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第4章 ゴブリン退治
第27話 ゴブリンが蔓延る世界
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第27話 ゴブリンが蔓延る世界
フレーベル国の首都フレーベルにある冒険者ギルド『斜陽の都亭』
『斜陽の都亭』には各地でゴブリンやオークの討伐を終えた冒険者が次のクエストを求めて集まっていた。
受付カウンターでクエストを受ける者。
ギルド併設の酒場で飲み食いしながら情報交換している者。
仲間内で話し合っている者。
そしてパーティー募集をしていたり勧誘したりと様々だ。
ただ皆一様にその表情は明るい。
今回参加した冒険者のほとんどが初心者で、やっと冒険者らしい体験が出来た喜びを感じている。
そしてシグレさんやセシルさんみたいに初心者のサポートをしてくれる人もいたのだろう。
各地で戦果をあげてほぼ全員が帰還した。
勿論初戦で散った冒険者もいるが、ギルドが提示したクエストはほぼ完了だろう。
ゴブリン討伐、山賊の殲滅、商人の護衛、どれも達成出来たと報告が入っている。
僕達が冒険者ギルドに到着したのはそんな時だった。
僕達は馴染みの受付嬢、マリア・ラ・ロシェールさんの受付へ向かう。
「ユキナ君ミレーヌちゃんお帰りなさい!!」
「ただいま戻りました」
「マリアさんただいま♪」
そう言って受付のカウンターから身を乗り出して僕とミレーヌの無事を祝ってくれるマリアさん。
そんな僕達をシグレさんとセシルさんは微笑ましく見つめていた。
二人にとってもマリアさんは気軽に話せる間柄なのだろう。
「マリア嬢、今回のクエスト完了報告と報奨金の受け取りに来たのだが」
「もう準備してあるよ」
そう言ってマリアさんがテーブルの上に幾つも置いてある銀貨の入った袋と紙の契約書を取り出した。
シグレさんが慣れた様子で契約書にサインすると、マリアさんが手続き印を押し魔法で印を唱えると正式な依頼完了となる。
その瞬間僕の首にかけてある丸の中に獅子が描かれたペンダントに暖かな淡い光が灯る。
「これは何ですか?」
「銅級から青銅級に昇格した証よ。ユキナ君ペンダントを貸して頂戴」
僕はマリアさんにペンダントを渡すとマリアさんが印を結び手をかざす。
そして僕のペンダントを銅製から青銅製へと交換してくれた。
「ユキナ君は今日から青銅級に昇格したわ。これで青銅級の依頼を受けることができるわよ」
「やった!!」
「やったねユキナ。これでボクと同じクエストを受けることができるね」
今までギルドの決まりでミレーヌと同じクエストは受けれなかったが、ミレーヌと同じ青銅級になったので青銅級のクエストを受けることができるようになった。
僕とミレーヌは抱き合いながら喜びを分かち合う。
「あらあら。ユキナ君とミレーヌちゃんはいつの間にそんなに仲良くなったのかしら」
「僕とミレーヌは同じ街出身ですから」
僕がそうマリアさんに言うとマリアさんがにこにこしながら
「そう?それだけじゃ無い気がするわね」
そう言われると僕とミレーヌは赤面する。
一瞬で僕とミレーヌがそういう仲になった事を見抜かれてしまい、慌てて抱きしめあった身体を離す。
そんな僕達を大人たちが微笑ましく見ているのだった。
◆◆◆
「かんぱーい!!」
僕とミレーヌとシグレさんとセシルさんは酒場で祝杯をあげた。
僕とミレーヌはアルコール度の低いクスコという果物で作られた甘いフルーツワイン。
シグレさんはアクラというソチという瓜ににた果物から作られたお酒。
セシルさんはギムニという芋から作られた度の強い蒸留酒を飲んでいる。
テーブルの上には僕の好きな川魚の焼き物、ミレーヌの好きな海魚と貝のスープ、セシルさんはソーセージ、シグレさんは鶏肉の唐揚げなどを中心にチーズやパンやハンバーグなどが並んでいる。
僕とミレーヌにとっては初めて冒険者らしいクエストの達成で喜びもひとしおだ。
「ふむ。私への借金はもう少しで完済だな」
「すみません」
そういって詫びる僕とミレーヌ。
そんな僕達を気にするなと言って手を振ってくれるシグレさん。
確かに高価な買い物だったけど、この鎧が無ければ僕は間違いなく死んでいた。
やっぱり良い鎧を買うのが一番だと思う。
「それでユキナとミレーヌはどうするのだ?」
「あたし達は鉄級のクエストが解禁になったからそっちを受けるつもりだけど、一緒に来るかい?」
シグレさんとセシルさんは鉄級で僕達青銅級とは違い、高額の報酬が出るクエストを受けることができる。
でも青銅級の僕達には荷が重いし足手まといになりかねない。
それに僕にはやりたい事がある。
「お気持ちは嬉しいのですが僕にはやりたい事があります」
「やりたい事って?」
セシルさんがフェラのようにソーセージを口に咥え、ペニスに見立てたソーセージをフェラをしているような仕草で食べている。
そのセシルさんをジト目で見た後、シグレさんが僕に振り向いた。
「僕はゴブリンを狩りたいと思います」
ゴブリン退治は実入りがよくない。
依頼者は村が多くて領主はあまり乗り気ではない。
領主にとって一番の収入は関所の関税であり街道が無事なら多少村に被害が出ても気にしない。
いや気にしてる領主もいるのだろうけど、ゴブリン退治に大切な騎士を派遣するといざという時に召集出来ないのだ。
この世界に人間を統一した帝国は無く、地方貴族の中から選ばれた力のある貴族が王として君臨している。
王は貴族を戦争や土地の開発に召集出来るが貴族の下にいる騎士に対する命令権はない。
貴族は王の命令に従い騎士に命令する。
騎士は直接貴族に忠誠を誓っていて王に直接仕えている訳ではないから、王から直接命令されても従う必要は無い。
王も貴族だから直属の騎士を従えているがその数は少ない。
常に戦争に備えている騎士は維持費にお金がかかる。
特に騎士の乗る馬は維持するだけで大変な出費だ。
とてもゴブリン退治に使える戦力ではない。
騎士の下にいる従者も騎士を守るという重要な任務の為に存在するし、普段は騎士の為に働いている。
一言で言うとお金が無いのだ。
一部の街では周辺の村の管理も任されているから村と街を結んだ交易も行っていて、僕達が今いるフレーベルの街は首都だけあって活気がある。
だけど殆どの村は街道を山賊やモンスターによって封鎖される事も度々で、自給自足で生活しているので自衛が精いっぱいだ。
だから冒険者にお金を払って山賊退治を依頼するのが精いっぱい。
どこかの力がある王が帝国を作ってくれない限り、街道が安全になって村々が交易をする事はできないだろう。
僕のいた世界でもモンゴル帝国がユーラシア大陸のほぼすべてを支配して、支配領域を安定させたら交易が盛んになったという実例がある。
帝国というと帝国主義の印象が強く、弱い民族を虐げ植民地として支配した印象があるが利益も恩恵も大きい。
悪の帝国とマイナス面で言うのは簡単だけど帝国のプラス面を見る事も大切だと思う。
フレーベル国の首都フレーベルにある冒険者ギルド『斜陽の都亭』
『斜陽の都亭』には各地でゴブリンやオークの討伐を終えた冒険者が次のクエストを求めて集まっていた。
受付カウンターでクエストを受ける者。
ギルド併設の酒場で飲み食いしながら情報交換している者。
仲間内で話し合っている者。
そしてパーティー募集をしていたり勧誘したりと様々だ。
ただ皆一様にその表情は明るい。
今回参加した冒険者のほとんどが初心者で、やっと冒険者らしい体験が出来た喜びを感じている。
そしてシグレさんやセシルさんみたいに初心者のサポートをしてくれる人もいたのだろう。
各地で戦果をあげてほぼ全員が帰還した。
勿論初戦で散った冒険者もいるが、ギルドが提示したクエストはほぼ完了だろう。
ゴブリン討伐、山賊の殲滅、商人の護衛、どれも達成出来たと報告が入っている。
僕達が冒険者ギルドに到着したのはそんな時だった。
僕達は馴染みの受付嬢、マリア・ラ・ロシェールさんの受付へ向かう。
「ユキナ君ミレーヌちゃんお帰りなさい!!」
「ただいま戻りました」
「マリアさんただいま♪」
そう言って受付のカウンターから身を乗り出して僕とミレーヌの無事を祝ってくれるマリアさん。
そんな僕達をシグレさんとセシルさんは微笑ましく見つめていた。
二人にとってもマリアさんは気軽に話せる間柄なのだろう。
「マリア嬢、今回のクエスト完了報告と報奨金の受け取りに来たのだが」
「もう準備してあるよ」
そう言ってマリアさんがテーブルの上に幾つも置いてある銀貨の入った袋と紙の契約書を取り出した。
シグレさんが慣れた様子で契約書にサインすると、マリアさんが手続き印を押し魔法で印を唱えると正式な依頼完了となる。
その瞬間僕の首にかけてある丸の中に獅子が描かれたペンダントに暖かな淡い光が灯る。
「これは何ですか?」
「銅級から青銅級に昇格した証よ。ユキナ君ペンダントを貸して頂戴」
僕はマリアさんにペンダントを渡すとマリアさんが印を結び手をかざす。
そして僕のペンダントを銅製から青銅製へと交換してくれた。
「ユキナ君は今日から青銅級に昇格したわ。これで青銅級の依頼を受けることができるわよ」
「やった!!」
「やったねユキナ。これでボクと同じクエストを受けることができるね」
今までギルドの決まりでミレーヌと同じクエストは受けれなかったが、ミレーヌと同じ青銅級になったので青銅級のクエストを受けることができるようになった。
僕とミレーヌは抱き合いながら喜びを分かち合う。
「あらあら。ユキナ君とミレーヌちゃんはいつの間にそんなに仲良くなったのかしら」
「僕とミレーヌは同じ街出身ですから」
僕がそうマリアさんに言うとマリアさんがにこにこしながら
「そう?それだけじゃ無い気がするわね」
そう言われると僕とミレーヌは赤面する。
一瞬で僕とミレーヌがそういう仲になった事を見抜かれてしまい、慌てて抱きしめあった身体を離す。
そんな僕達を大人たちが微笑ましく見ているのだった。
◆◆◆
「かんぱーい!!」
僕とミレーヌとシグレさんとセシルさんは酒場で祝杯をあげた。
僕とミレーヌはアルコール度の低いクスコという果物で作られた甘いフルーツワイン。
シグレさんはアクラというソチという瓜ににた果物から作られたお酒。
セシルさんはギムニという芋から作られた度の強い蒸留酒を飲んでいる。
テーブルの上には僕の好きな川魚の焼き物、ミレーヌの好きな海魚と貝のスープ、セシルさんはソーセージ、シグレさんは鶏肉の唐揚げなどを中心にチーズやパンやハンバーグなどが並んでいる。
僕とミレーヌにとっては初めて冒険者らしいクエストの達成で喜びもひとしおだ。
「ふむ。私への借金はもう少しで完済だな」
「すみません」
そういって詫びる僕とミレーヌ。
そんな僕達を気にするなと言って手を振ってくれるシグレさん。
確かに高価な買い物だったけど、この鎧が無ければ僕は間違いなく死んでいた。
やっぱり良い鎧を買うのが一番だと思う。
「それでユキナとミレーヌはどうするのだ?」
「あたし達は鉄級のクエストが解禁になったからそっちを受けるつもりだけど、一緒に来るかい?」
シグレさんとセシルさんは鉄級で僕達青銅級とは違い、高額の報酬が出るクエストを受けることができる。
でも青銅級の僕達には荷が重いし足手まといになりかねない。
それに僕にはやりたい事がある。
「お気持ちは嬉しいのですが僕にはやりたい事があります」
「やりたい事って?」
セシルさんがフェラのようにソーセージを口に咥え、ペニスに見立てたソーセージをフェラをしているような仕草で食べている。
そのセシルさんをジト目で見た後、シグレさんが僕に振り向いた。
「僕はゴブリンを狩りたいと思います」
ゴブリン退治は実入りがよくない。
依頼者は村が多くて領主はあまり乗り気ではない。
領主にとって一番の収入は関所の関税であり街道が無事なら多少村に被害が出ても気にしない。
いや気にしてる領主もいるのだろうけど、ゴブリン退治に大切な騎士を派遣するといざという時に召集出来ないのだ。
この世界に人間を統一した帝国は無く、地方貴族の中から選ばれた力のある貴族が王として君臨している。
王は貴族を戦争や土地の開発に召集出来るが貴族の下にいる騎士に対する命令権はない。
貴族は王の命令に従い騎士に命令する。
騎士は直接貴族に忠誠を誓っていて王に直接仕えている訳ではないから、王から直接命令されても従う必要は無い。
王も貴族だから直属の騎士を従えているがその数は少ない。
常に戦争に備えている騎士は維持費にお金がかかる。
特に騎士の乗る馬は維持するだけで大変な出費だ。
とてもゴブリン退治に使える戦力ではない。
騎士の下にいる従者も騎士を守るという重要な任務の為に存在するし、普段は騎士の為に働いている。
一言で言うとお金が無いのだ。
一部の街では周辺の村の管理も任されているから村と街を結んだ交易も行っていて、僕達が今いるフレーベルの街は首都だけあって活気がある。
だけど殆どの村は街道を山賊やモンスターによって封鎖される事も度々で、自給自足で生活しているので自衛が精いっぱいだ。
だから冒険者にお金を払って山賊退治を依頼するのが精いっぱい。
どこかの力がある王が帝国を作ってくれない限り、街道が安全になって村々が交易をする事はできないだろう。
僕のいた世界でもモンゴル帝国がユーラシア大陸のほぼすべてを支配して、支配領域を安定させたら交易が盛んになったという実例がある。
帝国というと帝国主義の印象が強く、弱い民族を虐げ植民地として支配した印象があるが利益も恩恵も大きい。
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