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第一章 魔法の剣
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ローレンスは魔女がカラスに変身し飛び立ったのを見届けた後、ローレンスは殺した男の遺体に近寄り、私物を物色した。こいつが何者なのか知る為である。
殺す前に聞いてから殺してもよかったが、人は嘘をつくから信用がならない。信用のない情報を聞いても耳障りだ。
なにかないか探っていると、鞄から沢山のノートやら本が見つかった。旅をするのにこんな荷物は邪魔だろうと思っていたが、他にもUSBも見つかった。
「興味深いな。ただの旅人じゃなかったわけか」
ノートを開くと彼の直筆だろうか、綺麗とは言えないものの読めるには支障ないものだった。
そこに書かれてあるのはここにある動植物の観察、研究記録だった。
例えばあるページではこう書かれてある。
面白い大発見を見つけた。大型魔法生物の子づくりは意外にも一般動物と変わらないことが分かった。しかも、大型であればある程にメスが生む子の数は少ない。これは仮説だが、万が一にも人間が一種一種の大型魔法生物を狩り続ければ、その種は絶滅すると思われる。それはつまり、人間の手によって、ここの生態系を変えられるということだ。
これは、この森を人間が活用できる可能性がある。具体的な方法については今後の課題ではあるが。
また、他のノートには植物の研究が熱心に行われていたのが分かる。どうやら、彼の研究はここの植物を研究した上で、ここらの植物の生命を操作出来ないか色々な実験をしてきたようだ。多分だが、その新種の種で、厳しい環境の中でも芽が育つのか研究していたようだ。
「成る程、彼は彼なりに地球を元に戻そうと懸命だったわけか。だが、残念だな。それは我々一族も試した研究だ。しかし、操作された魔法植物の種を我々人類が完璧に管理することは出来ない。厳しい環境でも育つよう生命力を強化してしまえば、この世界の動植物の頂点は人間に変わってその植物がなっていただろう。無論、その植物が汚染を吸収してくれるなら、化け物植物の森を一つ築いてもいいかもしれないが、結局それは我々が目指す自然ではないだろう」
ローレンスはノートをその場で捨てると、一冊の物語だけ持っていくことにした。
「一つだけ価値のある物を持っていたか。君には感謝しなきゃな。これで楽しみが一つ増えた」
ローレンスはそう言うと、三つ目の山を目指して歩きだした。その周りを機械人間も同行する。
ローレンスの上空にはいくつかの雷避けのドローンが飛んでいた。
黒色の丸型で、円の周りには羽が小さく円に沿って回っている。
破壊されれば、また新しいドローンが空を飛ぶ仕組みで、ローレンスはそれのおかげで雷に恐れることなく進むことができた。
その頃、エドとミアの二人はまだ塔の中にいた。
ミアが次の塔を示すよう、広げた地図の上で呪文を唱えている。
ミア曰く、自然に次の塔の場所を聞いているのだとか。
ミアの魔法が届いたのか、地図には新たな点が現れた。
「次はここだよ」
ミアはその点を指差して言った。
「でも、落雷はどうするのさ。ここまで無事来れたのはいいけど、ミアのその自然と会話するだっけ? それで落雷なんとかならないのか」
「無理よ。私にだって出来ないことだってあるんだから」
そう、自分は師匠にまだまだ教わることはあったのだ。しかし、師匠との別れは訪れてしまった。
後は自力で魔法の知識を増やしていくしかなかったのだ。
「あなたこそ、外の世界では噂くらい聞いてないの? 達成者の話しを」
「そりゃ、知っているけど。どの旅人も雷避けの機械を使っていたんだ。僕にはそんな金はないよ」
「でも、あなたは知っていたでしょ? このエリアのことを。あなたのお父さんはどうしたの?」
「旅の途中で遺体から偶然機械があって、それで対応したんだけど……」
ミアは眉を釣り上げた。
彼のお父さんの話しを聞く限りだと、彼のお父さんは旅を乗り越える為に恐らくは…… 。
しかし、ミアは口にはしなかった。そして、大きなため息をついた。
「で、あなたはどうするつもりだったの?」
「落雷の森を避ける為にこの森のどこかに洞窟があるらしいんだ。そこから行けないか試そうと思っていたんだ。何人かの旅人はその洞窟の入口を見つけているんだけど、視界が霧のせいで具体的な場所が分かっていないんだ」
「どうして旅人は洞窟を通らないの?」
「それは……いるからだよ。あれが」
「つまり、ガーディアンね」
エドは頷いた。
「なら、本来のルートはそこね」
「え?」
「これは試練なんでしょ? 落雷を避けれる方法は本来ルート外なのよ。正規ルートにガーディアンがいるなら、その洞窟は先があると思うわ。そうと決まれば、洞窟を探してみるわ」
地図でまた呪文を唱えたミア。
「あ! 意外とここから近い」
「でも、塔が……」
「それなんだけど、お父さんや一般の旅人ならともかく、私の魔法で魔法の剣を見つけられるんじゃないかしら。それなら、他の塔は別にいいんじゃないかしら」
「成る程!」
「少しズルになるけどね」
殺す前に聞いてから殺してもよかったが、人は嘘をつくから信用がならない。信用のない情報を聞いても耳障りだ。
なにかないか探っていると、鞄から沢山のノートやら本が見つかった。旅をするのにこんな荷物は邪魔だろうと思っていたが、他にもUSBも見つかった。
「興味深いな。ただの旅人じゃなかったわけか」
ノートを開くと彼の直筆だろうか、綺麗とは言えないものの読めるには支障ないものだった。
そこに書かれてあるのはここにある動植物の観察、研究記録だった。
例えばあるページではこう書かれてある。
面白い大発見を見つけた。大型魔法生物の子づくりは意外にも一般動物と変わらないことが分かった。しかも、大型であればある程にメスが生む子の数は少ない。これは仮説だが、万が一にも人間が一種一種の大型魔法生物を狩り続ければ、その種は絶滅すると思われる。それはつまり、人間の手によって、ここの生態系を変えられるということだ。
これは、この森を人間が活用できる可能性がある。具体的な方法については今後の課題ではあるが。
また、他のノートには植物の研究が熱心に行われていたのが分かる。どうやら、彼の研究はここの植物を研究した上で、ここらの植物の生命を操作出来ないか色々な実験をしてきたようだ。多分だが、その新種の種で、厳しい環境の中でも芽が育つのか研究していたようだ。
「成る程、彼は彼なりに地球を元に戻そうと懸命だったわけか。だが、残念だな。それは我々一族も試した研究だ。しかし、操作された魔法植物の種を我々人類が完璧に管理することは出来ない。厳しい環境でも育つよう生命力を強化してしまえば、この世界の動植物の頂点は人間に変わってその植物がなっていただろう。無論、その植物が汚染を吸収してくれるなら、化け物植物の森を一つ築いてもいいかもしれないが、結局それは我々が目指す自然ではないだろう」
ローレンスはノートをその場で捨てると、一冊の物語だけ持っていくことにした。
「一つだけ価値のある物を持っていたか。君には感謝しなきゃな。これで楽しみが一つ増えた」
ローレンスはそう言うと、三つ目の山を目指して歩きだした。その周りを機械人間も同行する。
ローレンスの上空にはいくつかの雷避けのドローンが飛んでいた。
黒色の丸型で、円の周りには羽が小さく円に沿って回っている。
破壊されれば、また新しいドローンが空を飛ぶ仕組みで、ローレンスはそれのおかげで雷に恐れることなく進むことができた。
その頃、エドとミアの二人はまだ塔の中にいた。
ミアが次の塔を示すよう、広げた地図の上で呪文を唱えている。
ミア曰く、自然に次の塔の場所を聞いているのだとか。
ミアの魔法が届いたのか、地図には新たな点が現れた。
「次はここだよ」
ミアはその点を指差して言った。
「でも、落雷はどうするのさ。ここまで無事来れたのはいいけど、ミアのその自然と会話するだっけ? それで落雷なんとかならないのか」
「無理よ。私にだって出来ないことだってあるんだから」
そう、自分は師匠にまだまだ教わることはあったのだ。しかし、師匠との別れは訪れてしまった。
後は自力で魔法の知識を増やしていくしかなかったのだ。
「あなたこそ、外の世界では噂くらい聞いてないの? 達成者の話しを」
「そりゃ、知っているけど。どの旅人も雷避けの機械を使っていたんだ。僕にはそんな金はないよ」
「でも、あなたは知っていたでしょ? このエリアのことを。あなたのお父さんはどうしたの?」
「旅の途中で遺体から偶然機械があって、それで対応したんだけど……」
ミアは眉を釣り上げた。
彼のお父さんの話しを聞く限りだと、彼のお父さんは旅を乗り越える為に恐らくは…… 。
しかし、ミアは口にはしなかった。そして、大きなため息をついた。
「で、あなたはどうするつもりだったの?」
「落雷の森を避ける為にこの森のどこかに洞窟があるらしいんだ。そこから行けないか試そうと思っていたんだ。何人かの旅人はその洞窟の入口を見つけているんだけど、視界が霧のせいで具体的な場所が分かっていないんだ」
「どうして旅人は洞窟を通らないの?」
「それは……いるからだよ。あれが」
「つまり、ガーディアンね」
エドは頷いた。
「なら、本来のルートはそこね」
「え?」
「これは試練なんでしょ? 落雷を避けれる方法は本来ルート外なのよ。正規ルートにガーディアンがいるなら、その洞窟は先があると思うわ。そうと決まれば、洞窟を探してみるわ」
地図でまた呪文を唱えたミア。
「あ! 意外とここから近い」
「でも、塔が……」
「それなんだけど、お父さんや一般の旅人ならともかく、私の魔法で魔法の剣を見つけられるんじゃないかしら。それなら、他の塔は別にいいんじゃないかしら」
「成る程!」
「少しズルになるけどね」
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