腐った林檎

アズ

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第4章 名もなき島

08 会話

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 ルルーはどうやって自分を見つけたのだろうか? 今まで何をしていたのか? その格好はどうしたのか? 聞きたいことは山ほどあった。それは、ルルーも同じだろう。
「カントンで皆が離れ離れになった頃、私はなんとかカントンから脱出をしたの。そこから魔女と出会い、魔法を学んでいたの。言ったっけ? 魔女のこと? まぁ、いいわ。とにかく、そこで私は賢者と会った。その賢者はもう死んでしまったけど、私はその道へ進もうと思うの。その先に何があるのか分からないけど」
 オラスは困惑した。魔女とか賢者とか、ルルーはさっきから何を話しているのか?
「手話は? 少しは覚えたの?」
 オラスは首を横に振った。
「もう! 少しは勉強して。それより、皆は全員無事?」
 オラスは首を傾げた。
「全員いないのね。本当なら、他の子も探したいところだけど、今はちょっと時間が足りないの。あのカントンで襲った敵がまた動き出したの。連中の狙いは分かっている。でも、他にやらなきゃいけないことがあるの。私はそれを確かめる為に行かなきゃいけない」
 オラスはどこへ? という顔をした。
「地図が今あればいいんだけど、四つの大陸の中心。誰もそこに何があるのか分からない。そこへ行く」
 確か、ドーナツのように大陸が四つあり、中心が誰も行ったことがないという……どうしてルルーはそこへ行くのか?
 オラスは不安な顔をした。
「オラス、私達は試練をむかえている。でもね、人生険しい坂道ばかりじゃないわ。いつか、私達だけが暮らせる家を見つけよう。今度はちゃんとした家を。そこで皆と暮らすの。私達に必要なのは皆が帰れる場所よ」
 それはまるで、ルルーがどこか遠くへ行ってしまうようで怖かった。
 ルルーはちゃんとまた戻ってきてくれるだろうか。
「私なら心配いらない。オラス、あなたが私のかわりに皆を守るの。分かった?」
 オラスは少し迷ったが、頷いた。
 本当なら、一緒にいて欲しかった。でも、彼女にはやるべきことがある。なら、行かせてあげるべきだ。
 少なくとも、前の自分とは違う。今なら守れそうだ。
 少しだけ、少しだけなら。
 早く戻ってきて欲しいと願った。そして、彼女の無事を祈って。
「それじゃあとのことはよろしく」
 ルルーは風の魔法で空高く舞った。
 ルルーは最後までオラスの心配事を口にしなかった。
 今はその時ではない。
 確証が得るまでは…… 。
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