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俺は元相方から逃げたい
人気ミュロボPの仲間入り
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雪は忘れたかもしれない。
いや、なんとも思ってもいないのかもしれない。
だけど、俺はいまでもハッキリと覚えている。
俺が足手まといの役立たずになったのを。
**********
高校から始まった歌い手活動は、高校卒業を機にうやむやになると懸念していたが、結局俺たちは同じ大学に進学することになり、そのまま活動頻度も活動内容もあまり変わらなかった。
俺と瞬は成績優秀者の雪と光の指導のおかげで、なんとか受験を乗り切り、同じ大学に通えた。
俺たちはサークルに入らず、時間があれば歌い手活動やそれぞれの活動に時間を当てていた。
大学1年生の夏には瞬が声優事務所に入り、そこから少しだけ活動頻度は落ちたが、それでも光と瞬のサマサイとしての活動は週2はできていた。
俺はというと、雪と一緒にダイダスの活動を続けていた。
雪は歌ってみたに加え、自分の作詞作曲したソロ曲、そしてミュロボ曲の投稿に力を入れていた。
俺は相変わらず、歌ってみた、雪のオリジナル曲を歌いながらゲーム実況をやっていた。
ダイダスとサマサイ、それぞれ歌い手グループとしての知名度も上がり、気づいたら俺たちの全員のフォロワー数を合わせると100万人になるほど、活動が数字となって現れていた。
その日には4人でのお祝い配信『ダイダス×サマサイの配信』、いわゆる『ダイサイ配信』を行った。
昔から俺たちを応援していた人たちは大体、ダイダスとサマサイの両方を応援をしてくれている人たちだった為、合計100万人フォロワーの御礼配信をダイサイでしたときはいつも応援している人たちの名前を見た。
このまま全員で協力しながら更なる高みを目指すのを楽しんでいた。
・
・
・
・
・
だけどそんな日常が一気に変わった。
雪のミュロボ曲、『ラブミー・シンドローム』がバズった。
あの有名歌い手から新人歌い手まで、彼の曲の「歌ってみた」を投稿した。
そこで雪は人気のミュロボPの仲間入りを果たした。
それと同時に歌い手としての知名度も一気に伸びていき、雪一人だけでフォロワー数が100万人にもなっていた。
「雪、すごい!」
俺はいまでもこの日を覚えている。
彼のフォロワースが100万人いったときの衝撃は忘れられない。
「やっぱり雪は天才だよ!」
俺は心の底から言うと、彼は照れくさそうに言った。
「日々のインスピレーションのお陰かな?」
彼はそう言うと俺の頭を撫でる。
「なんだよ!頭を触るな!縮んだら雪との身長の差が広がるだろ!」
俺はムスッと抗議すると、彼は笑いながら頭をワシャワシャと撫でまくる。
「綾人はこのままで良いんだよ。僕がかわいがってあげる」
「やめろぉ!!!せっかくお前を褒めていたのに!」
俺は再び喚くと彼は「ごめん、ごめん」と笑いながら俺の頭から手を離れる。
「これからもどんどん歌を作っていくよ。ダイダスのオリジナル曲ももっと作りたいし」
「流石だよ!ついに世間が雪の才能を見つけた!って感じだ」
「ありがとう。あと、歌ってみたのコラボ依頼とかも来たんだ。これが声を掛けてもらった人たち」
雪がスマホを俺に渡すと歌い手さんの名前リストが並べられていた。
そこには有名歌い手の名前がズラリ!
衛さんが歌提供している人たち複数いた。
「すっすごい!こっ、こんなに!雪、この人たちに認知されているということだよな!」
「どこまで僕のことを知っているかは分からないけど、憧れていた人たちに声をかけてもらえたのは正直うれしい」
「すごいなぁ・・・。でも雪忙しくなるよな。ダイダスでの歌ってみたを出すのが難しくなりそうだな」
雪の活躍が嬉しい反面、どこか寂しさを感じてしまう。
そんな俺を見て、雪は再び俺の頭に手を乗せると優しく撫でる。
「僕の相方は綾人に決まっているよ。ユキとホシでダイヤモンド・ダスト!それは変わらない事実だ!」
そんな雪の言葉に安心してしまった愚かな俺がいました。
・
・
・
・
・
そこから雪のフォロワー数と歌の動画の再生数はうなぎ上り。
そしてやはり有名歌い手との歌ってみたノ反応が上々。
それだけだったらよかったが・・・
「まただ・・・」
俺は自分のスマホ画面を眺めると悔しさで唇を噛む。
雪の歌声が世間に認められる中、俺の歌声の未熟さが悪目立ちをしてしまう。
雪を知った人は、ダイヤモンド・ダストを知るきっかけになっているみたいだが、あまり反応がよろしくない。
『正直、ユキくんと他の歌い手さんの歌ってみたを聴くと、ユキくんとホシくんだと釣り合わなくなっているのが分かる』
『ホシくんの歌声で曲が台無し。ボイトレ行ったほうが良いと思う』
『ユキくんとkoroくんのコラボをもっとみたい!』
ーー出た。『koro』さん。
彗星のごとく現れた歌い手の『koro』。
ラップとハイトーンが得意としているし、気怠げなトークで癖になる。
俺自身もよく配信を聞く歌い手だ。
ーーでも・・・いまはあまり聞きたくないなぁ・・・。
俺はもう一度スマホ画面に目をやる。
『ユキくん、もっとたくさんの人とコラボするべきだよ。ダイダスのみなんて勿体ない!』
『ダイダス、足を引っ張っているのはホシだよ。ユキくんならもっともっといけるはずなのに!』
そうだよな。
俺より歌が上手い人と歌うほうが、雪の歌声がより際立つよな。
オリジナル曲も有名な人が歌えば、より注目されるよな。
そんな批判の嵐に俺のフォロワーが反論している投稿も目に入る。
『ダイダスはユキくんとホシくんで既に完成されている!』
『ホシくんの声でしか得られないものがある!』
『ユキくんとホシくんの絡みしらないの?貴重なユキくんが聴けるのはホシくんとのときだよ!』
--おかしいな、楽しいと思っていて続けていたことが、こんなに苦しくなるなんて
俺よりも歌のうまい歌い手さんが数えきれないほどいることも分かる。
その人たちと雪が一緒に歌ったほうが良いという主張も分かる。
そう思ってしまう俺がいるのに、俺をかばってくれるフォロワーに申し訳なくなる。
あぁ、力不足でごめんなさい。
いや、なんとも思ってもいないのかもしれない。
だけど、俺はいまでもハッキリと覚えている。
俺が足手まといの役立たずになったのを。
**********
高校から始まった歌い手活動は、高校卒業を機にうやむやになると懸念していたが、結局俺たちは同じ大学に進学することになり、そのまま活動頻度も活動内容もあまり変わらなかった。
俺と瞬は成績優秀者の雪と光の指導のおかげで、なんとか受験を乗り切り、同じ大学に通えた。
俺たちはサークルに入らず、時間があれば歌い手活動やそれぞれの活動に時間を当てていた。
大学1年生の夏には瞬が声優事務所に入り、そこから少しだけ活動頻度は落ちたが、それでも光と瞬のサマサイとしての活動は週2はできていた。
俺はというと、雪と一緒にダイダスの活動を続けていた。
雪は歌ってみたに加え、自分の作詞作曲したソロ曲、そしてミュロボ曲の投稿に力を入れていた。
俺は相変わらず、歌ってみた、雪のオリジナル曲を歌いながらゲーム実況をやっていた。
ダイダスとサマサイ、それぞれ歌い手グループとしての知名度も上がり、気づいたら俺たちの全員のフォロワー数を合わせると100万人になるほど、活動が数字となって現れていた。
その日には4人でのお祝い配信『ダイダス×サマサイの配信』、いわゆる『ダイサイ配信』を行った。
昔から俺たちを応援していた人たちは大体、ダイダスとサマサイの両方を応援をしてくれている人たちだった為、合計100万人フォロワーの御礼配信をダイサイでしたときはいつも応援している人たちの名前を見た。
このまま全員で協力しながら更なる高みを目指すのを楽しんでいた。
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だけどそんな日常が一気に変わった。
雪のミュロボ曲、『ラブミー・シンドローム』がバズった。
あの有名歌い手から新人歌い手まで、彼の曲の「歌ってみた」を投稿した。
そこで雪は人気のミュロボPの仲間入りを果たした。
それと同時に歌い手としての知名度も一気に伸びていき、雪一人だけでフォロワー数が100万人にもなっていた。
「雪、すごい!」
俺はいまでもこの日を覚えている。
彼のフォロワースが100万人いったときの衝撃は忘れられない。
「やっぱり雪は天才だよ!」
俺は心の底から言うと、彼は照れくさそうに言った。
「日々のインスピレーションのお陰かな?」
彼はそう言うと俺の頭を撫でる。
「なんだよ!頭を触るな!縮んだら雪との身長の差が広がるだろ!」
俺はムスッと抗議すると、彼は笑いながら頭をワシャワシャと撫でまくる。
「綾人はこのままで良いんだよ。僕がかわいがってあげる」
「やめろぉ!!!せっかくお前を褒めていたのに!」
俺は再び喚くと彼は「ごめん、ごめん」と笑いながら俺の頭から手を離れる。
「これからもどんどん歌を作っていくよ。ダイダスのオリジナル曲ももっと作りたいし」
「流石だよ!ついに世間が雪の才能を見つけた!って感じだ」
「ありがとう。あと、歌ってみたのコラボ依頼とかも来たんだ。これが声を掛けてもらった人たち」
雪がスマホを俺に渡すと歌い手さんの名前リストが並べられていた。
そこには有名歌い手の名前がズラリ!
衛さんが歌提供している人たち複数いた。
「すっすごい!こっ、こんなに!雪、この人たちに認知されているということだよな!」
「どこまで僕のことを知っているかは分からないけど、憧れていた人たちに声をかけてもらえたのは正直うれしい」
「すごいなぁ・・・。でも雪忙しくなるよな。ダイダスでの歌ってみたを出すのが難しくなりそうだな」
雪の活躍が嬉しい反面、どこか寂しさを感じてしまう。
そんな俺を見て、雪は再び俺の頭に手を乗せると優しく撫でる。
「僕の相方は綾人に決まっているよ。ユキとホシでダイヤモンド・ダスト!それは変わらない事実だ!」
そんな雪の言葉に安心してしまった愚かな俺がいました。
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そこから雪のフォロワー数と歌の動画の再生数はうなぎ上り。
そしてやはり有名歌い手との歌ってみたノ反応が上々。
それだけだったらよかったが・・・
「まただ・・・」
俺は自分のスマホ画面を眺めると悔しさで唇を噛む。
雪の歌声が世間に認められる中、俺の歌声の未熟さが悪目立ちをしてしまう。
雪を知った人は、ダイヤモンド・ダストを知るきっかけになっているみたいだが、あまり反応がよろしくない。
『正直、ユキくんと他の歌い手さんの歌ってみたを聴くと、ユキくんとホシくんだと釣り合わなくなっているのが分かる』
『ホシくんの歌声で曲が台無し。ボイトレ行ったほうが良いと思う』
『ユキくんとkoroくんのコラボをもっとみたい!』
ーー出た。『koro』さん。
彗星のごとく現れた歌い手の『koro』。
ラップとハイトーンが得意としているし、気怠げなトークで癖になる。
俺自身もよく配信を聞く歌い手だ。
ーーでも・・・いまはあまり聞きたくないなぁ・・・。
俺はもう一度スマホ画面に目をやる。
『ユキくん、もっとたくさんの人とコラボするべきだよ。ダイダスのみなんて勿体ない!』
『ダイダス、足を引っ張っているのはホシだよ。ユキくんならもっともっといけるはずなのに!』
そうだよな。
俺より歌が上手い人と歌うほうが、雪の歌声がより際立つよな。
オリジナル曲も有名な人が歌えば、より注目されるよな。
そんな批判の嵐に俺のフォロワーが反論している投稿も目に入る。
『ダイダスはユキくんとホシくんで既に完成されている!』
『ホシくんの声でしか得られないものがある!』
『ユキくんとホシくんの絡みしらないの?貴重なユキくんが聴けるのはホシくんとのときだよ!』
--おかしいな、楽しいと思っていて続けていたことが、こんなに苦しくなるなんて
俺よりも歌のうまい歌い手さんが数えきれないほどいることも分かる。
その人たちと雪が一緒に歌ったほうが良いという主張も分かる。
そう思ってしまう俺がいるのに、俺をかばってくれるフォロワーに申し訳なくなる。
あぁ、力不足でごめんなさい。
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