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第1章 カントン
06 市長
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「ん? ちょっと待てよ……だったらあの時戦えたんじゃ?」
ギニャールがそう言ったので、オラスは変身した片腕をもう一度見せ指差した。
「何?」
オラスは口パクで、できるだけ文字数少なめにメッセージを飛ばす。
コ……コ……ダ……ケ。
「は? え、本当?」
オラスは頷いた。
「使えな」
それを聞いてオラスはビクッとした。
その頃、ルルーは警察に連れられ、黒い装甲車に乗せられてから、今度はヘリで移動し、例の高い塔へと向かった。
塔周辺には地対空ミサイルが配備されており、許可されたものしか塔に近づくことが許されていない。更に地上では高い壁に囲まれており、その内側は物騒な兵器が他にも沢山空から見ることが出来た。
そもそも市民による税金によって建設された塔ではあるが、それを市民が敷地に入って見学などまず出来る筈がなかった。
上空から遠くにある滑走路まで見える。そこには沢山のテントがあり、そこでは行き場を失った人達が大勢暮らしている。
溢れた人口にはあのような場所が必要だ。市長があの場所をそのままにしているのもそれを分かった上でだろう。一方で彼らに対する救済、支援制度はやらない。いったいここの市長は何がしたいのか。
昔は、市長の任期は6年だった。しかし、現市長の一期目で任期を12年に変えてしまい、現在は二期目だ。まるで、この街の独裁者だ。
塔に近づくにつれ、塔の途中にあるヘリポートへヘリは近づき到着した。
ヘリから降り警察に囲まれながら塔の中へと入った。
塔の壁は分厚く、柱も太い。これを人間の手でつくりあげたのだ。これには神もさぞ驚いたことだろう。
塔の中心部にはエレベーターがあり、最上階へ向かうことが出来る。知っているのはそこまでだ。
ルルーでもここに入るのは初めてだ。
分厚い鉄のエレベーターの扉の前で、警察達が止まった。エレベーターの扉が開き、中から黒いサングラスをかけた黒いスーツにスキンヘッドの三人組が出てきた。背格好も同じ、まるで三つ子のようだ。さっきの警部はその三人を気味悪そうな目で見ていた。
「ご苦労だったルコント警部。あとは我々が引き継ぐ」
「そうかよ」
どうやら、ルコントとか言う警部でもこれ以上は入れないらしい。
ルコントと警察達はヘリの元へ踵を返していくと、スキンヘッドの真ん中の男が近づき頑丈で大げさな枷を見せた。
「塔の中で暴れまわっては困る。君のような者には塔にいる間はこれを付けてもらう」
ルルーは両手を出すと、男はその細いルルーの手首に枷を装置した。
「重っ」
「来い」と男はルルーに言った。
ルルーはムッとしながらもここは大人しくエレベーターの中に入った。
エレベーターはルルーが知るあの狭い箱ではなく、巨大な広さと高さを持ち、中央には6人分の座席とシートベルトがあった。
「これに座りシートベルトを装置しろ」
安全上と理解しルルーは従った。男達も同じようにシートベルトを装置した。
エレベーターの扉が閉まり、アナウンスが入る。
「シートベルトを装置して下さい。これより上の階へとエレベーターは上昇します。大きな揺れに備えて下さい」
アナウンスが終わると、エレベーターは下から上へと圧力が加わり、アナウンス通り加速による大きな揺れを全身に受けながら、エレベーターは超速で上の階へと数十秒で到着した。
エレベーターの扉が開き、慣れた男達はシートベルトを外しもう席を立ち上がっている。
ルルーは慌てながらシートベルトを外し座席から降りると男の一人が「こっちだ」と言ってエレベーターから降りた。
エレベーターから降りたそこは、そのフロア全体が一つの部屋になっていた。
「ここは……」
「市長室だ」
そう言ってカツカツと靴の音を響かせながら現れたのは、ルルーと同じ背で剥げに口髭を生やしたおっさんだった。瞳と髭は黒い。
ルルーにはそいつが誰なのか直ぐに分かった。奴からは煙草のニオイと加齢臭が混じったような鼻がツンとする悪臭と、口からは悪趣味な金歯、それにダイヤのついた腕時計を左手首にしている。
「市長……」
「その通り。その手枷、似合っているぞ」
ルルーは自分の手首を見た。今は自由を奪われた両手首がある。
「君は何度も誘いに断った。本来、徴兵は義務だ。しかし、君はまだ未成年という年齢を盾にして招集を断ってきた。確かに、法律上はそうなっている。だからと言ってこの国が貴様が成人になるまで待っているわけにはいかないのだよ。そこらへん分かってくれるな?」
「ええ、分かったわ。その為について来たんだから。もうあなた達からは逃げられないってね」
「宜しい。物分りが良いじゃないか。報告とは違うな」
「なら、この邪魔な手枷外してくれない?」
「ダメだ!」そこは大声で、まるで怒鳴りつけるように言った。それは父親が子供に叱りつけるように。
「事前に聞いた筈だ。ここのルールを。塔にいる間はその手枷はつけたままだ。それに、それは外す必要はない」
「それじゃお風呂とかに困るんですけど」
すると、市長はリモコンを内ポケットから取り出し、ボタンを押した。
すると、鎖が外れ、その鎖は鉄の手枷の中へとおさまった。枷をよく見ると、小さな正方形のくぼみがある。
そこから鎖が出し入れされているんだ。
「へぇー」
ルルーが感心していると、市長はまたボタンを押した。
鎖が出てもう一方の枷が磁石のようにお互いが反応し、鎖は2つの枷を繋いだ。
「その枷には発信器が取り付けられてある」
それはいつでも居場所が四六時中知られているってことだ。
「随分用心深いんだねぇ」
「なに?」
気に障ったように顔を歪め、それは警告を示していた。分かるだろ、それ以上口にすればと。しかし、ルルーは気にもしなかった。
「ここに来る途中、地対空ミサイルが配備され、私には枷までして、まるで恐れてるみたい。この塔がまるで攻撃をされるんじゃないかってビクビクしてる。どうしてかな?」
「それ以上喋らない方がいいぞ」
「皆あんたを恨んでいる。あんたのせいで大勢が死んでいるからだ。それでもあんたは何もしなかった。公約では嘘言って皆を騙し、あんたは二期目を当選した。で、塔が完成すると、大勢が失業した」
市長は思いっきりルルーの頬をビンタした。ルルーはその勢いで倒れる。そのルルーの髪を掴むと、無理やり引っ張り大きな分厚い窓まで連れていった。
「よく見ろ。誰が敗者かこれでよく分かっただろ? ここから高みの見物が出来るのが勝者で、あの地上で薄汚れたのが敗者だ」
「神にでもなったつもり?」
「神?」
市長はルルーの髪を離した。ルルーは顔を床にぶつける。
「そうだな。神か。悪くない」
ルルーは嘲笑った。
それを市長は頭を蹴飛ばした。
「うっ」
「やはり報告通り賢い女ではなかったか。お前には部屋を与えてやろうと思ったがやめだ。お前には牢がお似合いだ」
市長はスキンヘッドの男に「連れていけ」と命令した。
ルルーは最後に「私が必要なんじゃないの?」と訊いた。
「必要だとも。だが、それよりもまず、反抗勢力となる可能性を潰しておく。その上で利用する。お前はあそこにいる敗者と同じだな」
ルルーは唾を市長の顔にかけた。
「全く、下品な女だ」
市長はそう言いながらハンカチでかかった唾を拭った。そのハンカチを捨てると、男達はルルーを両脇を二人で抱え連れ出した。
「牢に入れる前に躾けておけ」
市長はそう部下達に命令をした。
エレベーターの中に入ると、男達に蹴りを何発もくらわされルルーは床に倒れ込んだ。男達はそれから自分達だけシートベルトをすると、エレベーターは急降下を始めた。ルルーはシートベルトどころか座席にもついておらず、あちこちに体をぶつけ、死にかけた。
エレベーターが到着した時には手足の所々に擦り傷ができ出血と内出血を起こしていた。
それからは覚えていない。多分、拷問のようなことをされたと思う。バケツに入った水をぶっかけられ、何かをされた。罵倒もあったが、何を言ってたかうまく聞き取れなかった。
あのぶっかけた水は綺麗な水ではなかった。黒かったから多分海水のをそのまま使った筈だ。透明な飲水を奴らは無駄にしない筈だ。
それから深い眠りについた。
目が覚めた時はまだ体のあちこちに痛みが感じられた。
気づけば自分は囚人服を着ていた。いつ、着替えさせられたんだろう? あのスキンヘッドか? 変態め。
ベッドは心地よいものではなかった。背中と首の後ろがおかげで痛い。
窓はなく、照明だけが明かりだ。
食事は不味く、緑色のどろっとした何かか、紫色のどろっとした何かが犬の皿のような容器に入れてよこした程度だった。
「スプーンは?」
分厚い鉄のドアの向こうに向かってそう叫んだ。だが、返事はなかった。
ムカついた私はその容器を放り投げた。
数日が経ち、実際は太陽が見えないから時間は分からないが、消灯の時間で、ああ、今日一日が終わったんだと気づく。
そうして次の日、私は市長に呼ばれた。
市長室は数日前に見た時と変わらず殺風景な部屋だった。ただ、広い空間に少ない家具がそうさせた。
長いテーブルの端に座らされ、向かい合うようにわざわざ端に市長は座って食事をすすめていた。
「お前も食べたらどうだ? 囚人の食事はまともでなかっただろ」
自分の目の前にも豪華な肉と油ばかりの料理が並んでいた。そこにはフォークとナイフが置かれてある。
「力が使えないんだけど何で? この枷にそんな仕掛けがあるわけ?」
「その枷に電流でも流せるようにしとけば良かったかな。珍しく後悔したよ」
「力が使えなければ戦えない」
市長はようやく食事の手を止めた。
「その気になってくれたか。やはり、最初から厳しくやって正解だったな。お前達の扱いはよーく理解しているつもりだ。いいか、私がお前の主人だ。お前は私の命令にちゃんと従ってればいい。分かったか?」
ルルーは返事をしなかった。
「分かったかと聞いとるだぁ!! 分かったら犬のように返事をしたらどうなんだぁ!! それとも」
市長は指を鳴らした。
スキンヘッドの男が例の犬の餌やりに使う器を持ってきた。
「ずっと、それを食べているか?」
その時、警報が鳴り響いた。
「何だ?」
外ではミサイルが何発も発射されている。
エレベーターが開き武器を持った兵士が慌てた様子で「敵です!」と言ってきた。
「どこのどいつだ。いや、それはいい。空からか?」
「それが、ドラゴンです! ドラゴンが現れました」
「ドラゴンだと!?」
ルルーは直ぐに分かった。選ばれし者の誰かがこの塔を襲っている。誰かは知らないが、敵なのは間違いない。
「ミサイルでは全く通用しません」
「当たり前だ! ドラゴンだぞ」
「い、今、避難用のヘリを呼んでおります」
「バカたれ!!」
そう市長が怒鳴った直後、外で大爆発が起こった。一斉に窓の外を見る。空中で炎があがるヘリが落下しているところだった。近くにはドラゴンが飛んでいた。
「黒いドラゴン……オスマンだ」
ルルーは市長を見た。市長はあのドラゴンを知っているのか!?
「とにかく私は地上を降りる」
その時、塔の中で大きな揺れが起こった。
「な、何だ」
ルルーはもう一度外を見る。ヘリを落とした先程のドラゴンがこっちに向かって黒い閃光のようなものを開いた口から何発も放たれているのが見えた。
「何故あのドラゴンが現れる!? 何故塔を!?」
そうだ、あのドラゴンの目的は何だ?
直後、照明が全て消え停電が起きた。
「ドラゴンの連続の攻撃により電力が使えなくなりました!」
「予備電力はどうなっている!」
「通常は停電が起こった際に自動で予備電力に切り替わるのですが……」
全くそのようにはならなかった。
「クソッ! せっかくここまで来たというのに死んでたまるか」
市長はルルーを見た。そして、ルルーに向かって指を差した。
「お、お前、早くあのドラゴンをなんとかして来い!」
市長はリモコンで鎖を外した。
「これで戦える筈だ」
ルルーは自分の手枷を見た。
「何をしているんだ。とっとと早く行かんか」
「この邪魔な枷もはずせよおっさん」
「なんだって! するわけないだろ。今までの態度は全て水に流してやる。だから、とっとと行け! でなきゃお前も死ぬぞ」
すると、ルルーはスキンヘッドの男に近づき、容器を取り上げるとそれを市長の足元近くに叩き落とした。
容器が転がっていき、中のものが飛び地散った。その緑色のペースト状が市長のスボンの裾に付着した。
「市長、ほらズボンについちゃったよ。早く落とした方がいいよ。ほら、犬みたいに舐めたら?」
「な、なんだと」
市長は護身用にいつも持ち歩いているリボルバーを出した。
「市長、撃ったことあるの?」
「うるさい!」
市長は怒鳴りながら安全装置を解除し、引き金に指を当てる。あとは引くだけでそこにある弾は発射される。
だが、明らかに狙いが外れているのがルルーの方から分かった。
「市長、あなた兵役の経験はあるんですか?」
銃の訓練ぐらい受けている筈だ。
しかし、市長は「うるさい、黙れぇ!!」と言ってルルーに向かって引き金を引いた。しかし、ルルーにそれは当たらず、ルルーの後ろにいたスキンヘッドのお仲間に当たった。部下はルルーの斜め後方で倒れた。
「市長! あなた狂ったんですか」
兵士や部下も銃を取り出し市長に向けた。
「ち、違う! 私はこの女を狙って撃ったんだ」
それを聞いたルルーは大笑いした。
「この距離で外す? ねぇ、分かったでしょ。皆、こんな馬鹿に阿呆みたいに従ってたんだよ。どうして皆こんな馬鹿に犬みたいに素直に従えるのさ。私はごめんだね」
「なんだと。口を慎め」
「慎むのはお前の方だ! もういい加減、皆目を覚ませ! こんな馬鹿に従うことはない」
「おい、お前達。何故私に銃を向ける?」
「市長、銃をおろして下さい。でないと撃ちます」と兵士は警告した。
市長は警告した兵士に銃口を向けた。
「私は市長だぞ。市民に選ばれたんだ。その私をたかが少佐の君が私を撃つのか。下ろすのは君だ、少佐」
「市長、お願いします。銃をおろして下さい」
市長は遂に最後のチャンスを棒に振った。
「私はこんな場所で死ぬわけにはいかない!!!」
市長と兵士の間に2発の銃声が響いた。
一方が倒れ、それは胸を撃たれた市長だった。
市長が撃った弾は兵士に当たらず、どこかの壁に当たった。
「うっ……」
どうしてこうなった? うまくいっていたのに…… 。
「市長、あんたは周りが見えてなかった。あんたに与えた権力があんたを盲目させたんだ」
市長にとって最後に見るのが一番嫌な人物の顔だった。
「でも、死ぬ直前に悪口言うのもなんだから、最後に伝えとく。もう休め」
市長は目を閉じた。
「どうしてだ? あんた市長を恨んでたんじゃないのか?」
生き残っていたスキンヘッドの男がルルーにそう訊いてきた。
「もう死ぬ相手に恨んだりはしないよ。命が終わる時は恨みも終わりさ。いつまでも恨んだってしょうがない」
その時、非常階段のドアが開いた。
「もう最悪! 二度とお前を先頭で歩かせないからな」
「ギニャール!? オラス!? それに皆!? どうしたの?」
「どうしたのって、あんたを助けに来たに決まってるでしょ」
「え……」
「悪いな、時間かかって。この馬鹿が階段で行こうとか言って……ハァハァ……全くこっちはクタクタだよ」
ルルーはギニャールへ向かって走り、そして抱きしめた。
「ありがとう」
「あの馬鹿がいなきゃ、もっと早くに着いてたよ」
ルルーはオラスを見た。
「ありがとう」
オラスは照れて鼻の下を人差し指で擦った。
「皆もありがとう」
「良かったルルー無事で!」
「ルルー怪我無い?」
ルルーは頷いた。
「それより皆、ここまで階段のぼって来たの?」
「もっと言ってやってよ」とギニャールはオラスを指差して言った。
ルルーは可笑しくて涙が出た。
そこに兵士がゆっくり近づいた。
「申し訳ないが、あなたに頼みがあります。今の状況エレベーターは使えません。かと言って階段を使って降りている暇もありません」
兵士はそう言って市長から取ったリモコンのスイッチを押した。すると、ルルーについていた手枷が外れた。手が一気に楽になった。
「どうか、我々助けて下さい」
兵士は深々と頭を下げた。スキンヘッドの男もだ。
「うん、分かった。ごめん、皆。助けに来てもらってあれなんだけど……オラス? どうしたの?」
オラスは外にいるドラゴンを見て顔色を悪くしていた。
何故ならこのドラゴンこそが父を殺したあの憎きドラゴンなのだから。
ルルーは鼻をつまんだ。
「あのドラゴンなのね、あなたの復讐相手は」
ギニャールがそう言ったので、オラスは変身した片腕をもう一度見せ指差した。
「何?」
オラスは口パクで、できるだけ文字数少なめにメッセージを飛ばす。
コ……コ……ダ……ケ。
「は? え、本当?」
オラスは頷いた。
「使えな」
それを聞いてオラスはビクッとした。
その頃、ルルーは警察に連れられ、黒い装甲車に乗せられてから、今度はヘリで移動し、例の高い塔へと向かった。
塔周辺には地対空ミサイルが配備されており、許可されたものしか塔に近づくことが許されていない。更に地上では高い壁に囲まれており、その内側は物騒な兵器が他にも沢山空から見ることが出来た。
そもそも市民による税金によって建設された塔ではあるが、それを市民が敷地に入って見学などまず出来る筈がなかった。
上空から遠くにある滑走路まで見える。そこには沢山のテントがあり、そこでは行き場を失った人達が大勢暮らしている。
溢れた人口にはあのような場所が必要だ。市長があの場所をそのままにしているのもそれを分かった上でだろう。一方で彼らに対する救済、支援制度はやらない。いったいここの市長は何がしたいのか。
昔は、市長の任期は6年だった。しかし、現市長の一期目で任期を12年に変えてしまい、現在は二期目だ。まるで、この街の独裁者だ。
塔に近づくにつれ、塔の途中にあるヘリポートへヘリは近づき到着した。
ヘリから降り警察に囲まれながら塔の中へと入った。
塔の壁は分厚く、柱も太い。これを人間の手でつくりあげたのだ。これには神もさぞ驚いたことだろう。
塔の中心部にはエレベーターがあり、最上階へ向かうことが出来る。知っているのはそこまでだ。
ルルーでもここに入るのは初めてだ。
分厚い鉄のエレベーターの扉の前で、警察達が止まった。エレベーターの扉が開き、中から黒いサングラスをかけた黒いスーツにスキンヘッドの三人組が出てきた。背格好も同じ、まるで三つ子のようだ。さっきの警部はその三人を気味悪そうな目で見ていた。
「ご苦労だったルコント警部。あとは我々が引き継ぐ」
「そうかよ」
どうやら、ルコントとか言う警部でもこれ以上は入れないらしい。
ルコントと警察達はヘリの元へ踵を返していくと、スキンヘッドの真ん中の男が近づき頑丈で大げさな枷を見せた。
「塔の中で暴れまわっては困る。君のような者には塔にいる間はこれを付けてもらう」
ルルーは両手を出すと、男はその細いルルーの手首に枷を装置した。
「重っ」
「来い」と男はルルーに言った。
ルルーはムッとしながらもここは大人しくエレベーターの中に入った。
エレベーターはルルーが知るあの狭い箱ではなく、巨大な広さと高さを持ち、中央には6人分の座席とシートベルトがあった。
「これに座りシートベルトを装置しろ」
安全上と理解しルルーは従った。男達も同じようにシートベルトを装置した。
エレベーターの扉が閉まり、アナウンスが入る。
「シートベルトを装置して下さい。これより上の階へとエレベーターは上昇します。大きな揺れに備えて下さい」
アナウンスが終わると、エレベーターは下から上へと圧力が加わり、アナウンス通り加速による大きな揺れを全身に受けながら、エレベーターは超速で上の階へと数十秒で到着した。
エレベーターの扉が開き、慣れた男達はシートベルトを外しもう席を立ち上がっている。
ルルーは慌てながらシートベルトを外し座席から降りると男の一人が「こっちだ」と言ってエレベーターから降りた。
エレベーターから降りたそこは、そのフロア全体が一つの部屋になっていた。
「ここは……」
「市長室だ」
そう言ってカツカツと靴の音を響かせながら現れたのは、ルルーと同じ背で剥げに口髭を生やしたおっさんだった。瞳と髭は黒い。
ルルーにはそいつが誰なのか直ぐに分かった。奴からは煙草のニオイと加齢臭が混じったような鼻がツンとする悪臭と、口からは悪趣味な金歯、それにダイヤのついた腕時計を左手首にしている。
「市長……」
「その通り。その手枷、似合っているぞ」
ルルーは自分の手首を見た。今は自由を奪われた両手首がある。
「君は何度も誘いに断った。本来、徴兵は義務だ。しかし、君はまだ未成年という年齢を盾にして招集を断ってきた。確かに、法律上はそうなっている。だからと言ってこの国が貴様が成人になるまで待っているわけにはいかないのだよ。そこらへん分かってくれるな?」
「ええ、分かったわ。その為について来たんだから。もうあなた達からは逃げられないってね」
「宜しい。物分りが良いじゃないか。報告とは違うな」
「なら、この邪魔な手枷外してくれない?」
「ダメだ!」そこは大声で、まるで怒鳴りつけるように言った。それは父親が子供に叱りつけるように。
「事前に聞いた筈だ。ここのルールを。塔にいる間はその手枷はつけたままだ。それに、それは外す必要はない」
「それじゃお風呂とかに困るんですけど」
すると、市長はリモコンを内ポケットから取り出し、ボタンを押した。
すると、鎖が外れ、その鎖は鉄の手枷の中へとおさまった。枷をよく見ると、小さな正方形のくぼみがある。
そこから鎖が出し入れされているんだ。
「へぇー」
ルルーが感心していると、市長はまたボタンを押した。
鎖が出てもう一方の枷が磁石のようにお互いが反応し、鎖は2つの枷を繋いだ。
「その枷には発信器が取り付けられてある」
それはいつでも居場所が四六時中知られているってことだ。
「随分用心深いんだねぇ」
「なに?」
気に障ったように顔を歪め、それは警告を示していた。分かるだろ、それ以上口にすればと。しかし、ルルーは気にもしなかった。
「ここに来る途中、地対空ミサイルが配備され、私には枷までして、まるで恐れてるみたい。この塔がまるで攻撃をされるんじゃないかってビクビクしてる。どうしてかな?」
「それ以上喋らない方がいいぞ」
「皆あんたを恨んでいる。あんたのせいで大勢が死んでいるからだ。それでもあんたは何もしなかった。公約では嘘言って皆を騙し、あんたは二期目を当選した。で、塔が完成すると、大勢が失業した」
市長は思いっきりルルーの頬をビンタした。ルルーはその勢いで倒れる。そのルルーの髪を掴むと、無理やり引っ張り大きな分厚い窓まで連れていった。
「よく見ろ。誰が敗者かこれでよく分かっただろ? ここから高みの見物が出来るのが勝者で、あの地上で薄汚れたのが敗者だ」
「神にでもなったつもり?」
「神?」
市長はルルーの髪を離した。ルルーは顔を床にぶつける。
「そうだな。神か。悪くない」
ルルーは嘲笑った。
それを市長は頭を蹴飛ばした。
「うっ」
「やはり報告通り賢い女ではなかったか。お前には部屋を与えてやろうと思ったがやめだ。お前には牢がお似合いだ」
市長はスキンヘッドの男に「連れていけ」と命令した。
ルルーは最後に「私が必要なんじゃないの?」と訊いた。
「必要だとも。だが、それよりもまず、反抗勢力となる可能性を潰しておく。その上で利用する。お前はあそこにいる敗者と同じだな」
ルルーは唾を市長の顔にかけた。
「全く、下品な女だ」
市長はそう言いながらハンカチでかかった唾を拭った。そのハンカチを捨てると、男達はルルーを両脇を二人で抱え連れ出した。
「牢に入れる前に躾けておけ」
市長はそう部下達に命令をした。
エレベーターの中に入ると、男達に蹴りを何発もくらわされルルーは床に倒れ込んだ。男達はそれから自分達だけシートベルトをすると、エレベーターは急降下を始めた。ルルーはシートベルトどころか座席にもついておらず、あちこちに体をぶつけ、死にかけた。
エレベーターが到着した時には手足の所々に擦り傷ができ出血と内出血を起こしていた。
それからは覚えていない。多分、拷問のようなことをされたと思う。バケツに入った水をぶっかけられ、何かをされた。罵倒もあったが、何を言ってたかうまく聞き取れなかった。
あのぶっかけた水は綺麗な水ではなかった。黒かったから多分海水のをそのまま使った筈だ。透明な飲水を奴らは無駄にしない筈だ。
それから深い眠りについた。
目が覚めた時はまだ体のあちこちに痛みが感じられた。
気づけば自分は囚人服を着ていた。いつ、着替えさせられたんだろう? あのスキンヘッドか? 変態め。
ベッドは心地よいものではなかった。背中と首の後ろがおかげで痛い。
窓はなく、照明だけが明かりだ。
食事は不味く、緑色のどろっとした何かか、紫色のどろっとした何かが犬の皿のような容器に入れてよこした程度だった。
「スプーンは?」
分厚い鉄のドアの向こうに向かってそう叫んだ。だが、返事はなかった。
ムカついた私はその容器を放り投げた。
数日が経ち、実際は太陽が見えないから時間は分からないが、消灯の時間で、ああ、今日一日が終わったんだと気づく。
そうして次の日、私は市長に呼ばれた。
市長室は数日前に見た時と変わらず殺風景な部屋だった。ただ、広い空間に少ない家具がそうさせた。
長いテーブルの端に座らされ、向かい合うようにわざわざ端に市長は座って食事をすすめていた。
「お前も食べたらどうだ? 囚人の食事はまともでなかっただろ」
自分の目の前にも豪華な肉と油ばかりの料理が並んでいた。そこにはフォークとナイフが置かれてある。
「力が使えないんだけど何で? この枷にそんな仕掛けがあるわけ?」
「その枷に電流でも流せるようにしとけば良かったかな。珍しく後悔したよ」
「力が使えなければ戦えない」
市長はようやく食事の手を止めた。
「その気になってくれたか。やはり、最初から厳しくやって正解だったな。お前達の扱いはよーく理解しているつもりだ。いいか、私がお前の主人だ。お前は私の命令にちゃんと従ってればいい。分かったか?」
ルルーは返事をしなかった。
「分かったかと聞いとるだぁ!! 分かったら犬のように返事をしたらどうなんだぁ!! それとも」
市長は指を鳴らした。
スキンヘッドの男が例の犬の餌やりに使う器を持ってきた。
「ずっと、それを食べているか?」
その時、警報が鳴り響いた。
「何だ?」
外ではミサイルが何発も発射されている。
エレベーターが開き武器を持った兵士が慌てた様子で「敵です!」と言ってきた。
「どこのどいつだ。いや、それはいい。空からか?」
「それが、ドラゴンです! ドラゴンが現れました」
「ドラゴンだと!?」
ルルーは直ぐに分かった。選ばれし者の誰かがこの塔を襲っている。誰かは知らないが、敵なのは間違いない。
「ミサイルでは全く通用しません」
「当たり前だ! ドラゴンだぞ」
「い、今、避難用のヘリを呼んでおります」
「バカたれ!!」
そう市長が怒鳴った直後、外で大爆発が起こった。一斉に窓の外を見る。空中で炎があがるヘリが落下しているところだった。近くにはドラゴンが飛んでいた。
「黒いドラゴン……オスマンだ」
ルルーは市長を見た。市長はあのドラゴンを知っているのか!?
「とにかく私は地上を降りる」
その時、塔の中で大きな揺れが起こった。
「な、何だ」
ルルーはもう一度外を見る。ヘリを落とした先程のドラゴンがこっちに向かって黒い閃光のようなものを開いた口から何発も放たれているのが見えた。
「何故あのドラゴンが現れる!? 何故塔を!?」
そうだ、あのドラゴンの目的は何だ?
直後、照明が全て消え停電が起きた。
「ドラゴンの連続の攻撃により電力が使えなくなりました!」
「予備電力はどうなっている!」
「通常は停電が起こった際に自動で予備電力に切り替わるのですが……」
全くそのようにはならなかった。
「クソッ! せっかくここまで来たというのに死んでたまるか」
市長はルルーを見た。そして、ルルーに向かって指を差した。
「お、お前、早くあのドラゴンをなんとかして来い!」
市長はリモコンで鎖を外した。
「これで戦える筈だ」
ルルーは自分の手枷を見た。
「何をしているんだ。とっとと早く行かんか」
「この邪魔な枷もはずせよおっさん」
「なんだって! するわけないだろ。今までの態度は全て水に流してやる。だから、とっとと行け! でなきゃお前も死ぬぞ」
すると、ルルーはスキンヘッドの男に近づき、容器を取り上げるとそれを市長の足元近くに叩き落とした。
容器が転がっていき、中のものが飛び地散った。その緑色のペースト状が市長のスボンの裾に付着した。
「市長、ほらズボンについちゃったよ。早く落とした方がいいよ。ほら、犬みたいに舐めたら?」
「な、なんだと」
市長は護身用にいつも持ち歩いているリボルバーを出した。
「市長、撃ったことあるの?」
「うるさい!」
市長は怒鳴りながら安全装置を解除し、引き金に指を当てる。あとは引くだけでそこにある弾は発射される。
だが、明らかに狙いが外れているのがルルーの方から分かった。
「市長、あなた兵役の経験はあるんですか?」
銃の訓練ぐらい受けている筈だ。
しかし、市長は「うるさい、黙れぇ!!」と言ってルルーに向かって引き金を引いた。しかし、ルルーにそれは当たらず、ルルーの後ろにいたスキンヘッドのお仲間に当たった。部下はルルーの斜め後方で倒れた。
「市長! あなた狂ったんですか」
兵士や部下も銃を取り出し市長に向けた。
「ち、違う! 私はこの女を狙って撃ったんだ」
それを聞いたルルーは大笑いした。
「この距離で外す? ねぇ、分かったでしょ。皆、こんな馬鹿に阿呆みたいに従ってたんだよ。どうして皆こんな馬鹿に犬みたいに素直に従えるのさ。私はごめんだね」
「なんだと。口を慎め」
「慎むのはお前の方だ! もういい加減、皆目を覚ませ! こんな馬鹿に従うことはない」
「おい、お前達。何故私に銃を向ける?」
「市長、銃をおろして下さい。でないと撃ちます」と兵士は警告した。
市長は警告した兵士に銃口を向けた。
「私は市長だぞ。市民に選ばれたんだ。その私をたかが少佐の君が私を撃つのか。下ろすのは君だ、少佐」
「市長、お願いします。銃をおろして下さい」
市長は遂に最後のチャンスを棒に振った。
「私はこんな場所で死ぬわけにはいかない!!!」
市長と兵士の間に2発の銃声が響いた。
一方が倒れ、それは胸を撃たれた市長だった。
市長が撃った弾は兵士に当たらず、どこかの壁に当たった。
「うっ……」
どうしてこうなった? うまくいっていたのに…… 。
「市長、あんたは周りが見えてなかった。あんたに与えた権力があんたを盲目させたんだ」
市長にとって最後に見るのが一番嫌な人物の顔だった。
「でも、死ぬ直前に悪口言うのもなんだから、最後に伝えとく。もう休め」
市長は目を閉じた。
「どうしてだ? あんた市長を恨んでたんじゃないのか?」
生き残っていたスキンヘッドの男がルルーにそう訊いてきた。
「もう死ぬ相手に恨んだりはしないよ。命が終わる時は恨みも終わりさ。いつまでも恨んだってしょうがない」
その時、非常階段のドアが開いた。
「もう最悪! 二度とお前を先頭で歩かせないからな」
「ギニャール!? オラス!? それに皆!? どうしたの?」
「どうしたのって、あんたを助けに来たに決まってるでしょ」
「え……」
「悪いな、時間かかって。この馬鹿が階段で行こうとか言って……ハァハァ……全くこっちはクタクタだよ」
ルルーはギニャールへ向かって走り、そして抱きしめた。
「ありがとう」
「あの馬鹿がいなきゃ、もっと早くに着いてたよ」
ルルーはオラスを見た。
「ありがとう」
オラスは照れて鼻の下を人差し指で擦った。
「皆もありがとう」
「良かったルルー無事で!」
「ルルー怪我無い?」
ルルーは頷いた。
「それより皆、ここまで階段のぼって来たの?」
「もっと言ってやってよ」とギニャールはオラスを指差して言った。
ルルーは可笑しくて涙が出た。
そこに兵士がゆっくり近づいた。
「申し訳ないが、あなたに頼みがあります。今の状況エレベーターは使えません。かと言って階段を使って降りている暇もありません」
兵士はそう言って市長から取ったリモコンのスイッチを押した。すると、ルルーについていた手枷が外れた。手が一気に楽になった。
「どうか、我々助けて下さい」
兵士は深々と頭を下げた。スキンヘッドの男もだ。
「うん、分かった。ごめん、皆。助けに来てもらってあれなんだけど……オラス? どうしたの?」
オラスは外にいるドラゴンを見て顔色を悪くしていた。
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ルルーは鼻をつまんだ。
「あのドラゴンなのね、あなたの復讐相手は」
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