた。
◆◆◆
「ハヤト本当に行くのか?」
「俺が行かなきゃだれが行くんだ。そう言いながらクリスだって行く気まんまんじゃないか」
そう言って俺は手荷物をまとめているクリスに苦笑する。
クリスが来てくれるなら心強い。
「私は別に戦う気は無いぞ。一度シリカ国に行ってみたかったのだ」
「本音はそっちか」
俺は思わずため息をつくとクリスが笑う。
「シリカ国の特産品とか食べてみたいしな」
「信頼してくれるのは嬉しいが、交渉が失敗したらとか考えないのか?」
俺がそう言うとクリスは驚いたように目を見開き、すぐにおかしそうに笑い笑顔を見せる。
「ハヤトが失敗するはずがないだろう」
「信頼してくれすぎだろ」
「私だけじゃないさ。ここにいる家臣や国民もハヤトなら大丈夫だと思っているぞ?」
俺は思わず周りを見るが、そこにはいつもの家臣団の面々がいた。
俺が失敗する事なんて誰も思っていないらしい。
これは期待に応えねばなるまい。
「ハヤト義兄さんお気をつけて」
「ああ、フリッツ君も気を付けてな。秋まで帝国軍は攻撃してこないと思うがその時はアカネを守ってやってくれ」
俺がそう言うとフリッツ君は頬を染めながら
「命に代えても守り抜きます」
そう誓いの言葉を発する。
いや本当にこの子は自分の命と引き換えにしてもアカネを守ろうとするだろう。
微笑ましいがそういう所が不安なのだ。
今のセリフをアカネに聞かせてやればいいのにと、残念可愛い義弟の頭を撫でてやる。
クリスと同じ赤髪の少年は嬉しそうに微笑んだ。
ああもう可愛いな。
アカネには勿体ないと思ってしまう。
こうして俺とクリスはシリカ国へと旅立った。
ブレイメン公国は前回の帝国軍との戦いに生き残った。
だがそれに浮かれていられるのは一般兵と国民だけ。
大半の貴族が危機意識を持っているのがこの国のいいところだ。
アルスラン帝国が侵略してきたから防衛戦を行っただけだが、あちらから見れば格下国家に脛を蹴られたようなもの。
屈辱以来の何物でもない。
そして屈辱を黙って受けられるくらいなら戦争を仕掛けてくるはずがない。
「こちらの和平交渉は受け入れられる見込みがほぼありません」
フランツ宰相の報告に一同はため息をついた。
戦争を望まないのはこちらの都合だ。
あちらはあくまで戦うと言っている。
なら戦うしかない。
勿論降伏するという手もあるが、それをした場合どうなるか。
今のままの領地が残るはずもなく、国民が奴隷化する事もありうる。
男はみな鉱山で強制労働させられて、男手を失った農村が飢餓化する事だって十分ありうる。
女子供が無事だという保証もない。
「ではやはり戦うしかないか」
オットー大公がそう言うと宰相は頷く。
いつも穏やかな笑みを浮かべているフランツ宰相は底がわからない所がある。
だがその裏では並々ならぬ努力をしているはずだ。
密偵や賄賂をつかませたアルスラン帝国の内通者の報告を総合的に判断しての頷きには、本当に無理ですという悲痛さがあった。
「はい。ですが今回は帝国も大軍を投入する余裕はありません。せいぜい二個軍団ほどでしょう」
「何故だ宰相」
「ミナセ侯爵の進言により帝国領と近隣諸国の食料を買い占めております。大軍であればあるほど帝国は食料が無くなります」
周りの貴族が俺に注目する。
そう、俺はこの事態を予測して前もって食料や物資を買い占めておいたのだ。
おかげでブレイメン公国には消費しきれないくらいの食料がある。
飢えたアルスラン帝国軍が焦って前回攻撃してきたのも、長く陣地にとどまっていれば自滅すると思ったからだ。
この戦法は豊臣秀吉、当時は羽柴秀吉が行った戦法だ。
さすが後の天下人である。
俺はそれに頷いて口を開いた。
「ですがそれも今年の秋までです。秋になれば新たな食料を得たアルスラン帝国軍が攻撃してくる事は大いにありえます。アルスラン帝国もそれがわかっているから和平交渉を受ける気が無いのでしょう」
かつてイギリス宰相ウィンストン・チャーチルが言った。
『勝てる戦争をやめる馬鹿はいない』
まさに今のアルスラン帝国がそうだ。
仮に次の大軍に勝てたとしても更に大軍を送り込んでくるだろう。
そしてアルスラン帝国は兵力が無尽蔵と言っていい程ある。
何しろ自称人口が一億人だという巨大国家だ。
話半分だとしても五千万人だからな。
西大陸のほぼ全てが彼らの領地なので総動員数は百万二百万では収まらないだろう。
頭が痛くなってきた。
こちらが用意できる兵力は一万人で、しかもこれ以上の補充はきかない。
「今の我々は援軍の無い籠城をしているようなものです」
俺の発言に他の貴族が黙り込む。
先行きがみな見えない。
このまま戦い続ければいつかは負ける。
だから俺はこう発言した。
「援軍さえあれば勝てます」
俺の発言に皆驚いた。
それはそうだ、天下のアルスラン帝国と戦える国なんてあるはずがない。
「無いものを求めても仕方がなかろう」
「いいえあります」
俺の発言に他の貴族やオットー大公が俺を見る。
その目には淡い希望と疑いの目が向けられていた。
「俺たちは兵力で戦うのではありません。経済力で戦うのです。具体的には経済大国であるシリカ国を味方につけるのです」
シリカ国は兵力も人口もブレイメン公国より多く援軍を期待できるだけでなく、交易国家なので経済力も相当なものだ。
彼らを味方に付ければ勝機はある。
というかアルスラン帝国に対抗できる国が他にない。
周辺諸国はアルスラン帝国に従う国ばかりだし、もし味方についたとしても今度はブレイメン公国が援軍を出す事態になりかねない。
そうなれば本末転倒だ。
「シリカ国も我々が敗れれば次に攻撃されるのは自分たちだとわかっている筈です。そこが交渉のカギでしょう」
「では誰が交渉をするのかね」
オットー大公が俺を見る。
うん分かってますよお義父さん。
俺が行くしかないですよね。
「俺が行きます。必ず味方に引き入れてみせます」
そう言って俺は力強く頷いた。
周りの貴族は俺の言葉を聞いて戸惑い疑いつつも他に方法が無いことを悟ったようだ。
疑惑の視線はいつのまにか懇願する視線に変わっていた。
◆◆◆
「ハヤト本当に行くのか?」
「俺が行かなきゃだれが行くんだ。そう言いながらクリスだって行く気まんまんじゃないか」
そう言って俺は手荷物をまとめているクリスに苦笑する。
クリスが来てくれるなら心強い。
「私は別に戦う気は無いぞ。一度シリカ国に行ってみたかったのだ」
「本音はそっちか」
俺は思わずため息をつくとクリスが笑う。
「シリカ国の特産品とか食べてみたいしな」
「信頼してくれるのは嬉しいが、交渉が失敗したらとか考えないのか?」
俺がそう言うとクリスは驚いたように目を見開き、すぐにおかしそうに笑い笑顔を見せる。
「ハヤトが失敗するはずがないだろう」
「信頼してくれすぎだろ」
「私だけじゃないさ。ここにいる家臣や国民もハヤトなら大丈夫だと思っているぞ?」
俺は思わず周りを見るが、そこにはいつもの家臣団の面々がいた。
俺が失敗する事なんて誰も思っていないらしい。
これは期待に応えねばなるまい。
「ハヤト義兄さんお気をつけて」
「ああ、フリッツ君も気を付けてな。秋まで帝国軍は攻撃してこないと思うがその時はアカネを守ってやってくれ」
俺がそう言うとフリッツ君は頬を染めながら
「命に代えても守り抜きます」
そう誓いの言葉を発する。
いや本当にこの子は自分の命と引き換えにしてもアカネを守ろうとするだろう。
微笑ましいがそういう所が不安なのだ。
今のセリフをアカネに聞かせてやればいいのにと、残念可愛い義弟の頭を撫でてやる。
クリスと同じ赤髪の少年は嬉しそうに微笑んだ。
ああもう可愛いな。
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