僕とボクっ娘勇者の異世界ファンタジー純愛和姦冒険物語~転生した僕は恋人のボクっ娘勇者と幸せラブラブSEXしながら魔王を倒して世界を救います~

屠龍

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第8章 勇者ミレーヌ

第49話 ルクス城炎上。

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第49話 ルクス城炎上。
 
 翌日も早朝からシムさんの操縦する馬車でルクス城へと向かう。
 城に近づいているからか炎と煙が舞っているのが街道からも見えた。
 街道沿いに避難民が列を作って歩いている。
 急いでルクス城から逃げて来たのだろう。
 避難民達は家財道具を持ち出す暇もなく、着の身着のままで首都フレーベルへと歩いて行った。
 
 ルクス城からフレーベルまでは旅慣れていない人にとって1週間はかかるだろう。
 途中の村や街は避難民で溢れ、それがルクス城への援軍の到着を遅らせるに違いない。
 しかし出発前に見たとおりルクス城は巨大な城塞都市で、幾重もの水堀と高い城壁と砦に守られ首都フレーベルより強固そうだ。
 どうしてこんな事になったのだろう。
 僕は馬車を止めて貰って話を聞いてみる事にした。
 
 「ルクス城はどうなってるんですか?」
 
 「どうしたもこうしたも兵隊同士が殺し合いを始めたんだよ!!反乱だ反乱!!」

 「反乱!?」
 
 反乱というとルクス侯爵がフレーベル王家に対して反乱をおこしたのか?
 しかし兵隊同士で殺し合いという事はどういう事だ?
 
 「俺は西の砦の街で暮らしてたんだがよ。東の砦から一斉に火矢が飛んできて街は大火事だ!!畜生、東砦の奴ら裏切りやがって!!」

 「何を言っている!!先に仕掛けたのは西砦じゃないか!!こっちは投石機で家も店もぺちゃんこにされたんだぞ!!」
 
 そう言って東西の砦に住んでいた住民同士が殴り合いを始めた。
 先の見えない避難生活とお互いが裏切ったという疑心暗鬼でパニックになっているのだ。
 その憤りが僕達ののる馬車にも及ぼうとした時、シムさんが機転を利かせて馬車をルクス城へと走らせる。
 ルクス城は拡大に拡大を重ね東西南北に砦を構え城壁で区分けされている。
 
 それは外敵が一番外の壁を突破しても中の壁で防ぐという事で防御力を増しているが、壁ごとに対立構造を生み出していた。
 壁で仕切られた区画はその壁の中でしか情報が得られず、頻繁な交流も無いので別の国のようになってしまったのだ。
 こういう事が起こらないように、壁は外壁が拡大されるのと同時に内壁を取り壊すように設計されているが、あえて外敵への防御を優先した為に交流が遮断されてしまった。
 お互いの砦地区で諍いはあったのだろうが反乱規模というのはおかしい。
 
 『我はあの方の策略の一翼にすぎん。貴様らは全員我らの糧となるのだ』
 
 倒したオーガの最後の言葉が気になる。
 人間に化けたオーガが対立を煽ったのかとは思うがルクス城の兵士だって馬鹿じゃない。
 そういう不穏分子の摘発は行っているはずだ。
 
 「考えても仕方がない。避難民があれでは近づくだけでも危険だ。本当に行くのか?」
 
 避難民の喧嘩を見ていたクヌートが僕の方を見て言う。
 ルクス場内は戦争になっているかもしれない。
 普段なら近づく理由などないが、僕はあの言葉が頭から離れない。
 オーガを操る何者かが先導していて、人間を沢山殺し食料にしたいというなら止めなくてはいけない。
 
 人間の死体はゴブリンの大好物だ。
 一旦増えだしたゴブリンは津波のように他の街を襲い、フレーベル国を飲み込むかもしれない。
 前世で何も出来ず死んだ僕は転生したこの世界で誰かの為に戦うと決意した。
 今行かなくていつ行くんだ。
 
 「行くよ」
 
 「やれやれだ。報酬は弾んでもらわないとな」
 
 「出るかどうかわからないけどねえ」
 
 僕の言葉にクヌートとセシルさんが笑って答えてくれる。
 僕達はシムさんの操縦する馬車で避難民とは逆方向。
 破壊と殺戮の街ルクス城へと向かう。
 
 ◆◆◆
 
 ルクス城の城門は内側から開けられたのだろう、跳ね橋が降りており一見何も問題が無いように見えるが近づくと凄惨だった。
 城門を守る兵士の死体と、混乱に乗じて侵入しようとしたゴブリンの死体が折り重なっている。
 城壁の上は戦闘で犠牲になったであろう兵士の死体が見え城壁の要所に作られた防御塔は燃えていた。
 ルクス城の中はゴブリンと兵士の壮絶な戦闘になっているに違いない。
 
 「シムさんありがとうございました」
 
 「最後までご一緒できずすみません」
 
 「いえ、早くこの惨状をホレ村へ伝えて避難してください」
 
 ルクス城に近いホレ村にも影響が出るだろう。
 今なら食料や財産を持って逃げる事もできる。
 どこへ逃げるべきかは僕にはわからないが、あのままホレ村にとどまっては危険だ。
 僕達は城門の前でシムさんと別れてルクス城へと入る。
 
 城門の中では激しい戦闘の跡が残っていた。
 兵士一人にゴブリン3匹ぐらいの割合で死体が散らばっている。
 僕の隣にいたミレーヌが口元を覆う。
 僕は優しくミレーヌの肩を抱き寄せた。
 
 「ユキナ…ボク怖いよ」
 
 「大丈夫、ミレーヌは僕が絶対に守る」
 
 死体は城門を守る一番外壁の砦に属しているがその砦も燃えていて、その下の街は瓦礫と火災でとても無事に通れるとは思えない。
 
 「少し時間がかかるが城壁の上を通るのはどうだ?」
 
 「そうですね。このまま街を通過するのは危険すぎます」

 シグレさんの提案に僕は頷いた。
 街中は侵入したゴブリンで一杯だろう。
 丁度ルクス城は城壁が入り組んでいるので城壁の上は高速道路の高架線のように上を歩ける。
 僕達は城壁の上へと続く階段を上る。
 階段も城壁を守っていた兵士とゴブリンの死体が転がっているが通れないほどじゃない。
 
 高さ6m、厚さ3mの城壁には防御塔と胸壁が作られていて、弓矢で応戦したであろう兵士の背中に背負った矢筒の中身は空になっていた。
 この様子だと矢の補充が間に合わなかったのだろう。
 おかしいと思う。
 矢は砦に十分備蓄されたはずで戦闘開始と同時に一斉に配られる筈だ。
 その矢の補充が間に合わないほど早く突破されたとは思えない。
 
 その答えはすぐにわかった。
 防御塔の中は人間同士が戦った跡が残っていて、ここにいた兵士は同士討ちをしていた。
 矢筒が壁や床に散らばっているから矢筒を運ぶ途中だったのだろう。
 よく見ると戦っていた兵士は7つある砦ごとに違う色の皮鎧を着ていて、別の砦の兵士と同士討ちした事がわかる。
 
 「ユキナ、ここで何がおこったの?」
 
 「砦の兵士が反乱を起こしたというのは本当みたいだね」
 
 死体から目を背けるミレーヌ。
 僕も目を逸らしたかったが、僕まで怖がっていたらミレーヌの不安は増すばかりだ。
 
 「いやあ。こりゃ当分矢には困らないね」
 
 そう言って矢筒を拾うのはセシルさんだ。
 スカウトの習性だろうか、こういう時は抜かりがない。
 その様子がおかしくてみんながクスリと笑う。
 わざと道化を演じられるセシルさんがうちのパーティで一番強いかもしれない。
 
 「次の砦へと急ぎましょう」
 
 僕はそう言って城壁の上を次の砦まで走っていった。
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