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裏技
デートで避けるべき食べ物リスト
1.トマトソースのスパゲッティ
2.ハンバーガー
3.ミルフィーユ
4.シュークリーム
トマトソース? はねたとき、染みになるから? それいうなら、カレーも染みになるよね? ラーメンもうどんも蕎麦もすするとき汁、はねるよね?
ハンバーガー? デートで行くほどのお店のなら、薄っぺらくないから? あがががっって口を大きく開かなきゃいけなくて、好きな男性の前で見せたくない顔で食べる羽目になるから? かといって、ご飯食べに行こう、でファストフードに行くのもってことかな?
ミルフィーユ? ああ、フォークで一口大に切り分けている間に分解されて、パイ生地が粉々になって汚らしくなる。確かに食べにくいよね、ナポレオンパイとか。いっそのことビビンバのようにクリームに皮をザクザク混ぜ込んで、フォークですくって食べるのが正しい食べ方なのではないだろうかと思うほど。
シュークリーム? ・・・??? これだけはわからない。手で掴むのがみっともない? なら、クッキーは? 豆菓子は?
茜:「まさるくん、」
僕:「なに?」
茜:「なんでデートの時避ける食べ物に、シュークリームが入ってるの?」
僕:「あれって、かぶりつくと中のクリームが落ちるじゃん。」
茜:「落ちないよ?」
僕:「え?」
茜:「え?」
今日はおうちデートで、先日のわらび餅のお返しに、近所にある雑誌にも取り上げられたことのあるお店で、シュークリームを杏子さんに買ってきた。そうしたら、悲しい顔をしたまさるくんにこのリストを見せられた。
僕:「最近ネットでシュークリームの中身をこぼさずに食べる裏技見つけた。」
杏子:「……」
茜:「……」
紅茶を一口飲んでから、シュークリームに手を伸ばす。
見てると、茜ちゃんはくるっとひっくり返してもこもこ膨らんだ側を下に向けてパクリと一口食べる。と思ったら姉は山の方を上に向けたままパクリとかじりつく。
僕:「え」
杏子:「…うう~ん、美味しい。バニラビーンズの香りがいいね~」
茜:「でしょー? 買ってきた甲斐がありました!」
僕も、山を下に向けてパクリとかじりつく。
べとっとカスタードクリームが口の周り中に付く。
杏子:「で、その裏技って?」
僕:「……」
茜:「えと、裏技って?」
僕:「茜ちゃんみたいに、山を下に向けて食べる。」
杏子:「口の周りベトベトにする食べ方?」
茜:「え、普通こっち向けて食べない?」
ただの食べ方、方法だと思うんだけど、裏技ってなに?
わざわざこぼれるとわかっている食べ方をしておいて、中身がこぼれないように食べると、裏技?
何でもかんでも『裏技』って言えばいいもんじゃない。むしろ裏技裏技っていう人は、いかに自分が無知かを喧伝って気がつくべきだ。
…って、それ、自分の恋人だと気がつき、ズーンと沈む。
山をどっちに向けていようがこぼす人はこぼす。
要は、中のクリームがどれくらい入っているかの観察力、どれくらいの勢いでかぶりついたら中身が噴出するか、注意力、想像力。そんな事、ものを食べるようになってからの経験値でこの歳にもなれば無意識でできるようになる。
僕:「……」
杏子:「無頓着な奴には裏技を知ったところで、無頓着という性質までは直せないってことだな。」
さらにズーンと沈む。
デートで避けるべき食べ物リスト
1.トマトソースのスパゲッティ
2.ハンバーガー
3.ミルフィーユ
4.シュークリーム
トマトソース? はねたとき、染みになるから? それいうなら、カレーも染みになるよね? ラーメンもうどんも蕎麦もすするとき汁、はねるよね?
ハンバーガー? デートで行くほどのお店のなら、薄っぺらくないから? あがががっって口を大きく開かなきゃいけなくて、好きな男性の前で見せたくない顔で食べる羽目になるから? かといって、ご飯食べに行こう、でファストフードに行くのもってことかな?
ミルフィーユ? ああ、フォークで一口大に切り分けている間に分解されて、パイ生地が粉々になって汚らしくなる。確かに食べにくいよね、ナポレオンパイとか。いっそのことビビンバのようにクリームに皮をザクザク混ぜ込んで、フォークですくって食べるのが正しい食べ方なのではないだろうかと思うほど。
シュークリーム? ・・・??? これだけはわからない。手で掴むのがみっともない? なら、クッキーは? 豆菓子は?
茜:「まさるくん、」
僕:「なに?」
茜:「なんでデートの時避ける食べ物に、シュークリームが入ってるの?」
僕:「あれって、かぶりつくと中のクリームが落ちるじゃん。」
茜:「落ちないよ?」
僕:「え?」
茜:「え?」
今日はおうちデートで、先日のわらび餅のお返しに、近所にある雑誌にも取り上げられたことのあるお店で、シュークリームを杏子さんに買ってきた。そうしたら、悲しい顔をしたまさるくんにこのリストを見せられた。
僕:「最近ネットでシュークリームの中身をこぼさずに食べる裏技見つけた。」
杏子:「……」
茜:「……」
紅茶を一口飲んでから、シュークリームに手を伸ばす。
見てると、茜ちゃんはくるっとひっくり返してもこもこ膨らんだ側を下に向けてパクリと一口食べる。と思ったら姉は山の方を上に向けたままパクリとかじりつく。
僕:「え」
杏子:「…うう~ん、美味しい。バニラビーンズの香りがいいね~」
茜:「でしょー? 買ってきた甲斐がありました!」
僕も、山を下に向けてパクリとかじりつく。
べとっとカスタードクリームが口の周り中に付く。
杏子:「で、その裏技って?」
僕:「……」
茜:「えと、裏技って?」
僕:「茜ちゃんみたいに、山を下に向けて食べる。」
杏子:「口の周りベトベトにする食べ方?」
茜:「え、普通こっち向けて食べない?」
ただの食べ方、方法だと思うんだけど、裏技ってなに?
わざわざこぼれるとわかっている食べ方をしておいて、中身がこぼれないように食べると、裏技?
何でもかんでも『裏技』って言えばいいもんじゃない。むしろ裏技裏技っていう人は、いかに自分が無知かを喧伝って気がつくべきだ。
…って、それ、自分の恋人だと気がつき、ズーンと沈む。
山をどっちに向けていようがこぼす人はこぼす。
要は、中のクリームがどれくらい入っているかの観察力、どれくらいの勢いでかぶりついたら中身が噴出するか、注意力、想像力。そんな事、ものを食べるようになってからの経験値でこの歳にもなれば無意識でできるようになる。
僕:「……」
杏子:「無頓着な奴には裏技を知ったところで、無頓着という性質までは直せないってことだな。」
さらにズーンと沈む。
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