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第四章 ミナセ伯爵誕生
第二十一話 富と野心と
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第二十一話 富と野心と
俺の成功を示す事でフランツ宰相も安心して金細工や銀細工の量産に取り掛かる事が出来た。
ミナセ伯爵領で作られた銀や細工物はブレイメン大公家が買い取り他国へ転売する。
これで大公家に富が集まる事が可能になった。
俺には野心など無いし大学の資金が得られるならそれでいい。
それにクリスの実家が儲かるとフリッツ君たちの権力も大きくなるからな。
俺がこれだけ産業や経済を重視しているのはフリッツ君に立派な王になって欲しいからだ。
今のままのブレイメン公国は少しの反乱でも国が別れかねない。
気球を使っての空の交易を独占しているのをいつまでも許せるほど周りの国は優しくも大人しくもないだろう。
だからフリッツ君が大公という各地に貴族を抱える不安定な立場ではなく王様になってもらわないと困る。
商業が発展すれば各貴族領を行き交う商品には関税がかけられる。
そして関税の多さは経済発展の妨げだ。
そこで俺が作った紙や鉄や銀を扱う商人はフリッツ君に関税の撤廃を求めるだろう。
かれら商人という新しい勢力が後押しすればフリッツ君のブレイメン大公家は他の貴族より経済的にも軍事的にも優位に立てる。
そこで一つ一つ貴族の力を削いでいけばいい。
これには長い時間と忍耐が必要だが織田信長がやったように楽市楽座のように関所で金を止めるのではなく川の流れのようにブレイメン公国中に金を行き渡らせる。
そしてフリッツ君には強力な軍隊が必要だ。
金だけ持ってる権力者は地位を追われるだけと、武士に荘園を奪われた公家が証明している。
フリッツ君が他の貴族より強力な軍隊を持てば他の貴族はフリッツ君の命令を聞くしかなくなる。
そうやって初めてブレイメン公国は他の国と対等になれる。
「でも肝心のフリッツ君がなあ」
姉であるクリスの幸せを願って自分は大公にならなくてもいい。
おれがクリスと結婚して大公になればいいなんて言うんだもんな。
フリッツ君、俺はあくまで異国人なんだよ。
他の貴族を従わせるのは実力だけじゃ駄目なんだ。
オットー大公の長男っていう権威がなけりゃ従わないんだよ。
俺はブレイメン公国が好きだしクリスの家族も好きだ。
だから無駄な戦争でブレイメンの民同士で殺し合いなんてして欲しくない。
今のブレイメン公国は封建制。
つまり大公が地方の貴族に権力を与え支持させるという体勢なんだ。
俺は別に帝国主義者じゃないが政治に段階が必要なのは知っている。
封建制を強化して絶対王政を経て、その後は資本制から民主主義に移行する。
この過程をすっ飛ばして民主制は来ないのは歴史が証明している。
すっ飛ばした国は民主国家とは名ばかりの軍事独裁制になっているのも俺のいた世界が証明している。
ブレイメン公国の千年後なんて俺にはわからないが、このままだとフリッツ君たち大公家は権力を奪われて生命や財産まで奪われるのが目に見えている。
「異世界人の俺が言ってもわからないだろうなあ」
「何がわからないのだ?」
バルコニーで佇んでいるとクリスがお茶とお茶菓子を持ってきてくれた。
かつては甘いものといえば山葡萄だったが最近小麦と砂糖の輸入が好調なので山葡萄以外にクッキーも登場している。
ただこのクッキー砂糖過多でかなり甘い。
香辛料と一緒で金持ちの見栄の為に砂糖をふんだんに使えるぞ金持ちなんだぞと自己主張している。
ローマ時代はプティングの上に胡椒を振りかけたそうだ。
とかく見栄というのは恐ろしい。
「クリスこのクッキー甘すぎるよ」
「これでも砂糖は半分にしているんだぞ」
それはわかる。
最初のころのクッキーは人を殴れそうに固く砂糖の塊のようだった。
味覚面でも課題があるよな。
「いやね。フリッツ君の事を考えていたんだよ」
「フリッツがどうかしたのか?」
俺と一緒に好物の薬草茶を飲むクリス。
クッキーが甘いので少し苦い薬草茶とよくあう。
俺の為に薬草茶を淹れてくれるクリスがとても愛しい。
日々辛い思いをさせてしまっている事に俺は罪悪感を感じてしまった。
「このままブレイメン大公家、つまりクリスの家が弱いままだと内乱になりかねない。それを心配しているのに俺に大公になってくれって言うんだもん」
「あの子は優しいから権力者には向いていないんだ」
そうフリッツ君は優しい。
今までの貧しいブレイメン公国なら立派な優しい大公で生涯を終えただろう。
だが俺が持ち込んだ気球っていう乗り物はブレイメン公国を豊かにした反面、フリッツ君の立場を微妙なものにしてしまった。
ブレイメン公国の貴族に豊かさという麻薬を吸わせてしまったのだ。
このままではまずい。
「本当の優しさって言うのは、いざとなったら自分がどれだけ悪く言われても国を守るってのも含むんだぜ」
「よくわからないな。私にもわかるように説明してくれないか?」
「例えばクリスだけどクリスは武人だろう?そのクリスが敵を殺したくないって理由で敵を見逃したらどうなる?」
「当然敵はまた準備して戦いを挑んでくるだろうな。次は負けるかもしれない」
「でしょ?だから敵に情けをかけたら味方を死なせる事になる。これは優しさだと思うかい?」
「確かに違うな。それは優しさじゃない」
「フリッツ君が強くならなければブレイメン公国はいずれ他の国に攻撃される。それでなくても豊かになったこの国は敵に囲まれてるからね」
国が豊かになるというのは一見幸せな事に見えるが悪影響も出てくる。
世界恐慌という株価が一気に暴落したせいで発生した災害にも等しい事件もある。
溢れんばかりの富が人々の心を惑わし投資に狂奔した時代。
時のアメリカ大統領が「アメリカの繁栄は永遠に続くでしょう」と言うくらい株投資に熱中した。
実際は実体以上に膨れ上がった風船だった訳だが。
日本だってバブル経済という地価の異常な上昇に狂ったように土地の売買が行われ破綻した。
あれからずっと日本は経済の低迷に苦しんでいる。
「うれしいな」
「ん、何が?」
「フリッツの事をそんなに考えてくれるなんて。ハヤトにとっては他人だろう?」
「俺のいた日本は平和なんだよ。だから平和っていうのがどれだけ幸せか知ってるし、意外と続くものだと思ってる。俺はブレイメン公国が好きだから出来れば平和でいて欲しい」
日本は大きな困難に合っているが内乱や戦争といった危機には至っていない。
これだけでも大したものだと思う。
俺の成功を示す事でフランツ宰相も安心して金細工や銀細工の量産に取り掛かる事が出来た。
ミナセ伯爵領で作られた銀や細工物はブレイメン大公家が買い取り他国へ転売する。
これで大公家に富が集まる事が可能になった。
俺には野心など無いし大学の資金が得られるならそれでいい。
それにクリスの実家が儲かるとフリッツ君たちの権力も大きくなるからな。
俺がこれだけ産業や経済を重視しているのはフリッツ君に立派な王になって欲しいからだ。
今のままのブレイメン公国は少しの反乱でも国が別れかねない。
気球を使っての空の交易を独占しているのをいつまでも許せるほど周りの国は優しくも大人しくもないだろう。
だからフリッツ君が大公という各地に貴族を抱える不安定な立場ではなく王様になってもらわないと困る。
商業が発展すれば各貴族領を行き交う商品には関税がかけられる。
そして関税の多さは経済発展の妨げだ。
そこで俺が作った紙や鉄や銀を扱う商人はフリッツ君に関税の撤廃を求めるだろう。
かれら商人という新しい勢力が後押しすればフリッツ君のブレイメン大公家は他の貴族より経済的にも軍事的にも優位に立てる。
そこで一つ一つ貴族の力を削いでいけばいい。
これには長い時間と忍耐が必要だが織田信長がやったように楽市楽座のように関所で金を止めるのではなく川の流れのようにブレイメン公国中に金を行き渡らせる。
そしてフリッツ君には強力な軍隊が必要だ。
金だけ持ってる権力者は地位を追われるだけと、武士に荘園を奪われた公家が証明している。
フリッツ君が他の貴族より強力な軍隊を持てば他の貴族はフリッツ君の命令を聞くしかなくなる。
そうやって初めてブレイメン公国は他の国と対等になれる。
「でも肝心のフリッツ君がなあ」
姉であるクリスの幸せを願って自分は大公にならなくてもいい。
おれがクリスと結婚して大公になればいいなんて言うんだもんな。
フリッツ君、俺はあくまで異国人なんだよ。
他の貴族を従わせるのは実力だけじゃ駄目なんだ。
オットー大公の長男っていう権威がなけりゃ従わないんだよ。
俺はブレイメン公国が好きだしクリスの家族も好きだ。
だから無駄な戦争でブレイメンの民同士で殺し合いなんてして欲しくない。
今のブレイメン公国は封建制。
つまり大公が地方の貴族に権力を与え支持させるという体勢なんだ。
俺は別に帝国主義者じゃないが政治に段階が必要なのは知っている。
封建制を強化して絶対王政を経て、その後は資本制から民主主義に移行する。
この過程をすっ飛ばして民主制は来ないのは歴史が証明している。
すっ飛ばした国は民主国家とは名ばかりの軍事独裁制になっているのも俺のいた世界が証明している。
ブレイメン公国の千年後なんて俺にはわからないが、このままだとフリッツ君たち大公家は権力を奪われて生命や財産まで奪われるのが目に見えている。
「異世界人の俺が言ってもわからないだろうなあ」
「何がわからないのだ?」
バルコニーで佇んでいるとクリスがお茶とお茶菓子を持ってきてくれた。
かつては甘いものといえば山葡萄だったが最近小麦と砂糖の輸入が好調なので山葡萄以外にクッキーも登場している。
ただこのクッキー砂糖過多でかなり甘い。
香辛料と一緒で金持ちの見栄の為に砂糖をふんだんに使えるぞ金持ちなんだぞと自己主張している。
ローマ時代はプティングの上に胡椒を振りかけたそうだ。
とかく見栄というのは恐ろしい。
「クリスこのクッキー甘すぎるよ」
「これでも砂糖は半分にしているんだぞ」
それはわかる。
最初のころのクッキーは人を殴れそうに固く砂糖の塊のようだった。
味覚面でも課題があるよな。
「いやね。フリッツ君の事を考えていたんだよ」
「フリッツがどうかしたのか?」
俺と一緒に好物の薬草茶を飲むクリス。
クッキーが甘いので少し苦い薬草茶とよくあう。
俺の為に薬草茶を淹れてくれるクリスがとても愛しい。
日々辛い思いをさせてしまっている事に俺は罪悪感を感じてしまった。
「このままブレイメン大公家、つまりクリスの家が弱いままだと内乱になりかねない。それを心配しているのに俺に大公になってくれって言うんだもん」
「あの子は優しいから権力者には向いていないんだ」
そうフリッツ君は優しい。
今までの貧しいブレイメン公国なら立派な優しい大公で生涯を終えただろう。
だが俺が持ち込んだ気球っていう乗り物はブレイメン公国を豊かにした反面、フリッツ君の立場を微妙なものにしてしまった。
ブレイメン公国の貴族に豊かさという麻薬を吸わせてしまったのだ。
このままではまずい。
「本当の優しさって言うのは、いざとなったら自分がどれだけ悪く言われても国を守るってのも含むんだぜ」
「よくわからないな。私にもわかるように説明してくれないか?」
「例えばクリスだけどクリスは武人だろう?そのクリスが敵を殺したくないって理由で敵を見逃したらどうなる?」
「当然敵はまた準備して戦いを挑んでくるだろうな。次は負けるかもしれない」
「でしょ?だから敵に情けをかけたら味方を死なせる事になる。これは優しさだと思うかい?」
「確かに違うな。それは優しさじゃない」
「フリッツ君が強くならなければブレイメン公国はいずれ他の国に攻撃される。それでなくても豊かになったこの国は敵に囲まれてるからね」
国が豊かになるというのは一見幸せな事に見えるが悪影響も出てくる。
世界恐慌という株価が一気に暴落したせいで発生した災害にも等しい事件もある。
溢れんばかりの富が人々の心を惑わし投資に狂奔した時代。
時のアメリカ大統領が「アメリカの繁栄は永遠に続くでしょう」と言うくらい株投資に熱中した。
実際は実体以上に膨れ上がった風船だった訳だが。
日本だってバブル経済という地価の異常な上昇に狂ったように土地の売買が行われ破綻した。
あれからずっと日本は経済の低迷に苦しんでいる。
「うれしいな」
「ん、何が?」
「フリッツの事をそんなに考えてくれるなんて。ハヤトにとっては他人だろう?」
「俺のいた日本は平和なんだよ。だから平和っていうのがどれだけ幸せか知ってるし、意外と続くものだと思ってる。俺はブレイメン公国が好きだから出来れば平和でいて欲しい」
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