僕とボクっ娘勇者の異世界ファンタジー純愛和姦冒険物語~転生した僕は恋人のボクっ娘勇者と幸せラブラブSEXしながら魔王を倒して世界を救います~

屠龍

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第14章 転生者達

第103話 フミン族の神殿

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 第103話 フミン族の神殿。
 
 数時間後、僕達は文字通り泥臭い方法で神殿を見つけた。
 クヌートとフェリシアがライト(明かり)の魔法を用いると周りがよく見えるだけの光量が泥の上から降り注ぐ。
 まるで昼間のような明るさになったので、流石クヌートとフェリシアの魔力量だと思う。
 神殿の鳥居は泥に埋まっていたけど鳥居の中まで泥は入っていないようで鳥居が見える。
 屋根は瓦で覆われている瓦葺(かわらぶき)という造りで太い木造の柱で出来ている。
 神殿は前世で見た日本の厳島神社に酷似していた。
 これは本当に僕が前世で見た厳島神社なのだろうか。
 
 「変わった造りだな。木製なのに腐ってもいない」

 クヌートが物珍しそうに鳥居を見つめる。
 そして罠がないか魔法を使って探知してくれた。
 
 「ユキナ、どうかしたのか?」
 
 「え、あ……見た事がある建物だから」
 
 「そうなのか?俺もフェリシアもこんな建物は見た事が無いぞ」
 
 クヌートが僕の事を訝し気に見つめた。
 博学のクヌートとフェリシアが知らないという事は文献にも残っていない古代遺跡。
 もしかしてフミン族というのは僕と同じ異世界転移してきた日本人なのかもしれない。
 僕がそんな思いにふけっているとクヌートが僕の肩を叩いた。
 そして鳥居を指し示す。
 僕はその鳥居を見て驚いた。
 巨大な木製の鳥居から中の様子が丸見えだった。
 まるで入ってくださいと言わんばかりに……。
 僕達は鳥居を恐る恐るくぐる。
 驚くことに鳥居をくぐると水中ではなく別の空間につながっていたらしい。
 僕達は急に重力を感じて転びそうになる。
 
 「このなか空気がありますよ」
 
 ロッテが深呼吸すると綺麗な空気がロッテの肺を満たす。
 僕達は神聖な空間にいるという実感がした。
 鳥居の中を抜ける奇麗な和風の庭が広がっていた。
 厳島神社にこんな庭はなかったはずだ。
 庭の先に神殿というより時代劇でみた平安時代の貴族の邸宅のように見える。
 日本の物とは違う植物だけどよく刈込と手入れがされて庭の植樹と随所に配置された石がある。
 同じ病院に入院していた元庭師のおじいさんに聞いた話だと石にもそれぞれ顔があってその顔を立ててやると庭が映えるという。
 歴史に興味があった僕はおじいさんに色々聞いていたからすぐわかった。
 建物から正面に見える庭に大きな池があり真ん中に石が立ててある。
 池の周りは松に似た木などが配置されていて自然と建物と一体になっている。
 浄土式庭園と呼ばれるもので平安時代に流行った庭園形式だ。
 僕はこの世界に来てから和風建築を見るのは初めてなのでその美しさに見とれる。
 しかもここは異世界なのだ。
 本物の木造の建物を見た事が無かったから感動する。

 「変わった神殿だな。いや神殿というか屋敷か?」
 
 「そうですね。宗教施設には見えません」
 
 クヌートとフェリシアは初めて見る日本庭園に興味津々だった。
 二人は知的好奇心がとても高い。
 物珍し気に庭園を見て歩くクヌートとフェリシアから離れた僕とミレーヌは池のほとりに立つ。
 
 「ユキナ。もしかしてここってユキナがいた世界と関係があるの?」
 
 「うん。僕が知ってる知識ではこれは浄土式庭園というんだ。浄土っていうのは西にある極楽っていう、死後にこの世の苦しみから解き放たれた世界に生まれ変わる事ができるって宗教なんだ」
 
 「それって天国と同じなの?」
 
 「少し違うかな。天国は死後に導かれる場所だけど極楽は何度も生まれ変わって修行して到達する場所なんだよ」
 
 「ユキナがボクたちの世界に来てくれたのは何度も生まれ変わってる途中だって事?」
 
 「そうなのかもしれない」
 
 ミレーヌに言われてみて気が付いたけど、宗教には生まれ変わりという概念がある宗教もある。
 もしそうだったとしたら僕は次に死んだとき別の世界に生まれ変わるのだろうか?
 そんな事を考えてたらミレーヌが僕の顔を覗き込んで満面の笑顔で笑ってくれる。
 
 「じゃあボクたち、次に生まれ変わっても一緒がいいね」
 
 「うん。何度生まれ変わってもミレーヌの隣にいるよ」
 
 「約束だよ」
 
 そう言って僕とミレーヌが笑いあっていた時だ。
 先を歩いていたクヌートとフェリシアが走ってきて僕たちの隣で身構える。
 
 「どうやらゴーストの類がいるらしい」
 
 クヌートがそう言って指さす場所が光り輝いて邸全てを包み込む。
 僕が強い光に目を閉じ見開くと、そこには沢山の人々がいた。
 そこに現れたのは平安時代の光景だった。
 男性はみな布でできた烏帽子を被り、袖が大きくて肩から膝まで直衣(のうし)と呼ばれる服を着ている。足元には下襲(したがさね)と呼ばれる裾の長い服が見えた。
 女性は十二単(じゅうにひとえ)と呼ばれる華やかな着物を何枚も羽織り袴も長く引きずりながら歩いている。
 男女ともに高級な絹の衣をまとっていて庭に出て会話を楽しみながら幸せそうに談笑していた。
 何かよい事があったのだろうか?
 
 「何この人たち」
 
 慌ててミレーヌが剣の柄に手を触れさせるのを僕は手で制した。
 彼らには敵対する意思は無いように見えたからだ。
 
 「ユキナ?」
 
 「ミレーヌ待って。この人たちは敵じゃないよ」

 「そんなのわからないよ」
 
 ミレーヌだけじゃない、クヌートもフェリシアも臨戦態勢を整えていた。
 フェリシアを守るように僕とクヌートとミレーヌが円を組み身構える。
 ただ僕だけはこの人たちが敵には見えなかった。
 前世でみた日本の歴史ドラマの平安時代そのものの光景。
 それが懐かしかったのかもしれない。
 
 僕達が身構えていると平安貴族の人々の間を通ってお爺さんが現れた。
 頭を丸めて袈裟(けさ)と衣(ころも)と切袴(きりばかま)を着たお坊さんのような姿で現れた老人は、眼光鋭くお坊様というより切れ者の会社の社長のように見える。
 その老人が僕の所に来て微笑むと途端に親しみのある柔和(にゅうわ)な顔になる。
 こういう人をカリスマというのだろうか。
 接する者を強面(こわもて)と柔和さで包み込むような雰囲気になる。
 
 「この世界に来た者をみるのは久しぶりじゃのう。そなた名はなんと申す?」
 
 名前を問われたので僕は答える。
 
 「ユキナです」
 
 「違う違う前世の名じゃ」
 
 前世と言われてお爺さんも転生者だという事が本能的にわかった。
 だから僕は素直に答える事にする。
 
 「日景雪菜です」
 
 「素直な事は良い事じゃ。儂は六波羅入道(ろくはらにゅうどう)という」
 
 六波羅入道。
 京都の六波羅に住んでいた人で出家する前の名前は日本史を習っている者なら聞いた事のある人物。
 
 「平清盛?」
 
 そう言うと老人は楽しそうに笑った。
 
 ☆☆☆
 
 屠龍です。いつもご愛読ありがとうございます。
 また2章ほど完成次第毎日投稿を再開させていただきます。
 申し訳ありませんが完成までお待ちいただければとお願いいたします。
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