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第六章 愛しい人
第三十話 空中結婚式
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第三十話 空中結婚式
ハヤトが元の世界に帰還してから一ヶ月後。
クリスはずっと臥せっていた。
うわ言のようにハヤトの名を呼び、慌てた侍医が駆けつけると体中が汗びっしょりで慌てて侍女が身体を拭く毎日。
「今までの緊張の糸が切れてしまったのでしょう」
侍医の報告に大公一家は悲しみのため息をついた。
とりわけクリスになついていたフリッツの苦悩は大きかった。
フリッツは生まれつき身体が弱く、クリスが陰日向になって支えてくれた。
父親であるオットーは武人らしく育てようとしたが、病弱な息子に落胆していた。
他家からの養子かクリスに婿をとらせて次の公位継承者に立てようとさえ思ったが、クリスが頑なに拒んだ。
「フリッツは必ず立派な大公になります。わたしが育てます」
クリスはフリッツに惜しみない愛情を注いだ。
フリッツが病気になれば山に入り竜に乗らないと手に入らない断崖絶壁に生える薬草を採取し、床を離れれば身体を鍛えさせ剣を教え竜に乗せた。
クリスの献身に答えようとフリッツも身体を鍛え勉学に打ち込み、やっと健康な身体を手に入れて姉に恩返しが出来ると思っていたのに。
「……今日は何日だ?」
クリスが侍女に尋ねる。
日に何度も尋ねられるたびに侍女の目から涙がこぼれる。
ハヤトがいなくなってから何日すぎたのか。
「これは?」
クリスが枕元の花瓶に飾られた白い花を見る。
「フリッツ様が山で摘んでこられたお花です」
「そうか。フリッツも立派な竜騎士になったのだな」
険しい山間の谷にしか咲かない花。
その花を摘めるほどフリッツは立派に育ったとクリスは微笑む。
「もう思い残すことはない」
「姫様何をおっしゃいます!!」
「いい、自分の身体は自分がよくわかっている。ジェイソンは元気にしているか?」
「姫様の容態がすぐれないのを察しているのでしょう。気落ちされています」
「あの甘えん坊め。たまには顔を見に行ってやるか」
クリスはベッドの端を掴んで立ち上がろうとする。
侍女に助けてもらいながら着替えをしていく。
「今日は竜騎士甲冑を着せてくれ」
「姫様無茶ですっおやめください!!」
「ジェイソンに別れを告げるのに寝間着では心苦しい。あの子にはちゃんとした格好で別れを言いたい」
駐騎場に向かうと愛竜ジェイソンがクリスの顔を見て嬉しそうに鳴いた。
「久しいなジェイソン。元気にしていたか?」
ジェイソンは丸い瞳でクリスを見つめたまま動かない。
ただ駐騎姿勢。後ろ足で座り前足で立つを取る
「乗れというのか?」
ジェイソンは頷く。
「そうだな。久しぶりに空を飛んでみたい」
自分が愛した国と民をもう一度見ておきたい。
クリスはそう思ってジェイソンに跨る。
ジェイソンが駐騎場で羽ばたきクリスを乗せて飛んだ。
空の上から首都チュロスを見るのは一ヶ月ぶりだ。
一ヶ月前の自分はなんて幸せだったのだろう。
豊かになっていく国民を見て微笑み、ハヤトと他愛も無い会話をして笑いあった。
毎日国境を越えていく気球船団を見送り、沢山の小麦や塩や砂糖を持ち帰る船団を出迎えた。
チュロスの大広場に漂っていた陰鬱な空気は薄れ、今では子供でさえ白パンを食べ歩いている。
上空を舞う赤いドラゴンに跨った竜騎士甲冑を身に着けたクリスの勇姿に気が付き、広場の人々がクリスに手を振る。
クリスも手をふりかえし辛い身体に鞭打って竜騎士甲冑を身にまとっていて良かったと思った。
「この光景がずっと見たかったんだ」
この光景をこれから先も見ていたい。
いつまで見られるだろうか。
そう思っていた時だった。
異変に気がついたジェイソンが更に高く舞う。
「どうしたジェイソン?」
クリスはジェイソンの手綱を手にするがジェイソンは言うことを聞かない。
そのまま上昇して高度五百メートルほどになった地点でジェイソンが止まった。
強風が吹く。
クリスが目を細めるとしばらくして風は止んだ。
風が止みクリスが目を見開く。
目の前に忘れることの出来ない思い出の気球が浮かんでいた。
「やあクリス」
ハヤトがバツが悪そうにバスケットの中で微笑む。
「どうして……」
「いやあ、ダメ元で俺がここに来た時の風が吹いた場所を飛んでみたんだ。おーみんな元気そうだな」
ハヤトが手を振ると大広場の群衆が手を振り返す。
「これ友達がなにかの役に立つかもって持たせてくれた本。あと教授達があれも持ってけこれも持ってけって、気球とか天体とか気象学とかの本と色々な機械も持たされて足の踏み場も無いよ」
「………」
クリスは涙を堪えて俯く。
「日本にもう思い残しはない」
「ご両親は許してくれたのか?」
「そのご両親がこちら」
そう言って気球のゴンドラに乗った両親と茜がクリスに笑顔で手を振った。
その笑顔を見てクリスも少し微笑む。
「それでさクリス。もしこれで駄目なら俺、道化の極みなんだけど。クリスもう結婚しちゃった?」
「……馬鹿。まだ一ヶ月だぞ。それにお前以外と結婚する気はない」
「そっかまだなんだ。じゃあクリス」
そう言ってハヤトはクリスに手を差し出した。
「俺と結婚してくれませんか」
大広場の上空で突然の告白がはじまった。
騒ぎを聞きつけた群衆が上空を見上げる。
館からも大公一家や侍女達が見つめる中。
「馬鹿。これが答えだ」
そういってクリスはジェイソンからハヤトの乗る気球のバスケットへ飛び移る。
ハヤトが空中を舞うクリスを受け止め抱きしめる。
そのまま夕日をバックにバスケットの中でハヤトとクリスは見つめ合い誓いの口づけを交わした。
家族の目の前でキスをするというのは恥ずかしいが、それよりクリスと再会できた喜びが勝った。
群衆が歓声を上げ花吹雪が舞う。
家々から音楽が鳴り響き、館から侍女たちが飛び出して歓喜の涙を流している。
気の早い者は酒樽を並べ、シチ酒を木のジョッキに注ぎ道行く人々に誰から構わず渡す。
ヤギ肉だけでなく塩漬けの牛肉や豚肉が焼かれ、人々は熱狂してお祭り騒ぎに狂奔した。
こうして首都に住む全員の見上げる前で、後の世に語り継がれるハヤトとクリスの空中結婚式が挙行されたのである。
ハヤトが元の世界に帰還してから一ヶ月後。
クリスはずっと臥せっていた。
うわ言のようにハヤトの名を呼び、慌てた侍医が駆けつけると体中が汗びっしょりで慌てて侍女が身体を拭く毎日。
「今までの緊張の糸が切れてしまったのでしょう」
侍医の報告に大公一家は悲しみのため息をついた。
とりわけクリスになついていたフリッツの苦悩は大きかった。
フリッツは生まれつき身体が弱く、クリスが陰日向になって支えてくれた。
父親であるオットーは武人らしく育てようとしたが、病弱な息子に落胆していた。
他家からの養子かクリスに婿をとらせて次の公位継承者に立てようとさえ思ったが、クリスが頑なに拒んだ。
「フリッツは必ず立派な大公になります。わたしが育てます」
クリスはフリッツに惜しみない愛情を注いだ。
フリッツが病気になれば山に入り竜に乗らないと手に入らない断崖絶壁に生える薬草を採取し、床を離れれば身体を鍛えさせ剣を教え竜に乗せた。
クリスの献身に答えようとフリッツも身体を鍛え勉学に打ち込み、やっと健康な身体を手に入れて姉に恩返しが出来ると思っていたのに。
「……今日は何日だ?」
クリスが侍女に尋ねる。
日に何度も尋ねられるたびに侍女の目から涙がこぼれる。
ハヤトがいなくなってから何日すぎたのか。
「これは?」
クリスが枕元の花瓶に飾られた白い花を見る。
「フリッツ様が山で摘んでこられたお花です」
「そうか。フリッツも立派な竜騎士になったのだな」
険しい山間の谷にしか咲かない花。
その花を摘めるほどフリッツは立派に育ったとクリスは微笑む。
「もう思い残すことはない」
「姫様何をおっしゃいます!!」
「いい、自分の身体は自分がよくわかっている。ジェイソンは元気にしているか?」
「姫様の容態がすぐれないのを察しているのでしょう。気落ちされています」
「あの甘えん坊め。たまには顔を見に行ってやるか」
クリスはベッドの端を掴んで立ち上がろうとする。
侍女に助けてもらいながら着替えをしていく。
「今日は竜騎士甲冑を着せてくれ」
「姫様無茶ですっおやめください!!」
「ジェイソンに別れを告げるのに寝間着では心苦しい。あの子にはちゃんとした格好で別れを言いたい」
駐騎場に向かうと愛竜ジェイソンがクリスの顔を見て嬉しそうに鳴いた。
「久しいなジェイソン。元気にしていたか?」
ジェイソンは丸い瞳でクリスを見つめたまま動かない。
ただ駐騎姿勢。後ろ足で座り前足で立つを取る
「乗れというのか?」
ジェイソンは頷く。
「そうだな。久しぶりに空を飛んでみたい」
自分が愛した国と民をもう一度見ておきたい。
クリスはそう思ってジェイソンに跨る。
ジェイソンが駐騎場で羽ばたきクリスを乗せて飛んだ。
空の上から首都チュロスを見るのは一ヶ月ぶりだ。
一ヶ月前の自分はなんて幸せだったのだろう。
豊かになっていく国民を見て微笑み、ハヤトと他愛も無い会話をして笑いあった。
毎日国境を越えていく気球船団を見送り、沢山の小麦や塩や砂糖を持ち帰る船団を出迎えた。
チュロスの大広場に漂っていた陰鬱な空気は薄れ、今では子供でさえ白パンを食べ歩いている。
上空を舞う赤いドラゴンに跨った竜騎士甲冑を身に着けたクリスの勇姿に気が付き、広場の人々がクリスに手を振る。
クリスも手をふりかえし辛い身体に鞭打って竜騎士甲冑を身にまとっていて良かったと思った。
「この光景がずっと見たかったんだ」
この光景をこれから先も見ていたい。
いつまで見られるだろうか。
そう思っていた時だった。
異変に気がついたジェイソンが更に高く舞う。
「どうしたジェイソン?」
クリスはジェイソンの手綱を手にするがジェイソンは言うことを聞かない。
そのまま上昇して高度五百メートルほどになった地点でジェイソンが止まった。
強風が吹く。
クリスが目を細めるとしばらくして風は止んだ。
風が止みクリスが目を見開く。
目の前に忘れることの出来ない思い出の気球が浮かんでいた。
「やあクリス」
ハヤトがバツが悪そうにバスケットの中で微笑む。
「どうして……」
「いやあ、ダメ元で俺がここに来た時の風が吹いた場所を飛んでみたんだ。おーみんな元気そうだな」
ハヤトが手を振ると大広場の群衆が手を振り返す。
「これ友達がなにかの役に立つかもって持たせてくれた本。あと教授達があれも持ってけこれも持ってけって、気球とか天体とか気象学とかの本と色々な機械も持たされて足の踏み場も無いよ」
「………」
クリスは涙を堪えて俯く。
「日本にもう思い残しはない」
「ご両親は許してくれたのか?」
「そのご両親がこちら」
そう言って気球のゴンドラに乗った両親と茜がクリスに笑顔で手を振った。
その笑顔を見てクリスも少し微笑む。
「それでさクリス。もしこれで駄目なら俺、道化の極みなんだけど。クリスもう結婚しちゃった?」
「……馬鹿。まだ一ヶ月だぞ。それにお前以外と結婚する気はない」
「そっかまだなんだ。じゃあクリス」
そう言ってハヤトはクリスに手を差し出した。
「俺と結婚してくれませんか」
大広場の上空で突然の告白がはじまった。
騒ぎを聞きつけた群衆が上空を見上げる。
館からも大公一家や侍女達が見つめる中。
「馬鹿。これが答えだ」
そういってクリスはジェイソンからハヤトの乗る気球のバスケットへ飛び移る。
ハヤトが空中を舞うクリスを受け止め抱きしめる。
そのまま夕日をバックにバスケットの中でハヤトとクリスは見つめ合い誓いの口づけを交わした。
家族の目の前でキスをするというのは恥ずかしいが、それよりクリスと再会できた喜びが勝った。
群衆が歓声を上げ花吹雪が舞う。
家々から音楽が鳴り響き、館から侍女たちが飛び出して歓喜の涙を流している。
気の早い者は酒樽を並べ、シチ酒を木のジョッキに注ぎ道行く人々に誰から構わず渡す。
ヤギ肉だけでなく塩漬けの牛肉や豚肉が焼かれ、人々は熱狂してお祭り騒ぎに狂奔した。
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