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第二章 新世界
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「女王様、例の男の家にも行きましたが、既に男の姿はありませんでした。船着き場の船は数が揃っていますから、船を使われたとは考えられませんが……」
男がその後に言いたいことは予想がついた。つまり、魔法を使ったのではないかということだろう。
「全く……汚染に怯える必要もなくなったというのに何故幸せに感じられないのか」
女王はそう言ってため息をついた。
「女王様?」
「なぁ、お前。人はどうやったら幸せになれると思う?」
◇◆◇◆◇
環境のことを人類は全く考えていなかったわけではなかった。これから生まれてくるであろう子供達が暮らしていく地上を汚してきたのは明らかに大人達だ。これまでの行いに反省をし、改善に向け動くべきだった。しかし、世界各国の足並みは中々揃うことはなかった。当然であろう。文化も言葉も異なる国同士がどうやって足並みを揃えられるのか。その具体的な答えを見つけることはかなわず、ズルズルと時が流れていくばかりだった。しかし、明らかに人類の永遠でもたらした環境の変化は、生態系に影響を与えた。環境の変化により、その変化に適応出来なかった生物は次々と絶滅していった。
それでも人類に危機感というものが世界に広がることはなかった。
常に競争社会によって生産された便利な物に囲まれた生活から簡単に人類は手放せないでいた。そして、ネット世界に目を向け、自分の周りを見ようとはしなかった。
椅子に座りスマホやパソコンに集中しているうちに、椅子の4本足の近くには水がそこまできていた。
環境の変化にはまだまだ科学的謎要素はあるし、新たな認識で、これまでの認識が覆されることはあった。しかし、地上がおかしいと人間が認識しだしたこと事態は真実であり、それは覆されるものではなかった。
人類はまだ長生きをしたかった。
争いをやめるべきであり、人類は異なる言語をこえて同じ方向へ歩むべきだった。
しかし、争いは激化し、人類はほとんどが滅んだ。
それが確実に滅ぶのも時間の問題だった。
◇◆◇◆◇
魔女Xはローレンスを見ながら言った。
「地上には人間の歴史物は消えてしまった。あなたはまた新たなものを築けばいいと考えるでしょう。しかし、人類が滅んでしまえばその人間の歴史は無価値になる。歴史に価値を感じられるのは知恵の果実を口にしたあなた達人類だけなのだから」
「人間が発明してきたものを線引きしたりはしない。取り戻したのは自然だけか? 人間の発明によって影響したオゾン層はどうだ? これ以上の破壊を許すわけにはいかなかった。人類が生き延びる方法はこれしかなかった。それをお前は最後の最後で復讐に利用したんだ。神のお気に入りという理由だけでな。だが、俺達は神のお気に入りだったという自覚を持っているわけじゃない」
「それは最も罪深いことよ」
「お前にとって神とはなんだ。嫉妬する程なのか。お前は単に羨ましいんじゃなく、自分より特別扱いするのが許せなかった。そんな理由だろ?」
「どうしたいわけ? 私を殺すの?」
「そうだな、殺すに値する」
「私のことはどうでもいいの?」
「このやり方を教えたのはお前だ。私はそれに惹かれた」
「嘘よ!」
ローレンスは魔法の剣を抜いた。黄金に輝いていた剣はすっかり黄金色を失っており、石のような姿になっていた。
「そんな剣では私は斬れないでしょ」
「そうだな。剣というより、こいつでお前の骨を砕き、殴る」
「酷いわ!」
「最後に裏切っておいてなにを言う」
すると突然、魔女Xの周りにシャボン玉が複数出現しては浮遊した。
シャボン玉の中には、水、雷、火、風、砂が入っていた。
「私は全属性を操れるのよ。一つの属性しか操れない魔法の剣とはわけが違うのよ。ほら、今のうちに謝ったら?」
「俺が魔法を知らないと思ったか?」
すると、胸ポケットからスキットルを取り出して見せた。
「それは……」
「もう地上のどこにも魔力はないんだろ? なら、あんたが今も魔法が使えるのはおかしいんじゃないのか」
「魔力の水が入っているのね」
「お前だってそうなんだろ」
ローレンスに言われた魔女Xはふと、考え事をしだした。
「なんだ」とローレンスは言うと、魔女Xは「あの子達は死んだと思っていたけど、あの子達も私同様の手をもっていてもおかしくないと思ったのよ」
ローレンスは言わなかったが、魔女キルケが生きていることを既にずっと前から感じ取っていた。
今になって気づかれたか。あとは、あの女がうまくやるしかない。あの出来損ないの魔女に期待しなきゃならんとは。
ローレンスは石の剣を捨てた。
「あら、やめるの?」
しかし、ローレンスは黄色の魔法の剣を抜いた。
「あの石の剣で戦うのをやめただけだ」
男がその後に言いたいことは予想がついた。つまり、魔法を使ったのではないかということだろう。
「全く……汚染に怯える必要もなくなったというのに何故幸せに感じられないのか」
女王はそう言ってため息をついた。
「女王様?」
「なぁ、お前。人はどうやったら幸せになれると思う?」
◇◆◇◆◇
環境のことを人類は全く考えていなかったわけではなかった。これから生まれてくるであろう子供達が暮らしていく地上を汚してきたのは明らかに大人達だ。これまでの行いに反省をし、改善に向け動くべきだった。しかし、世界各国の足並みは中々揃うことはなかった。当然であろう。文化も言葉も異なる国同士がどうやって足並みを揃えられるのか。その具体的な答えを見つけることはかなわず、ズルズルと時が流れていくばかりだった。しかし、明らかに人類の永遠でもたらした環境の変化は、生態系に影響を与えた。環境の変化により、その変化に適応出来なかった生物は次々と絶滅していった。
それでも人類に危機感というものが世界に広がることはなかった。
常に競争社会によって生産された便利な物に囲まれた生活から簡単に人類は手放せないでいた。そして、ネット世界に目を向け、自分の周りを見ようとはしなかった。
椅子に座りスマホやパソコンに集中しているうちに、椅子の4本足の近くには水がそこまできていた。
環境の変化にはまだまだ科学的謎要素はあるし、新たな認識で、これまでの認識が覆されることはあった。しかし、地上がおかしいと人間が認識しだしたこと事態は真実であり、それは覆されるものではなかった。
人類はまだ長生きをしたかった。
争いをやめるべきであり、人類は異なる言語をこえて同じ方向へ歩むべきだった。
しかし、争いは激化し、人類はほとんどが滅んだ。
それが確実に滅ぶのも時間の問題だった。
◇◆◇◆◇
魔女Xはローレンスを見ながら言った。
「地上には人間の歴史物は消えてしまった。あなたはまた新たなものを築けばいいと考えるでしょう。しかし、人類が滅んでしまえばその人間の歴史は無価値になる。歴史に価値を感じられるのは知恵の果実を口にしたあなた達人類だけなのだから」
「人間が発明してきたものを線引きしたりはしない。取り戻したのは自然だけか? 人間の発明によって影響したオゾン層はどうだ? これ以上の破壊を許すわけにはいかなかった。人類が生き延びる方法はこれしかなかった。それをお前は最後の最後で復讐に利用したんだ。神のお気に入りという理由だけでな。だが、俺達は神のお気に入りだったという自覚を持っているわけじゃない」
「それは最も罪深いことよ」
「お前にとって神とはなんだ。嫉妬する程なのか。お前は単に羨ましいんじゃなく、自分より特別扱いするのが許せなかった。そんな理由だろ?」
「どうしたいわけ? 私を殺すの?」
「そうだな、殺すに値する」
「私のことはどうでもいいの?」
「このやり方を教えたのはお前だ。私はそれに惹かれた」
「嘘よ!」
ローレンスは魔法の剣を抜いた。黄金に輝いていた剣はすっかり黄金色を失っており、石のような姿になっていた。
「そんな剣では私は斬れないでしょ」
「そうだな。剣というより、こいつでお前の骨を砕き、殴る」
「酷いわ!」
「最後に裏切っておいてなにを言う」
すると突然、魔女Xの周りにシャボン玉が複数出現しては浮遊した。
シャボン玉の中には、水、雷、火、風、砂が入っていた。
「私は全属性を操れるのよ。一つの属性しか操れない魔法の剣とはわけが違うのよ。ほら、今のうちに謝ったら?」
「俺が魔法を知らないと思ったか?」
すると、胸ポケットからスキットルを取り出して見せた。
「それは……」
「もう地上のどこにも魔力はないんだろ? なら、あんたが今も魔法が使えるのはおかしいんじゃないのか」
「魔力の水が入っているのね」
「お前だってそうなんだろ」
ローレンスに言われた魔女Xはふと、考え事をしだした。
「なんだ」とローレンスは言うと、魔女Xは「あの子達は死んだと思っていたけど、あの子達も私同様の手をもっていてもおかしくないと思ったのよ」
ローレンスは言わなかったが、魔女キルケが生きていることを既にずっと前から感じ取っていた。
今になって気づかれたか。あとは、あの女がうまくやるしかない。あの出来損ないの魔女に期待しなきゃならんとは。
ローレンスは石の剣を捨てた。
「あら、やめるの?」
しかし、ローレンスは黄色の魔法の剣を抜いた。
「あの石の剣で戦うのをやめただけだ」
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