僕とボクっ娘勇者の異世界ファンタジー純愛和姦冒険物語~転生した僕は恋人のボクっ娘勇者と幸せラブラブSEXしながら魔王を倒して世界を救います~

屠龍

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第12章 フミンの少女

第81話 疎まれたミレーヌ

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 第81話 疎まれたミレーヌ
 
 船長室には僕とミレーヌとジョルジュ船長だけがいる。
 外からは中の会話が聞こえないように設計された船長室で僕とミレーヌはジョルジュ船長に問い詰められていた。
 
 「答えにくい事はわかっているが、俺は護衛の29人と船員40人の命を預かっている。だから正直に答えて欲しい」
 
 「船員はもっと多いと思っていました。てっきり70人以上乗っていると思っていました」
 
 怒られる事を覚悟して話を逸らそうとする。
 もしミレーヌが勇者だと知ったらそれでもジョルジュ船長が好意的でいてくれるのか不明だったからだ。
 ジョルジュ船長は僕の受け答えに不快さを感じず答えてくれる。
 
 「元々商船ってのはあまり人を乗せると金にならないんだよ。乗組員が増えると食料や居住スペースが増えて荷物も載せられないだろ?少ない船員で効率よく動かせばそれだけ長距離かつ荷物を多く乗せれる。極端に言えば船員が0だと食料も居住スペースもいらない。商船っていうのは船主の欲と安全性のバランスを極限まで計算して航海するんだ。だから一人でも船員を減らしたいのさ。一人でも少なく雇って仕事だけ多く処理したいんだな。船長は毎回それで頭を悩ませるんだ」
 
 「ブラック企業の見本みたいな仕事なんですね」
 
 「ブラック企業ってなんだい?」
 
 いけないいけない。
 つい前世の言葉が出てしまったので僕は慌てて誤魔化す。
 するとその様子を見ていた船長が笑ったのでつられて僕も笑ってしまったのだった。 
 
 「シャムド男爵の船がよく襲われるのはそれさ。シャムド男爵は護衛を極限まで減らして少しでも多く積み荷を積んで利益を最大にしたいんだよ」
 
 「それって当然じゃないですか?」
 
 「そう。当然だけど行き過ぎてる。海賊が好んでシャムド男爵の船を狙うのは護衛が少なすぎるからなんだよ。これをなんとかしないと商船の被害は止まらない」
 
 今まで被害にあった船は細長く速度の出るこのサン・セント号とは違って、横幅の大きな大量の荷物を運べるが船足の遅い船だから格好の獲物だったらしい。
 船と一緒に荷物まで失うほうが結局は損だと僕は思う。
 
 「ユキナの気持ちも意味も分かるし俺もそうしたい。でも無理なんだよ」
 
 「どうして無理なんですか?この航路を海賊が知ってるって事は何度も襲われてるけど航路を変えないからでしょう?船員と船の安全より荷物のほうが大事なんて馬鹿げてます」
 
 ジョルジュ船長は僕の意見に賛同したようで葉巻をふかす。
 上質な煙草の良い匂いが部屋にする。
 僕は煙草は吸わないけど、上物の煙草の煙は上質の香料の香りのような良い香りがした。
 
 「極論を言えばそうだ。シャムド男爵は今まで沈んだ商船の損失を埋めようと必要最小限の船員と護衛で航海させている。今の航路はユキナの言う通り可能な限り最短ルートで航行しているから海賊もモンスターも狙いやすい。シャムド男爵は小さな利益に目がくらんで折角の商船と商品を失って大損してるって訳さ」
 
 「シャムド男爵は馬鹿だと思います」
 
 僕は船長室の天井を見上げた。
 新造船らしくまだ綺麗な天井だなって一瞬現実逃避したくなる。
 その様子を見てジョルジュ船長もため息をつく。
 
 「雇い主の事を悪く言いたくないが俺もそう思うね」
 
 そう言うと葉巻の煙を吸い込むと吐き出してから続きを言う。
 その表情は真剣だ。
 
 「上が馬鹿だといつも下が迷惑するのさ」
 
 ジョルジュ船長は葉巻を口に咥えたまま無言で船長室の窓から見える海を見る。
 しばらくしてジョルジュ船長は葉巻の火を消して口を開いた。
 
 「船長はそれでいいのですか?」
 
 僕の言葉にジョルジュ船長は肩をすくめた。
 
 「良くはないが仕方がない。俺もこの船の船員も護衛のあんた達も全員まとまった金が欲しい連中のあつまりだ。この仕事をこなさなきゃ船が浮こうが沈もうが金は手に入らない。俺たちに選択の余地は無いのさ」
 
 ジョルジュ船長も船員も護衛も全員借金なり家族への仕送りなりで纏まった金が必要で、その手段はこの船を目的地まで最短かつ最小限の時間で到着させないといけない。
 
 「まさに一心同体一蓮托生って訳だ」
 
 そう言ってジョルジュ船長が自嘲して笑う。
 そして僕にもう一度向き直って言った。
 
 「船長の俺は勇者をのせて今後も怪物に襲われるリスクを犯したくないんだよ。だから答えてくれ。ミレーヌは勇者なのか?」

 「もしミレーヌが勇者だったらどうするつもりですか?」
 
 僕は警戒しながら問う。
 もしミレーヌに危害を加えるなら僕は容赦しない。
 腰に差した青龍氷牙に手が伸びる。
 その手をミレーヌが抑えた。
 
 ジョルジュ船長はそ僕達を見て煙草をふかしたあと、手を上げて降参というジェスチャーをした。
 
 「俺は船員と荷物に責任を持っている。勇者の乗っている船って事で何度もあんな怪物に襲われたらかなわん」
 
 「それは身勝手ではないですか?別に称えろとは言いませんが、僕とミレーヌはこの船を守る為に必死になって戦いました」
 
 「俺も悪いと思っているよ」
 
 つまりミレーヌを乗船させつづける事はリスクが大きいという事だ。
 理屈ではわかるが感情では納得できない。
 ミレーヌが乗っているから怪物が襲ってくるなんて言われて黙っていられるほど僕は大人じゃない。
 ジョルジュ船長を殴らないと気が済まない。
 そんな僕をジョルジュ船長が黙って見詰めている。
 それが僕には腹立たしかった。
 
 「やめてユキナ。ボクの事はそれでいいの」
 
 僕がジョルジュ船長に右の拳で殴りかかりそうになった時、ミレーヌが僕の右腕を押さえた。
 ミレーヌは涙を流しながら、自分が疎まれたことを受け入れていた。
 ミレーヌの泣き顔を見た僕は手を下すしかなかった。
 
 「ミレーヌが勇者って事でいいんだな」
 
 ジョルジュ船長はそう言って僕に再度ミレーヌが勇者なのかと問う。
 僕は答えられずに口ごもる。
 それを肯定と受け取った船長はそれ以上追及せず僕と会話したあと船長室のカギを開けて退室を促した。
 
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