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第4章 名もなき島
01 オラスVS雷獣
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オラス……オラス……選ばれし者は単に恵まれているだけでは駄目だ。その先がなければ力はお前のものにはならんぞ。
父の声がまた自分の中から聞こえてきた。
懐かしい声。寂しく感じさせる声。出来れば目の前で姿を現して欲しい。
まるで守護霊のように父がどこかで自分を見守ってくれていると感じる時がある。そして、一番困っているときに父は現れ、声だけで助言をする。でも、答えをそのまま教えてくれるわけではない。
そんなの分かっていた。これは、自分の中にある父親像が現れているからだ。自分の知らないものは助言してはくれない。
答えは自分で見つけるしかない。
空から笑い声がする。笑うのは好きだ。皆が笑っていると心が晴れ、自分の心までも明るくしてくれる。だが、この笑いは嫌いだ。
人を殺してもなんとも思わず、むしろ一人だけ楽しんでいる笑いが。
何が楽しいのか?
一人で楽しむより、皆で楽しめるものが好きだ。
でも、自分にそんな相手はいない。
父を目の前で失い、孤独となった。
生きる目標を失い、生きる目的を失った自分は、父親を殺したあの男へ復讐することで、それを自分の目的としていた。
だが、ルルーと出会うことでそれは間違いだと気づいた。
ルルーはそんな自分を嫌ってくれた。
でも、ルルーは優しかった。
この力は何の為にある?
何の為に生きる?
そうだ、オラス。信念を持て。信じられるものは何だ?
今までは父親だけだった。だから、自分に語りかけるのはいつだって父親の声だった。
でも、今は違う。
「オラス! オラス、しっかりしろ」
ゼレールが必死にオラスの名前を呼んでいる声が聞こえる。
そうだ。今は一人ではない。
父さん、ずっと僕を見守ってくれてありがとう。でも、父さん。ずっと見守ってくれなくても、僕は成長してみせるよ。でも、突然消えるのは寂しいから、時々でいいから見守っていて欲しい。
ああ、分かった。
オラスは目を覚ますと、ゼレールの腕の中にいた。
「目覚めたか。良かった」
何があったのか思い出せない。でも、聞かない。今はやるべきことがある。
オラスはゼレールの腕から起き上がると、自分の足で立ち上がった。
「おい、大丈夫なのか?」
オラスはゼレールを見て、それから頷いた。
オラスは空を見た。
雷がゴロゴロと鳴っている。
あれにやられたのを思い出した。
ゼレールはオラスの変化に気づいた。
「ピンチはチャンスとは本当によく言ったもんだ」
守られてばかりじゃ駄目だ。今度は自分が守らなきゃ。
あの時、父親の背中には僕がいた。だから、父はあの場から逃げられなかった。逃げるのも選択肢だったが、父はしなかった。
守るものがある父の背中は大きく、それが僕の目標だった。
もう、僕は孤独になるのは嫌だ。
オラスに黄金に輝くオーラが漂い始めた。
オラスの瞳の色が金に変わる。
直後、オラスは全身を変身させた。
それを見たゼレールは驚いた。
「何のドラゴンかは気になってはいたが、まさかラードーンだったとは」
百ある頭が出現し、その頭は空にいる雷獣に向けられた。
泣き、怒り、苦しみ、あらゆる感情を持った頭達。全て、オラスである。
雷獣はオラスの変身を見て逃げ出した。
「こんなの聞いてない」
だが、オラスは逃がすつもりはなかった。
百ある頭の口が開き、一斉に黄金色の閃光を放った。回避はもはや不可能に近かった。
決着はつき、雷獣は煙をあげながら落ちていった。
父の声がまた自分の中から聞こえてきた。
懐かしい声。寂しく感じさせる声。出来れば目の前で姿を現して欲しい。
まるで守護霊のように父がどこかで自分を見守ってくれていると感じる時がある。そして、一番困っているときに父は現れ、声だけで助言をする。でも、答えをそのまま教えてくれるわけではない。
そんなの分かっていた。これは、自分の中にある父親像が現れているからだ。自分の知らないものは助言してはくれない。
答えは自分で見つけるしかない。
空から笑い声がする。笑うのは好きだ。皆が笑っていると心が晴れ、自分の心までも明るくしてくれる。だが、この笑いは嫌いだ。
人を殺してもなんとも思わず、むしろ一人だけ楽しんでいる笑いが。
何が楽しいのか?
一人で楽しむより、皆で楽しめるものが好きだ。
でも、自分にそんな相手はいない。
父を目の前で失い、孤独となった。
生きる目標を失い、生きる目的を失った自分は、父親を殺したあの男へ復讐することで、それを自分の目的としていた。
だが、ルルーと出会うことでそれは間違いだと気づいた。
ルルーはそんな自分を嫌ってくれた。
でも、ルルーは優しかった。
この力は何の為にある?
何の為に生きる?
そうだ、オラス。信念を持て。信じられるものは何だ?
今までは父親だけだった。だから、自分に語りかけるのはいつだって父親の声だった。
でも、今は違う。
「オラス! オラス、しっかりしろ」
ゼレールが必死にオラスの名前を呼んでいる声が聞こえる。
そうだ。今は一人ではない。
父さん、ずっと僕を見守ってくれてありがとう。でも、父さん。ずっと見守ってくれなくても、僕は成長してみせるよ。でも、突然消えるのは寂しいから、時々でいいから見守っていて欲しい。
ああ、分かった。
オラスは目を覚ますと、ゼレールの腕の中にいた。
「目覚めたか。良かった」
何があったのか思い出せない。でも、聞かない。今はやるべきことがある。
オラスはゼレールの腕から起き上がると、自分の足で立ち上がった。
「おい、大丈夫なのか?」
オラスはゼレールを見て、それから頷いた。
オラスは空を見た。
雷がゴロゴロと鳴っている。
あれにやられたのを思い出した。
ゼレールはオラスの変化に気づいた。
「ピンチはチャンスとは本当によく言ったもんだ」
守られてばかりじゃ駄目だ。今度は自分が守らなきゃ。
あの時、父親の背中には僕がいた。だから、父はあの場から逃げられなかった。逃げるのも選択肢だったが、父はしなかった。
守るものがある父の背中は大きく、それが僕の目標だった。
もう、僕は孤独になるのは嫌だ。
オラスに黄金に輝くオーラが漂い始めた。
オラスの瞳の色が金に変わる。
直後、オラスは全身を変身させた。
それを見たゼレールは驚いた。
「何のドラゴンかは気になってはいたが、まさかラードーンだったとは」
百ある頭が出現し、その頭は空にいる雷獣に向けられた。
泣き、怒り、苦しみ、あらゆる感情を持った頭達。全て、オラスである。
雷獣はオラスの変身を見て逃げ出した。
「こんなの聞いてない」
だが、オラスは逃がすつもりはなかった。
百ある頭の口が開き、一斉に黄金色の閃光を放った。回避はもはや不可能に近かった。
決着はつき、雷獣は煙をあげながら落ちていった。
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