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第7章 オーガの罠
第47話 オーガとの死闘
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第47話 オーガとの死闘
筋骨隆々というのが相応しい肉体と禿げ上がった頭。
口には上向きに牙が生え頭には角が突き出ている。
大型のショベルスコップをまるで羽根を持つように軽々と振るう姿。
オーガだ。
オーガの姿を目撃した村人たちは慌てて広場から逃げ出した。
僕はクヌートを庇って剣でショベルスコップを受け止めたが、あまりの怪力に剣を取り落としそうになる。
そのまま返す刀で僕はショベルスコップの一撃を食らって地面に叩きつけられた。
「ぐうっ、なんて馬鹿力だ!!」
「おのれおのれおのれ!!あと少しだったものを!!」
オーガは怒りを露にして襲い掛かってくるがその胸にセシルさんが放った矢が突き刺さる。
オーガが怯んだ隙を突いて更に2本の矢が命中するがオーガは倒れない。
僕がクヌートを守っている間にミレーヌとシグレさんも剣を抜いて助けに来てくれた。
「ユキナ下がって!!こいつはボクとシグレさんで防ぐ!!」
そういってミレーヌがエストックを手にオーガへと突っ込んでいく。
ミレーヌの剣の腕は相当なものだが相手は強敵だ。
ミレーヌ一人で抑えきれるとは思えなかったので僕も加勢しようとしたのだが、その前に後ろからシグレさんに肩を掴まれた。
「仲間を頼るのもリーダーの資質だぞ」
そう言ってシグレさんもロングソードを手にオーガへと向かっていった。
だがミレーヌとシグレさんの二人がかりでもオーガの動きを封じる事は出来そうもない。
「ユキナ下がれ。正義を司る光の戦乙女。我が命令に従いかの敵を貫け」
そういってクヌートが光の戦乙女を召喚するが結んだ印は3つ。
クヌートは同時に3つの魔法を使う事が出来る。
「ヴァルキリージャベリン!!」
クヌートの唱えた光りの精霊魔法。
槍を手にした光の戦乙女が3人オーガへと向かっていきオーガの背中に光の槍を突き刺す。
オーガが苦しみの咆哮を上げてショベルスコップを振り回す。
「くっ!!この化け物め!!まだ倒れないのか」
ショベル・スコップを弾いたシグレさんがオーガの厚い胸板をロングソードで切り裂き、ミレーヌのエストックが的確にオーガを突き刺していくがまだ倒れない。
「しつこい!!いい加減倒れろおおおおっ!!」
ミレーヌがエストックを両手で構えて渾身の力でオーガの胸を突き刺すがまだ倒れない。
このままではまずいと思った僕は立ち上がって駆け寄ろうとした。
その時僕のロングソードが炎に包まれる。
振り向くとフェリシアが僕に向かって印を結び魔法をかけてくれた事に気が付いた。
「ユキナさん!!お願いします!!」
身体が軽い。
そして僕の着るブレストプレートメイルに風の精霊の加護、エア・アーマーが付与された。
風の精霊の加護で身軽になった僕は炎のロングソードを手にオーガへと向かう。
「ミレーヌ!!」
僕はミレーヌを捕らえようと振るわれたショベルスコップを受け止めてミレーヌを庇った。
ミレーヌは片膝をついて身体を支えている。
「ユキナ気を付けて!!こいつ滅茶苦茶強いよ!!」
「わかってる!!ミレーヌは一旦下がって!!」
ミレーヌは僕の後ろで立ち上がり傷を癒す魔法で自分の傷を治している。
オーガの攻撃を防いでいたシグレさんも一旦下がって体勢を整えていた。
僕は風の精霊が付与してくれたエア・アーマーの魔法を身にまといオーガへと立ち向かう。
かなりの傷を負っているオーガは身体中から血を流しながら僕にショベルスコップを振り上げた。
「ゴアアアアアっ!!」
「うおおおおおっ!!」
僕の炎のロングソードがショベルスコップと交錯しその柄を叩き切った。
そのままオーガの胸にロングソードを突き刺す。
オーガの身体が魔法の炎に覆われた。
「グオオオオオッツ!!」
オーガは柄の断ち切られたショベルスコップを僕に投げつけたが、風の精霊に守られたブレストプレートメイルが弾き飛ばす。
怒り狂うオーガが丸太のような腕を振るい僕の首を掴もうと手を伸ばす。
「ユキナァァァッ!!」
その腕をミレーヌがエストックで突き刺し捻り上げると腕が宙に舞う。
オーガが痛みに腕を抑えた瞬間を僕とミレーヌは見逃さなかった。
「はああああっ!!」
「くたばれぇぇぇ!!」
ミレーヌのエストックがオーガの胸を背中まで貫通し、僕のロングソードがオーガの首を刎ねた。
首から噴水のように血を吹きながらオーガの巨体が倒れる。
僕はオーガの巨体を支えきれずよろけるミレーヌの肩を受け止めた。
「やったねユキナ」
「ああ、やっと倒した」
そう言って僕とミレーヌは互いの身体を支えあいながら、地面に倒れたオーガの巨体と悔し気に顔を歪めたオーガの首を見つめていた。
その首は魔法の炎で焼かれているが苦しそうに呻いている。
オーガはまだ生きていた。
「何故だ…何故我が策略が破れたのだ」
「途中までは上手くいっていたよ。でも僕と僕の仲間がそれに勝っただけさ」
悔しそうに呻くオーガに僕は応える。
僕一人じゃない。
シグレさん、セシルさん、クヌート、フェリシア。
そしてミレーヌがいてくれたからオーガの策略を暴き、村を救う事ができた。
もし他の冒険者なら今頃村人の死体を食べて数を増したゴブリンと強敵オーガによって村人全員が殺されて食料にされた筈だ。
「ふふふ…これで勝ったと思うなよ」
負け惜しみとも聞こえるオーガの呟き。
何かを確信したような言葉。
「見よ。我はあの方の策略の一翼にすぎん」
そう言ってオーガが見つめる視線の先に、何かが燃える煙が激しく黒煙を上げていた。
あれはルクス城の方角。
「貴様らは全員我らの糧となるのだ」
そう言い残してオーガの首は焼け崩れた。
筋骨隆々というのが相応しい肉体と禿げ上がった頭。
口には上向きに牙が生え頭には角が突き出ている。
大型のショベルスコップをまるで羽根を持つように軽々と振るう姿。
オーガだ。
オーガの姿を目撃した村人たちは慌てて広場から逃げ出した。
僕はクヌートを庇って剣でショベルスコップを受け止めたが、あまりの怪力に剣を取り落としそうになる。
そのまま返す刀で僕はショベルスコップの一撃を食らって地面に叩きつけられた。
「ぐうっ、なんて馬鹿力だ!!」
「おのれおのれおのれ!!あと少しだったものを!!」
オーガは怒りを露にして襲い掛かってくるがその胸にセシルさんが放った矢が突き刺さる。
オーガが怯んだ隙を突いて更に2本の矢が命中するがオーガは倒れない。
僕がクヌートを守っている間にミレーヌとシグレさんも剣を抜いて助けに来てくれた。
「ユキナ下がって!!こいつはボクとシグレさんで防ぐ!!」
そういってミレーヌがエストックを手にオーガへと突っ込んでいく。
ミレーヌの剣の腕は相当なものだが相手は強敵だ。
ミレーヌ一人で抑えきれるとは思えなかったので僕も加勢しようとしたのだが、その前に後ろからシグレさんに肩を掴まれた。
「仲間を頼るのもリーダーの資質だぞ」
そう言ってシグレさんもロングソードを手にオーガへと向かっていった。
だがミレーヌとシグレさんの二人がかりでもオーガの動きを封じる事は出来そうもない。
「ユキナ下がれ。正義を司る光の戦乙女。我が命令に従いかの敵を貫け」
そういってクヌートが光の戦乙女を召喚するが結んだ印は3つ。
クヌートは同時に3つの魔法を使う事が出来る。
「ヴァルキリージャベリン!!」
クヌートの唱えた光りの精霊魔法。
槍を手にした光の戦乙女が3人オーガへと向かっていきオーガの背中に光の槍を突き刺す。
オーガが苦しみの咆哮を上げてショベルスコップを振り回す。
「くっ!!この化け物め!!まだ倒れないのか」
ショベル・スコップを弾いたシグレさんがオーガの厚い胸板をロングソードで切り裂き、ミレーヌのエストックが的確にオーガを突き刺していくがまだ倒れない。
「しつこい!!いい加減倒れろおおおおっ!!」
ミレーヌがエストックを両手で構えて渾身の力でオーガの胸を突き刺すがまだ倒れない。
このままではまずいと思った僕は立ち上がって駆け寄ろうとした。
その時僕のロングソードが炎に包まれる。
振り向くとフェリシアが僕に向かって印を結び魔法をかけてくれた事に気が付いた。
「ユキナさん!!お願いします!!」
身体が軽い。
そして僕の着るブレストプレートメイルに風の精霊の加護、エア・アーマーが付与された。
風の精霊の加護で身軽になった僕は炎のロングソードを手にオーガへと向かう。
「ミレーヌ!!」
僕はミレーヌを捕らえようと振るわれたショベルスコップを受け止めてミレーヌを庇った。
ミレーヌは片膝をついて身体を支えている。
「ユキナ気を付けて!!こいつ滅茶苦茶強いよ!!」
「わかってる!!ミレーヌは一旦下がって!!」
ミレーヌは僕の後ろで立ち上がり傷を癒す魔法で自分の傷を治している。
オーガの攻撃を防いでいたシグレさんも一旦下がって体勢を整えていた。
僕は風の精霊が付与してくれたエア・アーマーの魔法を身にまといオーガへと立ち向かう。
かなりの傷を負っているオーガは身体中から血を流しながら僕にショベルスコップを振り上げた。
「ゴアアアアアっ!!」
「うおおおおおっ!!」
僕の炎のロングソードがショベルスコップと交錯しその柄を叩き切った。
そのままオーガの胸にロングソードを突き刺す。
オーガの身体が魔法の炎に覆われた。
「グオオオオオッツ!!」
オーガは柄の断ち切られたショベルスコップを僕に投げつけたが、風の精霊に守られたブレストプレートメイルが弾き飛ばす。
怒り狂うオーガが丸太のような腕を振るい僕の首を掴もうと手を伸ばす。
「ユキナァァァッ!!」
その腕をミレーヌがエストックで突き刺し捻り上げると腕が宙に舞う。
オーガが痛みに腕を抑えた瞬間を僕とミレーヌは見逃さなかった。
「はああああっ!!」
「くたばれぇぇぇ!!」
ミレーヌのエストックがオーガの胸を背中まで貫通し、僕のロングソードがオーガの首を刎ねた。
首から噴水のように血を吹きながらオーガの巨体が倒れる。
僕はオーガの巨体を支えきれずよろけるミレーヌの肩を受け止めた。
「やったねユキナ」
「ああ、やっと倒した」
そう言って僕とミレーヌは互いの身体を支えあいながら、地面に倒れたオーガの巨体と悔し気に顔を歪めたオーガの首を見つめていた。
その首は魔法の炎で焼かれているが苦しそうに呻いている。
オーガはまだ生きていた。
「何故だ…何故我が策略が破れたのだ」
「途中までは上手くいっていたよ。でも僕と僕の仲間がそれに勝っただけさ」
悔しそうに呻くオーガに僕は応える。
僕一人じゃない。
シグレさん、セシルさん、クヌート、フェリシア。
そしてミレーヌがいてくれたからオーガの策略を暴き、村を救う事ができた。
もし他の冒険者なら今頃村人の死体を食べて数を増したゴブリンと強敵オーガによって村人全員が殺されて食料にされた筈だ。
「ふふふ…これで勝ったと思うなよ」
負け惜しみとも聞こえるオーガの呟き。
何かを確信したような言葉。
「見よ。我はあの方の策略の一翼にすぎん」
そう言ってオーガが見つめる視線の先に、何かが燃える煙が激しく黒煙を上げていた。
あれはルクス城の方角。
「貴様らは全員我らの糧となるのだ」
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