62 / 67
第4章 名もなき島
08 会話
しおりを挟む
ルルーはどうやって自分を見つけたのだろうか? 今まで何をしていたのか? その格好はどうしたのか? 聞きたいことは山ほどあった。それは、ルルーも同じだろう。
「カントンで皆が離れ離れになった頃、私はなんとかカントンから脱出をしたの。そこから魔女と出会い、魔法を学んでいたの。言ったっけ? 魔女のこと? まぁ、いいわ。とにかく、そこで私は賢者と会った。その賢者はもう死んでしまったけど、私はその道へ進もうと思うの。その先に何があるのか分からないけど」
オラスは困惑した。魔女とか賢者とか、ルルーはさっきから何を話しているのか?
「手話は? 少しは覚えたの?」
オラスは首を横に振った。
「もう! 少しは勉強して。それより、皆は全員無事?」
オラスは首を傾げた。
「全員いないのね。本当なら、他の子も探したいところだけど、今はちょっと時間が足りないの。あのカントンで襲った敵がまた動き出したの。連中の狙いは分かっている。でも、他にやらなきゃいけないことがあるの。私はそれを確かめる為に行かなきゃいけない」
オラスはどこへ? という顔をした。
「地図が今あればいいんだけど、四つの大陸の中心。誰もそこに何があるのか分からない。そこへ行く」
確か、ドーナツのように大陸が四つあり、中心が誰も行ったことがないという……どうしてルルーはそこへ行くのか?
オラスは不安な顔をした。
「オラス、私達は試練をむかえている。でもね、人生険しい坂道ばかりじゃないわ。いつか、私達だけが暮らせる家を見つけよう。今度はちゃんとした家を。そこで皆と暮らすの。私達に必要なのは皆が帰れる場所よ」
それはまるで、ルルーがどこか遠くへ行ってしまうようで怖かった。
ルルーはちゃんとまた戻ってきてくれるだろうか。
「私なら心配いらない。オラス、あなたが私のかわりに皆を守るの。分かった?」
オラスは少し迷ったが、頷いた。
本当なら、一緒にいて欲しかった。でも、彼女にはやるべきことがある。なら、行かせてあげるべきだ。
少なくとも、前の自分とは違う。今なら守れそうだ。
少しだけ、少しだけなら。
早く戻ってきて欲しいと願った。そして、彼女の無事を祈って。
「それじゃあとのことはよろしく」
ルルーは風の魔法で空高く舞った。
ルルーは最後までオラスの心配事を口にしなかった。
今はその時ではない。
確証が得るまでは…… 。
「カントンで皆が離れ離れになった頃、私はなんとかカントンから脱出をしたの。そこから魔女と出会い、魔法を学んでいたの。言ったっけ? 魔女のこと? まぁ、いいわ。とにかく、そこで私は賢者と会った。その賢者はもう死んでしまったけど、私はその道へ進もうと思うの。その先に何があるのか分からないけど」
オラスは困惑した。魔女とか賢者とか、ルルーはさっきから何を話しているのか?
「手話は? 少しは覚えたの?」
オラスは首を横に振った。
「もう! 少しは勉強して。それより、皆は全員無事?」
オラスは首を傾げた。
「全員いないのね。本当なら、他の子も探したいところだけど、今はちょっと時間が足りないの。あのカントンで襲った敵がまた動き出したの。連中の狙いは分かっている。でも、他にやらなきゃいけないことがあるの。私はそれを確かめる為に行かなきゃいけない」
オラスはどこへ? という顔をした。
「地図が今あればいいんだけど、四つの大陸の中心。誰もそこに何があるのか分からない。そこへ行く」
確か、ドーナツのように大陸が四つあり、中心が誰も行ったことがないという……どうしてルルーはそこへ行くのか?
オラスは不安な顔をした。
「オラス、私達は試練をむかえている。でもね、人生険しい坂道ばかりじゃないわ。いつか、私達だけが暮らせる家を見つけよう。今度はちゃんとした家を。そこで皆と暮らすの。私達に必要なのは皆が帰れる場所よ」
それはまるで、ルルーがどこか遠くへ行ってしまうようで怖かった。
ルルーはちゃんとまた戻ってきてくれるだろうか。
「私なら心配いらない。オラス、あなたが私のかわりに皆を守るの。分かった?」
オラスは少し迷ったが、頷いた。
本当なら、一緒にいて欲しかった。でも、彼女にはやるべきことがある。なら、行かせてあげるべきだ。
少なくとも、前の自分とは違う。今なら守れそうだ。
少しだけ、少しだけなら。
早く戻ってきて欲しいと願った。そして、彼女の無事を祈って。
「それじゃあとのことはよろしく」
ルルーは風の魔法で空高く舞った。
ルルーは最後までオラスの心配事を口にしなかった。
今はその時ではない。
確証が得るまでは…… 。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
旦那の真実の愛の相手がやってきた。今まで邪魔をしてしまっていた妻はお祝いにリボンもおつけします
暖夢 由
恋愛
「キュリール様、私カダール様と心から愛し合っておりますの。
いつ子を身ごもってもおかしくはありません。いえ、お腹には既に育っているかもしれません。
子を身ごもってからでは遅いのです。
あんな素晴らしい男性、キュリール様が手放せないのも頷けますが、カダール様のことを想うならどうか潔く身を引いてカダール様の幸せを願ってあげてください」
伯爵家にいきなりやってきた女(ナリッタ)はそういった。
女は小説を読むかのように旦那とのなれそめから今までの話を話した。
妻であるキュリールは彼女の存在を今日まで知らなかった。
だから恥じた。
「こんなにもあの人のことを愛してくださる方がいるのにそれを阻んでいたなんて私はなんて野暮なのかしら。
本当に恥ずかしい…
私は潔く身を引くことにしますわ………」
そう言って女がサインした書類を神殿にもっていくことにする。
「私もあなたたちの真実の愛の前には敵いそうもないもの。
私は急ぎ神殿にこの書類を持っていくわ。
手続きが終わり次第、あの人にあなたの元へ向かうように伝えるわ。
そうだわ、私からお祝いとしていくつか宝石をプレゼントさせて頂きたいの。リボンもお付けしていいかしら。可愛らしいあなたととてもよく合うと思うの」
こうして一つの夫婦の姿が形を変えていく。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
黒き魔女の世界線旅行
天羽 尤
ファンタジー
少女と執事の男が交通事故に遭い、意識不明に。
しかし、この交通事故には裏があって…
現代世界に戻れなくなってしまった二人がパラレルワールドを渡り、現代世界へ戻るために右往左往する物語。
BLNLもあります。
主人公はポンコツ系チート少女ですが、性格に難ありです。
登場人物は随時更新しますのでネタバレ注意です。
ただいま第1章執筆中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる