8 / 103
第1章 旅立ち
第8話 親友達と別れの盃
しおりを挟む
第8話 親友達と別れの盃
昼からは文官試験だ。
これはガチガチの国家試験。
文官を目指す人の登竜門で最初の試験は筆記。
僕の使う神聖魔法は教会へ勤める人の必須科目。
ミレーヌが使う汎用魔法は魔術学院という魔法使い専門学校への受験資格に必要だ。
更に文官コース用の各種試験があって地理学、歴史学、言語学、物理学、魔法学、宗教学、理科学、化学、科学、工学、数学、心理学、倫理学、哲学、社会学、生物学、音楽、美術学、国語、情報学等など。
この試験を鉄級で合格した人は官僚コースへ進む事ができる。
魔法の世界なのに科学があるのが特記事項でこのフレーベル国では魔法学だけでなく科学への関心が高い。
僕が前世で習った技術と似ているけど科学研究に魔法を使えるからかなり発展している。
あくまで中学生レベルだった僕にはわからないくらいレベルが高い。
文官を目指す訳では無いので魔法学の中の神聖魔法の試験に青銅級で合格するのが目標。
あとはまあ……うん、聞かないで。
この世界もそうだけど、これだけ難関な試験を銀級でクリアしてしまう化け物がいるんだよなあ。
比較すると悲しいのであくまで別次元の生物だと割り切ろう。
でもミレーヌのお父さんって更に医学までクリアして外科医になったんだから、どうして僕の生まれ育った田舎街に来てくれたのかわからない。
普通に官僚になれるくらい頭がいいのに勿体ない気もするけど、ミレーヌのお父さんのお陰で助かった人が沢山いるのでありがたい話。
僕の筆記試験は大体が銅級、悪くは無い。
そもそもどうして言語学の必須言語が6個もあるんだ。
こんなの覚えられる訳がないよ。
幸い神聖魔法も銅級だったので筆記試験はなんとかクリアした。
僕に官僚は無理だと心の底から思った。
筆記試験の後は実技でこっちは自信がある。
魔法は神聖魔法だけでなく魔法使いの使う魔法はエナジーという体内にある生命力を使って行う。
エナジーの量は生命力に直結しているので過度に使いすぎると寿命が短くなる。
だから人間はあまり魔法が得意じゃない。
才能のある人は効率的にエナジー消費量を調整できるので魔法使いに向いている。
僕は魔法の才能があまり無いのでエナジー消費の大きな魔法は使えない。
エルフなど長命な種族はエナジー量が多いので魔法が得意だ。
エルフは自然界のエナジーを扱う事が得意なので、精霊魔法という自然の精霊を行使する魔法が使える。
特殊な種族はハーフエルフで、人間とエルフの混血の種族で人間の魔法と神聖魔法とエルフの精霊魔法の両方を扱える。
ハーフエルフだけがウィザードと呼ばれる究極の魔法使いになれる。
ただハーフエルフは人間がエルフを孕ませたという不幸な生い立ちで生まれた人が大半なので、人間とエルフ両方を憎んでいる事が多い。
もしハーフエルフのウィザードの助力を得られたらこれほど頼もしい味方はいない。
幸か不幸かハーフエルフにはなかなか出会えないので機会は無いだろう。
「豊穣なる大地の恵み。彼の者の傷を癒したまえ。ヒール!!」
僕の手のひらに光が現れて教会の印を結ぶ。
暖かな黄色の光が手のひらに広がっていく。
僕の使ったヒールという神聖魔法は初期の癒し魔法で怪我した鶏の傷を癒していく。
そしてこの後、鶏は絞めて食べるのだがこればかりは残酷な気がするけど仕方がない。
実技試験は銅級だったのでなんとか合格。
いや銅級ってもの凄い事なんだよ?
先ほどの国家試験の為に半生費やした人がいるくらいだからね。
普通は銅級からスタートが殆どで官僚になれるのはほんの一握り。
平民出身で国政に関われるのは将軍や官僚になれた人で貴族枠がある貴族と違い本当に厳しい。
貴族は能力がそれほど無くても官僚や将軍になれるから理不尽だけどこの国はこうなってるから仕方がない。
「やあ!!ユキナ試験はどうだった?」
そう言って僕の隣で笑うのは幼馴染で家が乾物屋のヤオ。
ヤオは短めの黒髪を後ろで小さく結っている少しぽっちゃりとした男の子。
運動は苦手だけど頭は良く実技はあまりよくないけど数学や言語学を専攻しているだけあって筆記試験の成績はよかったようだ。
「乾物屋の跡取りが数学や会計駄目だと格好がつかないだろ」
「ごもっとも」
「それに俺が会計出来ないと人を雇わないといけなくなるしな。一人分余分に給金が必要になるんだ」
「しっかりしてるね」
「うちは結構大きいからな。人件費は減らさないと」
ヤオの家は僕の育った街で店を構える乾物屋で従業員は30人くらい。
田舎の店としてはなかなかの規模だと言える。
前世で言うと中小企業の跡取りといったところ。
所謂お坊ちゃんというのだけど、親が厳しく躾けたらしく贅沢をしているのを見たことがない。
「商家は大変ね。あたしは美術専攻だから楽な物よ」
そう言って僕達の前にひょこっと現れたのは仕立て屋のミン。
ミンは黒髪をおさげにした可愛い女の子で子供の頃から手先が器用だった。
彼女の家は仕立て屋で服を扱うから会計や美術がメイン。
美術がないと布生地の良しあしがわからないからね。
田舎町では数少ない仕立て屋なので僕達の着ている服は、ほぼ全部ミンの家で作られたもの。
体のサイズもお互い知った中なのだが服はとても高価なので大きめのサイズに作られる。
ミンは胸が小さい事を気にしているが、そんなに思うほど小さくない事を僕は知っている。
「うちは猟師だから弓と数学と気象学ね」
ミンと一緒に現れたのは背中に弓を持ったクズハ。
長い黒髪をポニーテールにした女の子で陽気で活発。
スレンダーな体型をしていて子供の頃から山に入っているので無駄な肉が無い。
この年で酒豪だったりする。
猟師だから実技がメインだけど知識が必要なのは変わらない。
クズハの家は猟師でイノシシやシカ、時には熊なども狩るし必要があれば弱い魔獣なども仕留める。
毛皮や肉、珍しいところだと動物性の薬などを取り扱っているので薬学も必要だ。
野外活動のエキスパートなので最も冒険者に近いと思う。
「よっみんな揃ったな」
「みんなお待たせ♪」
待ち合わせしていたシンジとミレーヌも加わって久しぶりに幼馴染6人が揃った。
僕がこの世界に転生して出来た友達6人は今日からそれぞれの道を行く。
小さな田舎町だから顔を合わせる事も多いだろうけどもう一緒に遊ぶことは殆どないだろう。
だからこれから飲みに行く。
無事15歳になれたお祝いとこれからの未来に向かって。
冒険者になる僕とミレーヌ、兵士になるシンジにとって本当に最後になるかもしれない。
「ユキナが立派な冒険者になれるのを祈ってるわよ」
そう言ってミンが僕の背中を叩く。
僕は微笑みながら頷いてフレーベルの街へと繰り出した。
もう二度と会えないかもしれない友と別れの酒を酌み交わす為に。
昼からは文官試験だ。
これはガチガチの国家試験。
文官を目指す人の登竜門で最初の試験は筆記。
僕の使う神聖魔法は教会へ勤める人の必須科目。
ミレーヌが使う汎用魔法は魔術学院という魔法使い専門学校への受験資格に必要だ。
更に文官コース用の各種試験があって地理学、歴史学、言語学、物理学、魔法学、宗教学、理科学、化学、科学、工学、数学、心理学、倫理学、哲学、社会学、生物学、音楽、美術学、国語、情報学等など。
この試験を鉄級で合格した人は官僚コースへ進む事ができる。
魔法の世界なのに科学があるのが特記事項でこのフレーベル国では魔法学だけでなく科学への関心が高い。
僕が前世で習った技術と似ているけど科学研究に魔法を使えるからかなり発展している。
あくまで中学生レベルだった僕にはわからないくらいレベルが高い。
文官を目指す訳では無いので魔法学の中の神聖魔法の試験に青銅級で合格するのが目標。
あとはまあ……うん、聞かないで。
この世界もそうだけど、これだけ難関な試験を銀級でクリアしてしまう化け物がいるんだよなあ。
比較すると悲しいのであくまで別次元の生物だと割り切ろう。
でもミレーヌのお父さんって更に医学までクリアして外科医になったんだから、どうして僕の生まれ育った田舎街に来てくれたのかわからない。
普通に官僚になれるくらい頭がいいのに勿体ない気もするけど、ミレーヌのお父さんのお陰で助かった人が沢山いるのでありがたい話。
僕の筆記試験は大体が銅級、悪くは無い。
そもそもどうして言語学の必須言語が6個もあるんだ。
こんなの覚えられる訳がないよ。
幸い神聖魔法も銅級だったので筆記試験はなんとかクリアした。
僕に官僚は無理だと心の底から思った。
筆記試験の後は実技でこっちは自信がある。
魔法は神聖魔法だけでなく魔法使いの使う魔法はエナジーという体内にある生命力を使って行う。
エナジーの量は生命力に直結しているので過度に使いすぎると寿命が短くなる。
だから人間はあまり魔法が得意じゃない。
才能のある人は効率的にエナジー消費量を調整できるので魔法使いに向いている。
僕は魔法の才能があまり無いのでエナジー消費の大きな魔法は使えない。
エルフなど長命な種族はエナジー量が多いので魔法が得意だ。
エルフは自然界のエナジーを扱う事が得意なので、精霊魔法という自然の精霊を行使する魔法が使える。
特殊な種族はハーフエルフで、人間とエルフの混血の種族で人間の魔法と神聖魔法とエルフの精霊魔法の両方を扱える。
ハーフエルフだけがウィザードと呼ばれる究極の魔法使いになれる。
ただハーフエルフは人間がエルフを孕ませたという不幸な生い立ちで生まれた人が大半なので、人間とエルフ両方を憎んでいる事が多い。
もしハーフエルフのウィザードの助力を得られたらこれほど頼もしい味方はいない。
幸か不幸かハーフエルフにはなかなか出会えないので機会は無いだろう。
「豊穣なる大地の恵み。彼の者の傷を癒したまえ。ヒール!!」
僕の手のひらに光が現れて教会の印を結ぶ。
暖かな黄色の光が手のひらに広がっていく。
僕の使ったヒールという神聖魔法は初期の癒し魔法で怪我した鶏の傷を癒していく。
そしてこの後、鶏は絞めて食べるのだがこればかりは残酷な気がするけど仕方がない。
実技試験は銅級だったのでなんとか合格。
いや銅級ってもの凄い事なんだよ?
先ほどの国家試験の為に半生費やした人がいるくらいだからね。
普通は銅級からスタートが殆どで官僚になれるのはほんの一握り。
平民出身で国政に関われるのは将軍や官僚になれた人で貴族枠がある貴族と違い本当に厳しい。
貴族は能力がそれほど無くても官僚や将軍になれるから理不尽だけどこの国はこうなってるから仕方がない。
「やあ!!ユキナ試験はどうだった?」
そう言って僕の隣で笑うのは幼馴染で家が乾物屋のヤオ。
ヤオは短めの黒髪を後ろで小さく結っている少しぽっちゃりとした男の子。
運動は苦手だけど頭は良く実技はあまりよくないけど数学や言語学を専攻しているだけあって筆記試験の成績はよかったようだ。
「乾物屋の跡取りが数学や会計駄目だと格好がつかないだろ」
「ごもっとも」
「それに俺が会計出来ないと人を雇わないといけなくなるしな。一人分余分に給金が必要になるんだ」
「しっかりしてるね」
「うちは結構大きいからな。人件費は減らさないと」
ヤオの家は僕の育った街で店を構える乾物屋で従業員は30人くらい。
田舎の店としてはなかなかの規模だと言える。
前世で言うと中小企業の跡取りといったところ。
所謂お坊ちゃんというのだけど、親が厳しく躾けたらしく贅沢をしているのを見たことがない。
「商家は大変ね。あたしは美術専攻だから楽な物よ」
そう言って僕達の前にひょこっと現れたのは仕立て屋のミン。
ミンは黒髪をおさげにした可愛い女の子で子供の頃から手先が器用だった。
彼女の家は仕立て屋で服を扱うから会計や美術がメイン。
美術がないと布生地の良しあしがわからないからね。
田舎町では数少ない仕立て屋なので僕達の着ている服は、ほぼ全部ミンの家で作られたもの。
体のサイズもお互い知った中なのだが服はとても高価なので大きめのサイズに作られる。
ミンは胸が小さい事を気にしているが、そんなに思うほど小さくない事を僕は知っている。
「うちは猟師だから弓と数学と気象学ね」
ミンと一緒に現れたのは背中に弓を持ったクズハ。
長い黒髪をポニーテールにした女の子で陽気で活発。
スレンダーな体型をしていて子供の頃から山に入っているので無駄な肉が無い。
この年で酒豪だったりする。
猟師だから実技がメインだけど知識が必要なのは変わらない。
クズハの家は猟師でイノシシやシカ、時には熊なども狩るし必要があれば弱い魔獣なども仕留める。
毛皮や肉、珍しいところだと動物性の薬などを取り扱っているので薬学も必要だ。
野外活動のエキスパートなので最も冒険者に近いと思う。
「よっみんな揃ったな」
「みんなお待たせ♪」
待ち合わせしていたシンジとミレーヌも加わって久しぶりに幼馴染6人が揃った。
僕がこの世界に転生して出来た友達6人は今日からそれぞれの道を行く。
小さな田舎町だから顔を合わせる事も多いだろうけどもう一緒に遊ぶことは殆どないだろう。
だからこれから飲みに行く。
無事15歳になれたお祝いとこれからの未来に向かって。
冒険者になる僕とミレーヌ、兵士になるシンジにとって本当に最後になるかもしれない。
「ユキナが立派な冒険者になれるのを祈ってるわよ」
そう言ってミンが僕の背中を叩く。
僕は微笑みながら頷いてフレーベルの街へと繰り出した。
もう二度と会えないかもしれない友と別れの酒を酌み交わす為に。
10
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる