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衝動
18.5
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バシャ…バシャッ…
洗濯機の中で水が撥ね返るのを見ていた。時計回り、反時計回りと螺旋を描いてはかき消すように、反対へ回転する。
不意に、円を描くように奥を撫で回されたのを思い出した。恍惚とした表情の色っぽい吏作さんが浮かんだ。
「~~~!!!」
洗濯機の縁を力一杯掴んで悶えた。腰つきがエロかった! あんなに色っぽい吏作さんは初めて見た。
いやこれ、普通、男側の感想だ。
女でも、男を色っぽいと思うんだ。
ネクタイ緩めたり、バックで車庫入れするときの振り返った首筋や、助手席の背についた左手とか。
そうだそうだ。
ピピピッ…ピピピッ…
蓋を開けたままスタートしていた洗濯機が警告音を鳴らした。
慌てて蓋を閉め、ベッドにダイブした。
「どうしよう、明日、吏作さんの顔をまともに見れない自信ある。」
また吏作さんを思い出して、にやけてしまう。
私しか知らない彼のあの表情、独占欲。
私であんな表情をしてくれた、優越感。
あんな激しく求めてくれた幸福感。
心臓がドクドクうるさい。ぎゅうっと締め付けられるような感覚が切ない。
ごろりと頭を傾け、買ってきて袋に入れっぱなしの寄木細工の箸を思い出した。お揃いを買ったものの、彼がうちに遊びに来る時にしか使わない。ローテーブルに向き合って「いただきます」と手を合わせて食事をする光景が浮かんで、またにやける。
翌日職場に行けば、まともに吏作さんの目を見れず、知ってかしらずかほぼ丸一日作業ブースに缶詰となる仕事を割り振られた。作業指示書と一緒にさりげなく渡されたのは、寄席木細工のしおりだった。ここまでやった、の目印に付箋ではなく、いつも定規を書類の束に挟んでいたのを見ていたのだろう。
一日の作業を終え、執務スペースに戻ると彼のデスクには寄木細工のペーパーウェイトが乗っていた。お揃いの柄だった。
洗濯機の中で水が撥ね返るのを見ていた。時計回り、反時計回りと螺旋を描いてはかき消すように、反対へ回転する。
不意に、円を描くように奥を撫で回されたのを思い出した。恍惚とした表情の色っぽい吏作さんが浮かんだ。
「~~~!!!」
洗濯機の縁を力一杯掴んで悶えた。腰つきがエロかった! あんなに色っぽい吏作さんは初めて見た。
いやこれ、普通、男側の感想だ。
女でも、男を色っぽいと思うんだ。
ネクタイ緩めたり、バックで車庫入れするときの振り返った首筋や、助手席の背についた左手とか。
そうだそうだ。
ピピピッ…ピピピッ…
蓋を開けたままスタートしていた洗濯機が警告音を鳴らした。
慌てて蓋を閉め、ベッドにダイブした。
「どうしよう、明日、吏作さんの顔をまともに見れない自信ある。」
また吏作さんを思い出して、にやけてしまう。
私しか知らない彼のあの表情、独占欲。
私であんな表情をしてくれた、優越感。
あんな激しく求めてくれた幸福感。
心臓がドクドクうるさい。ぎゅうっと締め付けられるような感覚が切ない。
ごろりと頭を傾け、買ってきて袋に入れっぱなしの寄木細工の箸を思い出した。お揃いを買ったものの、彼がうちに遊びに来る時にしか使わない。ローテーブルに向き合って「いただきます」と手を合わせて食事をする光景が浮かんで、またにやける。
翌日職場に行けば、まともに吏作さんの目を見れず、知ってかしらずかほぼ丸一日作業ブースに缶詰となる仕事を割り振られた。作業指示書と一緒にさりげなく渡されたのは、寄席木細工のしおりだった。ここまでやった、の目印に付箋ではなく、いつも定規を書類の束に挟んでいたのを見ていたのだろう。
一日の作業を終え、執務スペースに戻ると彼のデスクには寄木細工のペーパーウェイトが乗っていた。お揃いの柄だった。
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