39 / 124
4章 犯人はゴースト
05 ローリーの話
しおりを挟む
ジークは夜、テレサが仕事をしていたという貴族というより庶民的なレストランへと入っていった。
大きな窓沿いのテーブル席に座ると、店員がメニューを持って現れた。
「どうぞ」
「ありがとう」
メニューを受け取り開く。
「ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
「ああ!」
「ご注文ですか?」
「いえ、実はあなたから訊きたいことがありまして、テレサさんについてです」
すると、女性はしかめた顔をした。
「警察の方ですか?」
「いえ、違います」
「では、記者の方ですか。申し訳ありませんが仕事中ですので」
「アンドリューさんから直接テレサさんの事件について調査して欲しいと依頼をされてまして」
「え? アンドリューが? あなたは?」
「ジークです」
「ああ! 聞いたことあるわ! 事件を解決された方ですよね? え、今はこの事件を調べているんですか」
「はい。警察も捜査はしていますがまだ目星はついていないようで」
「全く警察にはもっと頑張ってもらわなきゃ。世の中本当に物騒よね。切り裂きジャック事件が終わったと思ったら新たな事件が次から次へと起こるんですもの」
「ええ、本当に。全くその通りです。どうかしてますよ」
「それでここに来たってことはテレサについて知りたいのね?」
「はい、そうです。因みに名前を伺っても?」
「私はローリーよ」
「では、ローリーさんに訊きますがテレサはいつもこの時間帯のシフトに入っていましたか?」
「ええ、そうよ。学生は日中は勉強しなきゃいけないから」
「そうですね。では、ローリーさんも?」
「ええ、大学は違うけれど私とテレサは同じシフトよ」
「どうでしたか、彼女の働きは?」
「トラブルはなく私同様まぁまぁね」
「なる程。因みに彼女に何か悩みを抱えていた感じはありませんでしたか?」
「気になるとしたら、彼女が亡くなる前日にシフトが入っていたんだけど、彼女仕事休んじゃって。体調が優れないからって」
「彼女がドラッグを使用していたことはご存知でしたか?」
「いいえ! 知らなかったし私もやっていないわ!」
「因みになんですが、この職場でドラッグを使用している人はいたりしますか?」
「いたらクビよ。店主はそういったのを認めないから。安い給料のくせにうるさいの」
「そう言えばテレサさんはお金に困っていたことがあったそうですね。お金を借りることもあったとか」
「お金には確かに困っていたわね。彼女の家の事情を知ってるの。だから、大学をやめるかもって言っていたわ。とりあえず、就職先を決めって」
「お金でトラブルはどうでしたか?」
「さぁ、そこまでは知らないけど。因みに彼女は私にはお金を借りようとはしなかったわよ。まぁ、彼女は自分一人でなんとか解決しようとしちゃうんじゃないかしら? 私にはそう見えたけど。でも、あの子には彼氏がいるでしょ? 自分で本当にどうしようもなくなったら彼氏に助けを求めない?」
「彼氏には恐らく相談はしなかったと思いますよ」
「なら、言い出せなかったのね」
「あなたには言い出せたんですね」
「彼氏に言えないことも女同士なら言えることもあるでしょ?」
「そうですか?」
「男のあなたが分かることじゃないわ」
ジークは咳払いをした。
「では、質問を変えます。あのカップルを妬むような人物はいましたか?」
「今度は恋愛ね。いいえ、なかったわ。あったら直ぐ気づくわよ。もし、あの二人を引き裂きたい人物がいたとしたら、一人になって弱ったアンドリューの元に慰めに一番に近づいていった女がそれよ」
すると、遠くから男が「おい、ローリー! なにサボってやがる。給料減らされたいか」と怒鳴った。
「ごめん、もう行かなきゃ」
「呼び止めてしまいすみませんでした。私のせいであなたが叱られてしまった」
「いいのよ。しょっちゅうだから」
大きな窓沿いのテーブル席に座ると、店員がメニューを持って現れた。
「どうぞ」
「ありがとう」
メニューを受け取り開く。
「ご注文が決まりましたらお呼び下さい」
「ああ!」
「ご注文ですか?」
「いえ、実はあなたから訊きたいことがありまして、テレサさんについてです」
すると、女性はしかめた顔をした。
「警察の方ですか?」
「いえ、違います」
「では、記者の方ですか。申し訳ありませんが仕事中ですので」
「アンドリューさんから直接テレサさんの事件について調査して欲しいと依頼をされてまして」
「え? アンドリューが? あなたは?」
「ジークです」
「ああ! 聞いたことあるわ! 事件を解決された方ですよね? え、今はこの事件を調べているんですか」
「はい。警察も捜査はしていますがまだ目星はついていないようで」
「全く警察にはもっと頑張ってもらわなきゃ。世の中本当に物騒よね。切り裂きジャック事件が終わったと思ったら新たな事件が次から次へと起こるんですもの」
「ええ、本当に。全くその通りです。どうかしてますよ」
「それでここに来たってことはテレサについて知りたいのね?」
「はい、そうです。因みに名前を伺っても?」
「私はローリーよ」
「では、ローリーさんに訊きますがテレサはいつもこの時間帯のシフトに入っていましたか?」
「ええ、そうよ。学生は日中は勉強しなきゃいけないから」
「そうですね。では、ローリーさんも?」
「ええ、大学は違うけれど私とテレサは同じシフトよ」
「どうでしたか、彼女の働きは?」
「トラブルはなく私同様まぁまぁね」
「なる程。因みに彼女に何か悩みを抱えていた感じはありませんでしたか?」
「気になるとしたら、彼女が亡くなる前日にシフトが入っていたんだけど、彼女仕事休んじゃって。体調が優れないからって」
「彼女がドラッグを使用していたことはご存知でしたか?」
「いいえ! 知らなかったし私もやっていないわ!」
「因みになんですが、この職場でドラッグを使用している人はいたりしますか?」
「いたらクビよ。店主はそういったのを認めないから。安い給料のくせにうるさいの」
「そう言えばテレサさんはお金に困っていたことがあったそうですね。お金を借りることもあったとか」
「お金には確かに困っていたわね。彼女の家の事情を知ってるの。だから、大学をやめるかもって言っていたわ。とりあえず、就職先を決めって」
「お金でトラブルはどうでしたか?」
「さぁ、そこまでは知らないけど。因みに彼女は私にはお金を借りようとはしなかったわよ。まぁ、彼女は自分一人でなんとか解決しようとしちゃうんじゃないかしら? 私にはそう見えたけど。でも、あの子には彼氏がいるでしょ? 自分で本当にどうしようもなくなったら彼氏に助けを求めない?」
「彼氏には恐らく相談はしなかったと思いますよ」
「なら、言い出せなかったのね」
「あなたには言い出せたんですね」
「彼氏に言えないことも女同士なら言えることもあるでしょ?」
「そうですか?」
「男のあなたが分かることじゃないわ」
ジークは咳払いをした。
「では、質問を変えます。あのカップルを妬むような人物はいましたか?」
「今度は恋愛ね。いいえ、なかったわ。あったら直ぐ気づくわよ。もし、あの二人を引き裂きたい人物がいたとしたら、一人になって弱ったアンドリューの元に慰めに一番に近づいていった女がそれよ」
すると、遠くから男が「おい、ローリー! なにサボってやがる。給料減らされたいか」と怒鳴った。
「ごめん、もう行かなきゃ」
「呼び止めてしまいすみませんでした。私のせいであなたが叱られてしまった」
「いいのよ。しょっちゅうだから」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜
mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!?
※スカトロ表現多数あり
※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる